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最近、中国では民間投資の増加速度が急減速している
中国で民間投資が急減速した4つの理由
http://diamond.jp/articles/-/93550
2016年6月23日 陳言 [在北京ジャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン
最近、民間投資の下落が加速し、中国政府の上層部はこれを非常に重視している。5月4日、国務院常務会議はめずらしく決議を採択し、民間投資促進政策の実行状況についての監督・調査を行い、できるだけ早く中国の民間投資の活力を呼び起こすことを求めた。
5月9日付の『人民日報』に掲載された「出だしの第1四半期の大勢を問う――権威筋が現在の中国経済を語る」という文章では、「民営企業投資が大幅に下落したことは、今まさに無視できないリスクポイントとなっている」と指摘されている。それに続いて、国家発展改革委員会は民間投資を安定させる7項目の措置を提出し、中国銀行業監督管理委員会もまた、銀行が自ら民間投資の促進業務について調査するように求めた。
民間投資を安定させる政策シグナルがたびたび点滅したのは、今年に入ってから民間投資の成長速度が急落したことに始まる。今年1〜4月、中国固定資産投資総額は昨年末の10%増をわずかに上回る10.5%となり、投資が凍りついていた中国経済にわずかながら期待感を持たせた。しかし投資総額の安定の背後には、民間投資と政府投資の「氷(民間)と火(政府)の二重世界」がある。
今年1〜4月、政府系投資が昨年末の9.5%増から20.6%に急増したのに対して、民間投資は10.1%増から5.2%増へと、ほぼ腰折れしている。民間投資の中国の固定資産投資における割合は60%を超えていて、投資成長の中心となっており、今回の民間投資の危機は、当然、政策決定層が非常に重くみるところとなった。
ではなぜ、民間投資は急降下したのか。
■原因1:実体経済の投資収益率の低迷
財新ネット傘下にある投資研究と商業カウンセリング機関、莫尼塔(モニター)投資公司の研究員である鐘正生・張?両氏が、5月31日の『フィナンシャル・タイムズ』中国語版サイト上で発表した文章によれば、今年に入ってから民間投資の下落加速を招いた要因は3つある。まず、実体経済の投資収益率が低迷を続けていること、次に2015年以降、民間資金が実業を離れて金融市場に回り、民間投資の低迷をいっそう激化させていること、さらに、政府系投資が民間投資に対し、明らかな「押しのけ効果」を生んでいることである。
一つ目の要素について言えば、12年第1四半期〜14年第3四半期まで、金融機関の一般貸付の平均利率は8%から7.3%に下がり、さらに非金融上場企業の平均投資収益率は6.9%から6%に下がった。実体経済に新たに投資しても、投資収益は融資コストをカバーできず、民間固定資産投資の成長速度はしだいに下がっていった。
しかし、実体経済の投資収益率が低迷を続けるのは、近年の民間投資の成長率の減速という大きな背景によるものというだけでは、15年以降、民間投資が18.1%から5.2%へと突然下落した事実を説明するには足りない。15年以降、実体投資収益率は低いところで安定しており、一方、金融機関の一般貸付利率は6.8%から5.7%と急速に下がっている。投資(借入)コストと収益の対比からみる限りは、民間投資の成長速度は回復して然るべきである。しかし意外なことに、15年上半期と今年に入ってから、民間投資は2度の大幅な下落を経験している。
どうしてそうなったのか。鐘正生・張?両氏は「金融市場の『分流効果』と政府投資の『「押しのけ効果』が民間投資の急落に致命的な影響を与えた」と考えている。
■原因2:金融市場の「分流効果」
2015年以降、民間資金が実業を離れ、金融市場に向かう傾向が加速している。
まず、不平等な競争が民間資金の実体経済進出の意欲をそいでいる。長期にわたって、中国の銀行の貸付先は国有企業や地方政府の融資プラットフォームへ大きく傾いており、民間への貸借にはひどく冷淡であるのが普通であった。このため、銀行の貸付利率は多くは政府の融資コストを反映しており、民間投資の多くは民間貸借利率を参考にしていた。
14年第4四半期以降、中央銀行は6回にわたる金利引き下げを行い、銀行の一般貸付率を10.1%から5.7%へと大幅に引き下げる誘導を行ったが、同時期の民間貸借利率はずっと19%前後という高水準を保っていた。これは民間投資と政府投資のコストの不対等という状況をさらに激化させた。15年以降、民間投資の下落加速はこれと無関係なものではない。
次に、株式と先物市場が一時高騰し、民間資金は顕著にこれらの金融市場に分流した。民間の融資が難しく、融資コストが高い背景のもと、15年上半期の強気相場、16年3月以降の株式市場の反発と先物市場高騰は、どれも民間の資金に明らかな分流作用を及ぼし、この2つの時期の民間投資はどちらも下落を加速させている。強気相場の始まりと共に、株式市場の1ヵ月の取引量は、14年10月の6600億株から昨年の株式暴落前には2兆400億株まで膨らみ、3倍以上もの増加となった。
