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世界の中銀、ブレグジットで未知の領域に
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左から英中銀イングランド銀カーニー総裁、米FRBイエレン議長、ECBドラギ総裁(今年5月のG7財務相・中央銀行総裁会議で) PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By
RICHARD BARLEY
2016 年 7 月 5 日 08:12 JST
いまでは信じがたいことだが、米国と英国で利上げが議論されていたのはそれほど前のことではない。だが英国の欧州連合(EU)離脱決定を受け、債券利回りは過去最低水準に落ち込んでいる。世界の中央銀行が緊急時対応の金融政策から脱する可能性は、さらに遠のいたように思われる。
英国が米国よりも先に利上げすると思われたのは、ほんの2年前のことだ。2年物英国債の利回りは2014年半ばに、同年限の米国債よりも0.4%程度高い水準に達した。
ところがいま、英中銀イングランド銀行のカーニー総裁がこの夏にかけて英経済のてこ入れを示唆し、英国債の利回りは急落(価格は急騰)した。トレードウェブによると、2018年3月を償還期限とする英国債の利回りは先週、時間外取引ながらも一時マイナス水準をつけた。
もちろん、他の債券市場はすでに同じような状況となっている。ドイツの2年物国債利回りはマイナス0.65%で、同年限の日本国債もマイナス0.33%となっている。両国の債券市場では、大半の年限の利回りがマイナス水準になってる。こうなると0.88%の10年物英国債の利回りは、歴史的に極めて低い水準だが相対的に高く見える。米国債も利回り低下の引力には逆らえず、10年債利回りは今年これまでに0.9%近く低下している。
主要国の2年債利回りの推移
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-OT342_brexit_G_20160704040800.jpg
英国ではデフレは深刻な脅威ではなく、むしろ英ポンド安のおかげでインフレの脅威が迫りつつある。このため債券利回りの急低下は異例な事態だ。だがイングランド銀行がいま直面する課題は、孤立したものではない。
ブレグジットとは英国のEUからの分離を意味するが、世界の中央銀行の金融政策は今や極めて密接に結びついている。ユーロ圏では中期インフレ期待を示す市場の尺度が一段と低下し、アナリストらは成長とインフレ見通しを引き下げた。状況は依然として不安定で、欧州中央銀行(ECB)に追加緩和圧力がかかる可能性がある。日本銀行も円高と弱いインフレ率という特有の課題を抱えている。為替相場の変動は、世界的なデフレ傾向の圧力を再配分して大混乱を引き起こしている。
世界の金融政策がさらに緩和されるならば、米連邦準備制度理事会(FRB)が何もしなくても、米国の金融政策は他の主要先進国の中銀よりも相対的に引き締まっていることになる。これは14年から15年の大半にかけてFRBが金融政策を据え置いた際にECBが直面した問題と反対の状況だ。当時のECBは、FRBとの相対的な関係で金融緩和せざるを得なかった。
ブレグジットで世界の中央銀行は金融政策の未知の領域に踏み込むことになる。リーマン・ショックから8年、中央銀行関係者はまだ次の手を打てると主張しているが、今後数カ月でこの主張が本当なのかを試されるのかもしれない。
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https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AL926_JGBHER_16U_20160704081208.jpg
(左)国債利回り【緑:2年債、薄茶:5年債、薄緑:10年債】、(右)日銀の黒田総裁
By
ANJANI TRIVEDI
2016 年 7 月 5 日 12:39 JST
想定外の事態が最大の被害を及ぼすとは、まさにこのことだ。
かつて無風だった日本国債市場で利回りが大幅なマイナスに沈み、値動きも非常に不安定になっている。これらはいずれも、無リスクとみなされ動きが鈍いはずの市場での出来事だ。
日本の国債利回りは今月初め、満期が20年近くのものまでマイナスに転落した。つまり、現在は日本国債の約87%がマイナス利回りということになる。
こうした副作用は、日本銀行が2%の物価上昇率達成を目指して大規模な金融緩和策を導入した時点で念頭にあったものではない。日銀の緩和策は、資産買い入れをどんどん増やしていく(現在は年間約80兆円)という形で行われ、最近ではマイナス金利も導入した。資産買い入れの狙いは、国債利回りを押し下げることで、株式や海外証券、社債といったより高いリターン(投資収益)が見込める資産への投資を促すことにあった。ところが、日本国債は利回りが急低下し、トータルリターン(インカムゲインとキャピタルゲインの合計)ベースでの価格が上昇していることから、世界中の投資商品の中でトップクラスの上昇率を記録している。年初来の騰落率はプラス8.06%で、海外投資家が持ち高を膨らませていることが背景にある。
日本銀行は他の主要中銀と異なり、ほぼどんな価格でも資産を買い入れる。買い入れ対象は国債が中心だ。日本国債は利回りがマイナス化した世界中の国債の約3分の2を占める。例えば、欧州中央銀行(ECB)はABS(資産担保証券)やカバード債なども買い入れることができる。また、最低名目金利を定め、利回りがこれを下回る債券は購入対象外としている。価格に上限があるということだ。
