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貧しいからスマホが持てないのかというとそうでもない。親が遅くまで働く母子家庭などでは連絡ツールとして必須なのだ(※イメージ写真)
子どもの貧困は外見では見分けられない スマホや100均がもたらす変化〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160627-00000139-sasahi-life
AERA 2016年7月4日号
6人に1人の子どもが貧困と言われても、実感がわかない。それもそのはず。「貧しい子どもの姿」を日常生活で見ない。ファストファッションやファストフードで見た目は変わらない。
「この前、お母さんとしまむらで服買ったの。一緒に着られる服もあるし、たまに連れていってもらうんだ」
「土日は、友達とマックでおしゃべり。100円でドリンクもハンバーガーも買えるからお小遣い少なくても行ける」
「親が夜勤でいなくても、カップ麺があるから大丈夫」
非正規雇用で働くシングルマザーの家庭の中学生たちは口々にそう言う。彼ら彼女ら自身も、家が決して裕福ではないということをわかってはいるが、「貧乏っていうほどじゃないと思う」と言う。ある中学3年生の女子は笑いながら話す。
「塾には行かせてもらえないし、進路も公立高校しかダメって言われてる。私立の滑り止めを受けられる子は羨ましいと思うけど、そんな子は他にもいるし」
●LINEで日程調整
5年前から子どもの貧困問題に関わり、学習支援のほか居場所支援・生活相談・就労支援など幅広く活動を広げてきたNPO法人PIECESの理事、荒井佑介さん(26)はこう話す。
「今の子どもたちは、経済的に恵まれていない家庭でもファストファッションでおしゃれをすることができたり、スマホも親が遅くまで働く母子家庭などでは連絡ツールとして必須だったりして、見た目には普通の子たちと変わりません」
最近では、スマホは中学生になると学校生活を普通に過ごすための必須アイテムにもなりつつある。都内で中1の長女と小5の長男を育てるシングルマザーの女性(34)も、長女にスマホを持たせている。
本来は、長女が高校生になってアルバイトができるようになったら自分で買ってもらおうと思っていた。だが、部活の練習や試合のスケジュール確認のほか、文化祭などのイベント準備でクラスの出し物を決めたり、休日に集まったりするのにも、「LINEは中学生に必須」ということがわかった。
「うちの子だけ持たせずに仲間に入れなかったら……と考えて、持たせることにしました」
●引け目を感じないよう
女性は現在、パートで介護の仕事をしている。月収は手取りで20万円ほど。家賃は1DKに3人暮らしで月9万円。食費に水道光熱費、スマホ代やその他生活費に、残りのほとんどが消えていく。昨今言われている「子どもの貧困」の定義は「相対的貧困」で、国民の所得の中央値(244万円)の半分(122万円)を下回っている世帯にいる子どもということになる。しかし年収200万円を超えてはいても生活は厳しいという。
「子どもたちを高校や大学に入れることを考えて、貯金も少しずつしておきたい。そう考えると、塾に行かせたり、習い事をさせたりする余裕はないですね。ただ、他の子たちが塾に行っている中で、受験が近づいてきたらもっと他の子と差がついてしまうのではと不安があります。でも、まずは最低限、食事も服装も貧相にならないように、引け目を感じるような生活にはさせないように、と思っています」
お小遣いも長女には月に2千円渡している。
「娘は100円均一でマニキュアを買ったりして、女の子同士のオシャレトークも乗り越えているみたいです」
2014年の国民生活基礎調査(厚生労働省)によれば、児童のいる世帯の平均所得は696万円。一方、11年度の「全国母子世帯等調査」(同省)では、母子世帯の母自身の平均年間就労収入は181万円。この大きな差が子どもの成長や進路に影響することもある。3年以上シングルマザーを取材してきた尾越まり恵さん(36)は言う。
「シングルマザーも非正規雇用となると年収300万円の壁を越えられず、生活もギリギリになります。習い事や塾に行かせたとしても、お金がかかるものはムリで、比較的安めのスイミングスクールや、公文で1教科のみという子が多いですね」
離婚したシングルマザー家庭では、別れた夫から養育費をもらっていないケースも多い。
「DVで別れたケースなど離婚でもめた場合、つながりを断ちたくてもらわなかったり、学費のみ振り込んでもらったりという人も多いんです」(尾越さん)
こうした世帯の子どもたちは、ファストファッションや100円均一の商品などで見た目には他の子たちとそう変わらなくても、塾通いや余暇の過ごし方などで差がつき、自己否定的な考え方を持ってしまうことも多い。
●見ようとする努力
そうした子どもたちが10代半ば頃になると、社会から早くもドロップアウトしかけるケースも出てくる。義務教育が終わるまでは「うちはそこまで貧乏じゃない」とのびのび過ごしていても、高校生になり経済格差を体感する子もいる。前出の荒井さんによれば、
「高校に行けたとしても、親から援助を受けられず、自分の生活のためにアルバイトをしなくてはいけない子もいます。友達とも遊べず、勉強もついていけなくなり、結果学校に行くことの意味を見いだせず、中退してしまう子も。アルバイトも転々として、20歳近くまで学歴もキャリアも身につけられないままの子たちを多く見てきました」
こういう子どもたちは、ともすれば「チャラチャラした10代」「遊び惚けている子たち」に見えるかもしれない。かつてなら貧困の子どもというと、服が古びていたり、不衛生だったりと、見た目にも格差が表れた。ファストファッションやスマホが見た目の格差をなくす役目を果たす一方、“見えにくい貧困”が、背後にある貧困問題や、家庭の問題を見えなくした。荒井さんは言う。
「人知れず、徐々に社会からドロップアウトしてしまう子どもたちが見えなくなっています。親が忙しくてコミュニケーションをとる時間がなくても、地域の人など身近な大人が『見て支える』ことができれば、もう少し目標を持って頑張れる子も増えていくのではないでしょうか」
まずは私たち大人が心にゆとりを持って地域の子どもたちを「見ようとする」ことが必要だ。(ライター・大西桃子)
【足立区「子どもの健康・生活実態調査」から】
■子どもだけで留守番10% 生活困難世帯は虫歯多い
東京都足立区では昨年、区立小学校に在籍する5355人の子どもたちを対象に「子どもの健康・生活実態調査」を実施した。それによると、放課後に子どもだけで週1回以上留守番をしている世帯は約10%、夕食を1人または子どもだけで食べる世帯は約4%、目玉焼き程度の子どもへの食事づくりが毎日ではない世帯は約18%だった。
グラフは、これらの調査結果について、生活困難世帯(年収300万円未満やライフラインの支払い困難経験ありなどの世帯)と非困難世帯で比較したものだ。生活困難世帯のほうが、「朝食を毎日食べていない」「運動習慣がない」「テレビや動画の視聴時間が1日3時間以上」「読書の習慣がない」「虫歯の本数が多い」「予防接種を受けていない」割合が若干多かった。
経済状況によって子どもの健康や生活に差があるとみるか、全体的には大きな差はないと考えるかは意見が分かれる。区のこころとからだの健康づくり課はこう話す。
「生活困難世帯でも、困ったときに保護者が相談できる相手がいれば、子どもの虫歯やワクチン未接種などの割合が少なくなり、逆境を乗り越える力を養うことができるという結果になっています。それは非困難世帯でも同じです」
つまり、経済的な要因だけがそのまま子どもの生活習慣に結びつくのではないようだ。親に相談相手がいるかどうかは、地域や所属するコミュニティーで孤立していないかにつながる。人と人がつながり、支え合う社会が必要だ。
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