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「米中減速」「欧州不安定化」の同時進行という悪夢
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49074
2016年07月04日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
英国のEU離脱交渉の先行きがはっきりしない。ドイツなどのEU加盟各国は英国との水面下での交渉を否定し、早期の離脱申請を求めている。一方、キャメロン首相が辞意を表明する中、与党保守党はどうEUとの交渉に臨むか、明確な指針を示すことができていない。英国は欧州、そして世界の政治の中で漂流しつつある。
政治が不安定な状況に陥ることは、経済には明らかにマイナスだ。しかし、金融市場では英国の国民投票後の混乱が収束し、徐々に懸念は後退しているようだ。
一方、中央銀行関係者の発言を見ると、景気先行きに対する慎重な見方が増えている。今後の世界経済を考える上で、何がリスク資産の上昇を支え、それが持続可能かを冷静に見極めることが重要だ。
■不透明感高まる欧州政治
英国の政治はリーダーを失い、どの方向に進むかが分からなくなりつつある。簡単に言えば、船が舵を失った状況だ。次期保守党党首の有力候補とみられた、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長は党首選に出馬しないことを表明した。現状ではゴーブ司法相、メイ内相が有力候補と目されている。
気がかりなのは、ドイツなどのEU加盟国からの要求と、英国の考えの溝が深いことだ。EUサイドは早期の離脱申請を求め、正式申請後でなければ交渉に応じないと表明した。そして、一切の特別扱いはしないことを言明した。
一方、英国の政治家の基本スタンスは「急いで申請をすべきではない」だ。また、離脱派のゴーブ司法相、残留派のメイ内相ともEUに対しては強硬な考えを持っているようだ。どちらの候補者が党首になってもEUとの交渉は難航するだろう。
国内でのEU残留を求める世論の高まり、スコットランドのEU残留表明など、英国の政治が混乱しているだけに、離脱交渉に関する不確定要素は多い。
結果として、英国の国民投票は欧州全体の政治を混乱に陥れた。ドイツなどは、EU離脱の連鎖が大陸欧州に広まることを何としても避けたい。だからドイツ等は「英国の国民投票に後戻りはない」と厳しい姿勢を示し、決断を迫っている。
■当面、金融市場は不安定
英国の政治判断は、EUの判断にも影響し、欧州全体の政治動向は不透明さを増している。それは、経済の先行きに対する懸念を高めるはずだ。
政治リスクが高まる中、基本的に投資家はリスクを取りづらい。1年前のギリシャの国民投票でも緊縮反対が過半数を占め、世界の金融市場は大きく混乱した。
しかし、金融市場は小康状態にある。背景には、予想外の国民投票へのショックから投資家が立ち直りつつあること、金融緩和への期待がある。まず、国民投票後の世界的な株価の下落はパニックに圧された部分が強かった。そのため、押し目狙いの買いが、徐々に株価の回復を支えている。
6月30日には、イングランド銀行のカーニー総裁が、「EU離脱が選択されたことが景気見通しを悪化させた」と夏場の金融緩和を示唆した。この結果、円は一時103円台まで下落し、各国の株価などリスク資産は上昇した。
この状況下、株価の上昇はリスクテイクを正当化しているように見える。しかし、金融市場の動きは依然として不安定だ。1日、中国の人民元は対ドルで6.66元まで下落した。中国当局が元安を容認したとの報道がある中、市場は世界経済の弱い部分に警戒し、質への逃避(米国債買い)、脆弱な資産の売却を進めつつあるように見える。
以上、足元の金融市場では、英国のEU離脱の不透明感、カネ余りに支えられたリスクテイク、世界経済の弱さへの懸念等、様々な要因が混在している。
目先の焦点は、欧州政治の不透明感が解消されるかどうかだ。世界の金融・財政政策の発動余地も限られる中、米中経済の景気減速と欧州の政治リスクの上昇が同時に進めば、世界の経済は大きな混乱に陥るかもしれない。当面、金融市場は不安定に推移する可能性があるとみる。
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