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ドコモで今、一体何か起きているのか?脱ケータイ加速、聖域なき改革で負の遺産一掃
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15630.html
2016.06.26 文=佐野正弘/ITライター Business Journal
NTTドコモの社長を退任する加藤氏(左)と、新たに社長に就任する吉澤氏(右)
NTTドコモは6月16日、前代表取締役社長の加藤薫氏に代わり、前副社長の吉澤和弘氏が正式に社長に就任した。さまざまな苦難がありながらも、最後の1年で増収増益を達成した加藤氏から吉澤氏の体制に変わることで、ドコモの戦略はどのように変わるのだろうか。
■副社長だった吉澤氏が社長に就任
去る5月13日、ドコモは当時社長であった加藤氏が退任し、副社長であった吉澤氏が新たに社長に就任することを発表。その後6月16日の株主総会でこの人事が承認されたことを受け、吉澤氏が正式にドコモの社長に就任することとなった。
ドコモは4年毎に社長を交代することが慣例となっており、これまでも4年毎に体制が入れ替わっていた。加藤氏が就任したのも、その前に社長を務めていた山田隆持氏が退任した2012年。それから4年が経過したことを受け、従来通りの人事が打ち出されたといえるだろう。
新たに就任する吉澤氏は、ドコモが設立した当初からNTTより転籍した初期メンバーの1人であり、加藤氏の部下として同社最初の携帯電話「ショルダーホン」の開発に携わるなど、加藤氏との関係が深い人物である。その後法人営業や経営企画などを経て、加藤氏の体制では副社長に就任していた。
その吉澤氏が新たに社長に就任することで、ドコモはどのように変わるのかというのが、多くの人が最も気になるポイントであろう。その吉澤氏の体制における戦略を見る上で重要なポイントとなるのは、これまでの加藤氏体制によるドコモの取り組みである。
■波乱が多かった加藤氏の体制だが、回復の道筋を示す
加藤氏が山田氏からバトンを引き継いだ当初、ドコモは人気の米アップル製iPhoneを取り扱っていなかったことから、ユーザーの不満が高まり他社への流出が拡大するなど、足元は決して万全とはいえない状況であった。業績が落ち込みつつある状況下で、加藤体制下の同社は長い間、苦戦を強いられることとなる。
加藤体制で最初に打ち出されインパクトを与えたのは、特定の2機種を優遇販売する「ツートップ」戦略であろう。この施策は、iPhone対抗としては大きな効果を上げることはできなかったが、これを機に従来条件が合わず避けていたiPhoneの投入へ積極的に動くなど、短期間のうちに方針を大きく変えたことは、加藤体制のスピードの速さを示したといえる。
そしてもうひとつ大きなインパクトを与えた施策となるのが、新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の導入であろう。この料金プラン変更は、音声通話利用の減少を受け、音声通話で売上を高めてきた従来のプランから、音声通話は定額制にし、データ通信を従量制にすることでデータ通信利用の増加によって売上を高めるよう、収益構造を変える狙いがあった。
しかしながら導入当初は「通話し放題」に惹かれたユーザーの契約が殺到し、データ通信はもっとも安価な「データSパック」が契約の7割強を占めるなど、目論見が大きく外れたことから利益の大幅な下方修正を招いた。このことは、退任が決まった後も加藤氏が「心残り」と話すなど、同社にとって非常に厳しい結果を招いたといえるが、一方で新料金プランの導入積極化で収益構造をいち早く変えたことは、その後の業績改善にも大きく影響している。
ほかにも加藤氏の体制では、固定ブロードバンドサービスの「ドコモ光」の導入や、「dマーケット」をはじめとしたスマートライフ事業の拡大など、新しい取り組みを積極的に推進。その一方で、インド通信市場からの撤退や、大きな損失を出していたmmbiを解散・吸収し、スマートフォン向け放送サービス「NOTTV」を6月末で終了させるなど、山田氏の体制で進められた事業の“負の遺産”整理も進めてきた。
そうした取り組みがようやく功を奏し、15年度通期の決算でドコモは2011年ぶりの増収増益を達成。好業績で吉澤氏にバトンを渡すかたちとなったわけだ。
吉澤氏はよりスマートライフ領域に重点を置いた戦略をとる方針のようだ
■加藤体制を継続しつつ、スマートライフ領域重視へ
そうした加藤氏の体制を引き継いだ吉澤氏は、現状の方針を大きく変えるわけではない。基本的に加藤氏の体制の取り組みをベースとしながら、吉澤氏の色を出していく考えのようだ。
実際吉澤氏は、加藤体制で打ち出された、パートナー企業や自治体との協業によって新しい価値を生み出す「+d」に継続して取り組んでいくとしている。加えて、人工知能(AI)やクラウドなど新しい価値を取り込んで、サービスを創造進化させていく取り組み、そしてコスト削減や5Gに向けた研究開発、ユーザーへの付加価値サービス提供など、あらゆる基盤を強化することを吉澤氏は重視するとしているが、それらの多くは加藤体制から引き継がれたものだ。
だが吉澤体制になって、戦略的に大きな変化を与えようとしている部分も見られる。ドコモは携帯電話事業者であるため、これまでは携帯電話の加入者数や、番号ポータビリティ(MNP)の転入・転出数などを重視してきた。だがスマートフォンの普及の一巡や、MVNOの拡大によってキャリア間の競争自体が複雑になってきたこと、そして端末の実質0円販売の事実上禁止措置によるキャリア間の奪い合い競争の終焉などから、携帯電話事業をこれ以上拡大し、売上を高めるのは難しくなっている。
そこで吉澤氏は、「いかに新しいサービスで価値を提供できるか、サービスの指標を掲げていきたい」と話している。つまり伸び悩みが想定される通信事業よりも、dマーケットやdカードなど、スマートライフ領域の事業を重点的に強化して売上を伸ばす方針を掲げており、今後はスマートライフ領域の利益がドコモの事業を評価する上で大きな意味を持つと見られる。
将来的にはスマートライフ領域の売上が通信事業領域と五分になるまで伸ばしていきたいと、吉澤氏は話している。加藤氏の体制で通信事業がようやく回復してきたなか、現在のドコモの成長を支えるスマートライフ領域を、どこまで拡大できるかが、吉澤氏の評価につながってくるといえそうだ。
(文=佐野正弘/ITライター)
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