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イギリスEU離脱は「大恐慌前夜」の予兆か
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49014
2016年06月27日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
6月23日に実施された、英国の欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票の結果、52%の票が離脱に投じられEU離脱が決定した。
直前の6月半ば、英下院議員が銃撃され命を落としたことを境に、世論は残留を支持し、ブックメーカーのオッズでも80%以上の確率で残留が見込まれていた。それだけに市場にとって、今回の結果は予期せぬものだった。
EU離脱が決められたことは、4つの国から成る連合王国の中から、スコットランドと北アイルランドの分離独立ことに繋がることも考えられる。また、EU内部の離脱予備軍の存在を考えると、EUへの求心力の低下にも繋がる恐れがある。EU離脱を求める動きが増えれば、単一通貨ユーロの持続性にも懸念が高まる。
そうしたEUの政治動向の不安定さは、中国経済の減速、米国の景気ピークアウト懸念と同様、世界の景気後退リスクの一つと考えるべきだ。今後の展開次第では、世界経済が1920〜30年代の“大恐慌”のような危機的状況に直面することも懸念される。
■楽観がもたらした奈落
6月上旬まで、英国世論はEU残留と離脱の狭間で揺れた。金融市場は残留を期待しつつも、離脱に備えて徐々にポンド売りなどのリスク回避に動いた。
6月10日の世論調査では、離脱支持が10ポイント上回り、急速に世界の投資家は英国のEU離脱への懸念を高め、ポンドや欧州銀行株を売り、リスク回避に動いた。これが米独金利の低下につながった。
経済への影響を考えれば、英国はEUに残り、関税同盟(例:英国から欧州向けの自動車輸出にかかる関税はゼロ)などの恩恵を享受すべきだ。離脱が現実となれば、多くの企業が英国に置く拠点を国外に移すと示唆してきた。
冷静に考えれば、英国はEUに残るべきだった。それにもかかわらず離脱が決定されたことは、難民・移民問題への不満や怒りが強かったことを示している。
英国では、高齢者や貧困層を中心に、難民問題への不安、移民が英国民の雇用機会を奪っていることへの怒りが強かった。
保守党内部でもマイケル・ゴーヴ司法大臣などが移民の流入をコントロールできていないことを批判してきた。そして、離脱を訴えるボリス・ジョンソン前ロンドン市長らは“英国優先”、“決定権の回復”を呼びかけ、EU離脱が英国の明るい将来につながると主張し、離脱への支持が高まったとみられる。
6月中旬には残留を訴えていた英下院議員が銃撃され、命を落としたことを契機に、残留支持が盛り返した。ブックメーカーのオッズでも残留の確率は80%を上回った。
これを受けて、多くの投資家が「ほぼ残留で決定」と楽観し、ポンドや銀行株を買戻し、米独の金利は上昇した。23日の世論調査でも残留派が過半を占めていることが確認され、離脱への警戒は緩んでいたようだ。
■揺らぐ単一通貨ユーロ
しかし、24日の東京時間、開票が進むにつれ、離脱票が多いことが徐々に判明した。
投資家の多くは、想定外の結果を恐れ、慌てふためき、急速にリスク回避に動いた。前日比で、ポンドは対ドルで11%、対円では15%超下落、日経平均株価も8%程度急落した。
そして、EU離脱が決定されると、イタリア、ポルトガルなど財政状況が不安定な欧州周辺国の金利が上昇し、株価も大きく下げた。
これは、多くの投資家が、英国の離脱がEUの政治混乱、分裂につながることを懸念したことを示している。足許ではイタリアの地方選挙でEUへの懐疑的な考えを持つ政党が躍進し、オランダ、フランスでもEU離脱を求める声が強まっている。英国の離脱をきっかけに、ドミノを倒すようにEU加盟各国内に離脱を求める声が広まる可能性がある。
一方、離脱決定後の英国内でもスコットランドがEU加盟を求めて独立を主張し、北アイルランドではアイルランドの統一を求める考えが表明されている。
今後、欧州各国の政治はより不安定になるだろう。
もし、ユーロ加盟国がEU離脱を選択すれば、単一通貨ユーロ存続への懸念は高まる。ユーロの信用は、強い国が弱い国を支え、通貨圏を拡大して共同体としての経済力を高めるという発想に支えられてきた。相対的に経済力のある国がユーロから抜けた場合、単一通貨を誰が束ね、市場の信認を得ることができるか、単一通貨の前提が揺らぐ。
中国経済が減速する中、世界経済を支えた米国は循環的な景気のピークに近づいているようだ。そして主要国は協調よりも自国優先、内向き志向に傾いている。金融・財政政策の発動余地も限られ、世界経済の下方リスクへの抵抗力は低下している。
EU・ユーロ離脱を求める声が強まる中で、中国経済の変調、米国の景気減速が同時に進んだ場合、世界経済は経験したことのない低迷、混乱に陥る可能性がある。それは1920〜30年代の大恐慌のような状況かもしれない。
その場合、為替相場は今まで以上に大きく動き、わが国も厳しい状況に直面するだろう。英国のEU離脱はかつて経験したことがない景気後退への第一歩と考えるべきかもしれない。
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