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日本の自動車産業がテスラに大敗北を喫する日〜排ガス規制で、世界のパラダイムが変わった 古賀茂明「日本再生に挑む」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48958
2016.06.25 週刊現代 :現代ビジネス
■中国からも遅れをとっている
舛添要一東京都知事の一連の政治資金騒動に時間をとられ、告示間近の参議院選挙の争点についての報道がほとんどない。とりわけ、「アベノミクス」の第三の矢、すなわち「成長戦略」が欠如しているという問題は、まったく議論されていない。
しかも、日本経済の屋台骨である自動車産業でさえ、ライバル各国に取り残されようとしていることを、ご存知だろうか。
いま、世界の自動車メーカーは、熾烈なZEV(排気ガスのない無公害車)開発競争を繰り広げている。それを動かすのが、自動車販売台数世界1、2位の中国(約2500万台)とアメリカ(約1750万台)の高度な排ガス規制作戦だ。
全米最大の自動車市場であるカリフォルニア州など全米10州では、各メーカーに新車販売台数の一定割合をEV(電気自動車)などのZEVとするように義務付けている。
目標をクリアできなかった自動車メーカーは罰金を払うか、目標を超過達成したメーカーから「ZEV排出枠」を購入しなければならない。しかも、トヨタのプリウスに代表されるHV(ハイブリッド車)は、「遅れた技術」として'18年の新規制よりZEVの対象から外される。
米テスラモーターズの新型EV「モデル3」の発売はこの新規制開始前年の'17年末だが、発表直後に約40万台もの予約が殺到した。ZEVの購入には国と州の合計で1万ドル(約107万円)の助成金が出るからだ。
中国も'17年から欧州並みの排ガス規制を導入する。ZEV購入者に最大5・5万元(約90万円)の助成金を出し、'15年にはすでに世界一のEV大国(約19万台)になっている。ここでも、HVは助成対象から外れ、電気自動車が主流になる。
■規制に及び腰の日本
注目すべきは、この政策を米中ともに単なる環境政策ではなく、「成長戦略」の柱としていることだ。規制と助成の巧みな組み合わせで自国メーカーのEV技術を磨き、世界の次世代自動車戦争を制することを目指しているのだ。
一方、安倍政権にはそうした政策と産業の連携戦略がまるで見られない。6月18日号の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48840)で指摘したように、「経済音痴」の経済産業省官僚が政権を牛耳っているからだ。
彼らは、慣れ親しんだ護送船団方式を捨てられない。燃費偽装のあった三菱自動車やスズキを罰したり、下位メーカーが淘汰される厳しい規制を導入したりすることには及び腰だ。
発展著しい自動運転車のカギとなる、デジタル地図の開発でも日本は後手に回っている。今年5月に三菱電機などが設立を発表したデジタル地図の会社「ダイナミックマップ基盤企画」には、日本の自動車メーカー9社が出資。典型的な「日の丸連合」だ。
だが、世界の地図3強、米グーグル、独ヒア、蘭トムトム各社は、それぞれ、フィアット・クライスラー、BMW・アウディ・ダイムラー、米配車アプリ大手ウーバーテクノロジーズなどとの連携を深めている。無計画に張り合っても、日の丸連合失敗事例が増えるだけだ。
ZEVでもデジタル地図の分野でも、ライバルの後塵を拝する日本の自動車産業。マスコミには、舛添問題ばかりでなく、こうした日本経済の問題点も、しっかり報道してもらいたい。
『週刊現代』2016年7月2日号より
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