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アベノミクス「一億総活躍プラン」の正体は?
アベノミクス「一億総活躍プラン」の正体
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160629-00010001-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 6月29日(水)17時0分配信
安倍政権は消費増税先送りに伴って「今こそアベノミクスのエンジンを最大にふかす」と宣言し、6月2日には「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定した。全員参加型の一億総活躍社会を実現するために、子育て支援や社会保障の基盤を強化して「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」を目指し、それが経済を強くして「名目GDP(国内総生産)600兆円」を実現する――というプランである。
だが、近著『偽装中流』が話題のジャーナリストの須田慎一郎氏は、「大黒柱の給料アップを諦めて、今まで働いていなかった女性や中高年、そして障害者などを引っ張り出して総動員させることでどうにか世帯全体の収入を賄おうとする政策にすぎない」と看破する。須田氏が解説する。
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3本の矢(大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略)を掲げた「アベノミクス第1幕」では、家計の大黒柱の賃金水準そのものを引き上げようとした。しかし、それが思い通りにいかないことがわかると、「第2幕」では上ではなく、働く人たちを増やして横に広げようという発想に転換させた。第1幕の失敗を認めたのも同然といえる。
一億総活躍プランでは「同一労働同一賃金の実現」を目標に掲げるが、これはパートなど非正規雇用の待遇改善であり、大黒柱の賃上げに直接的な関係はない。「家族総動員で働いてどうにか家計を支えてください」というのが一億総活躍の正体なのだ。
だからといって、政策通りに世帯全体の収入が増えるかといえば、話は別だ。
かつて高度経済成長期に「分厚い中間層」が形成され、「一億総中流社会」がもたらされた。安倍首相はそうした歴史をもう一度復活させようという意味合いを込めて「一億総活躍」なるスローガンを繰り出しているのだろうが、そうならないのは統計などを見ても明らかといえる。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、1世帯当たりの平均所得金額は2013年に528万9000円。しかも、平均所得以下の世帯の割合は6割を超え、所得金額別では200万〜300万円未満の世帯が14.3%と一番多いのである。過半数の世帯が中流に届かない所得水準で暮らしているのだ。
ただでさえ「中流」にしがみつくことが難しい中、高齢者になると「下流」へと転落する可能性は高まる一方だ。
現役時代と異なり、老後に収入が減るのは不可避である。前述の「国民生活基礎調査」では、高齢者世帯の平均所得金額は前年比2.8%減の300万5000円へと下がっているうえ、実に9割近い高齢者世帯が全世帯の平均所得金額を下回っている。すでに高齢者が下流へと転落する流れは加速しているのだ。
今のところ、自分は「中流」と思い込んでいても、実はいつの間にか「下流」にこぼれ落ちていく可能性は日に日に高まっている。今や「偽装中流」と言われても仕方がない人々が増えている。アベノミクスを鵜呑みにはできない。
※須田慎一郎・著/『偽装中流』より
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