http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/473.html
Tweet |
一気に円高に進んだ為替相場(C)日刊ゲンダイ
英EU離脱 ただ傍観の政権では歴史の激流にのみ込まれる 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/184681
2016年7月1日 日刊ゲンダイ
やはり、めったなことは言うべきではない。消費増税の先送りのため、安倍首相が5月の伊勢志摩サミットで唐突に繰り出した「詭弁」が、まさか現実になろうとは。
サミット議長の「世界経済はリーマン・ショック前の状況に似ている」との認識表明は「ネガティブ過ぎる」と欧米メディアの失笑を買ったが、今や世界中の金融市場は英EU離脱ショックで大パニックに陥っている。
こと東京市場に限ると、離脱が決まった24日の円相場はたった1日で1ドル=106円台から一気に100円台を突破。2年7カ月ぶりに99円台をつけた。平均株価は前日比1286円安と大幅に下落し、その下げ幅は08年のリーマン・ショック時の最大下げ幅1089円を軽々と超えた。
ただし、「予言」を的中させた形の安倍首相本人は、英国のEU離脱を全く想定していなかった様子である。24日は選挙応援から慌てて官邸に戻って緊急関係閣僚会議を開いたが、具体策はゼロ。離脱への投票を後悔する「BREGRET」と呼ばれる人々と同じように、「どうせ残留派が勝つに決まっている」とタカをくくっていたとしか思えない。
もっぱらの課題は国際協調なのか、金融市場の安定化か。救済すべきは英国で事業を行う1000を超す日本企業か、悪影響を被る国内の中小企業なのか。今なお優先事項は定まらず、安倍首相が緊急会議を繰り返しても、何も言っていないに等しい日々が続く。
G7各国の財務相・中央銀行総裁が「流動性供給のための手段を用いる用意がある」との声明を発表したのを受け、麻生財務相と日銀の黒田総裁は共同談話を公表。「為替市場の動向をこれまで以上に注視し、必要に応じて対応を行う」と為替介入をにおわせ、より踏み込んでみせたが、円高進行の猛烈な勢いは日本の単独介入ではビクともしない。円高に悩む日本のためだけにG7の協調介入を期待するのもムリな話だ。円高・株安の流れは当面、止まらないだろう。
それにしても、欧州の外れの小さな島国の民衆の選択が、これだけ世界を動かすとは驚きだ。EU残留派が多数を占めたスコットランドでは独立運動が再燃し、大英帝国以前の姿に逆戻りする機運も高まりつつある。さらに視野を広げれば、英国と経済面で急接近する中国はEU離脱を大歓迎だろうし、ロシアにとっても欧州が一枚岩じゃない方が好都合だ。
日本の近代史にとって英国は明治維新の昔から長く関わりを持つ。1902年の日英同盟の締結と1923年の失効が、近代における日本の国際的地位を決定づけたと言っていい。日本も英国も大陸と向き合う島国同士だ。EUとの間に入って仲介の手を差し伸べる手段はないものか。英国民がもたらした世界情勢の変化に手をこまねいていると、日本は大転換期を迎えた歴史の激流にのみ込まれるだけである。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民110掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。