機能不全に陥った日本国債市場を詳しく見てみると、日銀の政策の限界が垣間見える。利回り低下が大幅に進んだことを受け、日銀は先週、長期国債の買い入れを減額する一方、中期国債の買い入れを増額すると発表した。全体の買い入れ目標額は据え置く。買い入れを増額しても利回りをさらに押し下げるだけだろう。買い入れ減額は短・中期的には有益であっても、日銀としては他の国内証券を探さなければならないことになる。だが、欧州や米国と違い、ABSと社債は市場規模が比較的小さいため、いずれも選択肢として考えにくい。
日銀は現在、日本国債の約30%を保有している。国債市場の流動性は逼迫(ひっぱく)しており、さらなる悪化が見込まれる。国債買い入れが限界に近づく一方、2%の物価上昇率目標は達成がまだ視野に入っていないことから、日銀は買い入れ対象資産の利回りに下限を設定する可能性がある。そうなれば、日銀が国債をいつでも買ってくれるという前提が崩れることになる。元日銀副総裁が代表を務めるシンクタンクのリポートによると、日銀が資産買い入れ規模を年間45兆円に減額すれば、2019年1月まで買い入れを続けることができる。
いまの段階では日銀にとって、現行の緩和策の延長や微調整ではなく柔軟かつ自己制御的な戦略を検討した方が役に立つかもしれない。
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英議会、カーニー中銀総裁への姿勢硬化か
イングランド銀行のカーニー総裁
By PAUL HANNON
2016 年 7 月 5 日 12:57 JST
英中銀イングランド銀行のカーニー総裁は6月30日の講演で当然聞かれるであろう質問が出たとき、特に驚いている様子はなかった。実際のところ、誰も驚かなかった。
総裁はこの日、まずは30分程かけて、欧州連合(EU)離脱を決めた6月23日の英国民投票が経済に及ぼすと考えられる影響を説明し、イングランド銀行が数カ月中の実現を見込む景気減速をどうやって抑えるかについて概要を示した。
総裁は講演後の質疑で、イングランド銀行がどれだけ早期に動くか、動くとすればどのような手段を用いるか具体的に示すよう求められた。
総裁に特に直接影響する質問が出たのは、その後だった。総裁に批判的なEU離脱派メンバーが新政府の要職に就いたら辞任するか、という質問だった。
総裁は一言「ノー」と答え、それでは無責任だろうと述べた。新たな課題に立ち向かう英国を支えるためにやるべきことがある、との考えだ。
その数時間前、与党・保守党のアンドレア・レッドサム議員(エネルギー・気候変動相)がキャメロン首相の後継を決める党首選への出馬を宣言した。レッドサム議員はカーニー総裁に批判的なことで知られる。銀行出身で離脱派の主要メンバーである同議員は5月半ば、カーニー総裁がEUを離脱すれば景気減速につながると警告したことについて、「ばかげた話だ。全く根拠がなく単なる臆測にすぎない」とし、総裁が職権を大きく逸脱していると批判した。
離脱派の他の主要メンバーはさらに踏み込んだ。経済政策を精査する委員会のメンバーを務める保守党のジェイコブ・リースモグ議員は、カーニー総裁に辞任するよう求めた。一方、元保守党党首のイアン・ダンカンスミス議員は、カーニー総裁の警告の背後にはもっと暗い動機が潜んでいると指摘した。
ダンカンスミス議員はテレビ番組のインタビューで、「(カーニー総裁は)ゴールドマン・サックス出身だ。(中略)ゴールドマンは残留派を資金援助している」と述べた。
確かに、これはカーニー総裁に対する発言として特に厳しかったもので、党首選の他の候補らは7月1日、カーニー総裁にもっと暖かい言葉をかけた。
離脱派の主要メンバーであるゴーブ司法相は「6月23日以降、金融や経済の安定維持を担当する責任者らが落ち着きと安心をもたらした」とし、「中でも、英国はこうした変化に対する備えができていると明確にしたイングランド銀行のカーニー総裁を称賛したい」と述べた。
だが、一部議員の間で言われていることに触れないわけにはいかない。カーニー総裁が批判されているのは、英国を二分する問題で公平性を欠き、無責任にも英EU離脱の影響に関する個人的な懸念を公表したことにある。
カーニー総裁は残りの任期中、近年の歴代総裁よりも議員らから厳しい監視にあう公算が大きい。それでも、総裁は間違いなく試練に立ち向かう覚悟ができており、自ら下した決断を弁解するつもりはない。
総裁は講演で、中銀の独立性を認め、中銀が「冷酷に事実を語る」機会を与えるべきだと訴えた。こうした「基盤」を取り除けば、イングランド銀行は英国がEU離脱後の将来の姿に移行していく過程を支える力が低下すると主張した。
これらはいずれも大きな意味がある。イングランド銀行はこれから数カ月の間に金融政策や金融システムの安定に関する多くの決定を下さなければならないからだ。
危惧されるのは、一部の議員がこうした決定の一つ一つを、カーニー総裁は間違いを犯しているという持論に照らして解釈することだ。カーニー総裁も同僚らも、国民投票前の総裁らの行動に対する不満を背景にした中銀批判に動揺することはないだろう。
ただ、中銀と議会が公然と対立する光景は、英国の企業や家計、投資家の信頼を損ない、英国が世界各国と新たな関係を構築するための最善策を見いだすのが困難になる恐れがある。また、イングランド銀行がこの道のりを容易にすることもますます難しくなるだろう。
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