株式暴落後に株式市場から撤退した資金はいまだ実体にもどらず、銀行の財テクや基金などの助けを借りて債券市場に流入し、債券市場の「レバレッジ・ブル」を助長した。今年3月以降、信用違約事件の衝撃を受け、中国債券市場は調整期に入った。
しかしこれ以降も、資金が実体経済に戻って来ることはなく、大型商品価格の高騰により大量に先物市場に流入し始めた。3月の先物市場取引量は昨年12月の3兆3700億枚から5兆4400億枚に急増し、史上最高レベルを記録した。民間投資資金は「実体からバーチャルへ」向い続け、各種の資産が順番に強気となり、その動きを相互に増幅させている。
■原因3:政府投資の「押しのけ効果」
政府投資は民間投資に対し、明らかな「押しのけ効果」を生み出している。
公共サービス部門は良好な投資収益率を提供できるが、これらの業界における民間投資は巨大な参入障壁に直面している。上場企業の純資本収益率から見ると、15年に高収益だった業界は、医療衛生・社会活動、水利・環境・公共施設管理、文化・スポーツと娯楽業、建築業の順である。中でも前の二つの業界は非常に強い公共サービス属性を持ち、人口の高齢化と住民の生活レベル向上という背景のもとで、大きな需要不足があり、リスクが比較的小さいうえに高い利益が見込めるが、民間資本はしばしばここに参入する入り口がない。
今年1〜4月、医療衛生・社会活動と水利・環境・公共施設管理の2つの業界における民間投資の割合は、それぞれ38%と22.9%しかなく、政府投資の割合が大きい。同時に政府投資のこの2つの業界における増加速度は、それぞれ民間投資よりも8.1と27.5ポイント高く、政府が長期的に市場を占拠するばかりか、これらの独占的性質をもつ高収益分野への参入をさらに加速していることが分かる。
高収益率をもつ非公共サービス部門でも、政府投資が大挙して参入する現象がみられる。政府はこれらの強みを背景に、民間と利益を競っている。上に挙げたその他2つの高収益率業界である文化・スポーツと娯楽業、建築業は産業自体に独占的体質はなく、民間部門が参入しやすい分野である。
しかし、今年の1〜4月、この2つの業界においても、政府投資総額の成長速度は民間投資よりもそれぞれ24.2、48.1ポイントも高かった。中でも文化・スポーツと娯楽業は近年成長が著しい新興消費部門であり、その比較的高い投資収益率に引き寄せられ、15年上半期の民間投資は、一度は猛烈な成長が見られたが、今年に入って民間投資の割合は急落している。その原因は政府投資が大幅に増えた結果、民間企業が融資コストと地位の非対等という状況におかれ、退出を余儀なくされた可能性が高い。
■原因4:個人資本への制度的差別
5月30日までの段階で、国務院が派遣した9つの民間投資監督調査グループは、中国18省(自治区・直轄市)で10日間にわたる大規模調査を行った。『21世紀経済報道』によると、各地で調査したグループからのフィードバック情報によれば、「個人資本への差別が民間投資不振のまたひとつの重要な原因になっている」という。
各地の私営企業家たちが言うには、「PPPプロジェクト(Public-Private Partnership 公民が連携してサービスを提供するプロジェクト)は名目上、政府と社会資本との協力であるが、実際の運営においては、民間企業は往々にして参入が難しく、国有企業にすべてのチャンスが行ってしまう」とのことである。例えば、国務院が国有企業改革・改編への民営企業の参画を奨励・誘導する過程で、地方政府が「ゾンビ企業」解体を行うとき、国有企業へしか売却しようとしないという。
取材を受けた企業の多くが、「政府を背景にもつ国有企業がプロジェクトに参画しているときは、リスクをコントロールしやすいとみられるが、民間企業はこの方面の保障に欠けるために、門外に締め出される」と語っている。例えば、中央政府がプロジェクト入札において不必要な参入条件をつけてはならないと、何度も強調しているのにもかかわらず、一部の地方政府はいまだ「測量製図甲級の資格」など必要とされない高い資格を参入条件とし、高い資格をもたない多くの民営企業を排除している。
そのほか、一部の政府のプロジェクト入札募集や入札では、一つ100万元強のプロジェクト入札に対し、入札参加企業の登記資本金が5000万元以上という要求がつけられ、多くの中小民間企業を直接締め出している。
さらに検証に値することとして、民間企業からの報告によると、一部の地方では、企業誘致、投資誘致の際には、企業は上座にたてまつられるが、プロジェクトが始まると、地方政府が約束した条件は実現されないとか、一部の省では関係する許可証をとる手続きが複雑で、行政効率が低く、このために企業のプロジェクト実施に支障をきたすなどの状況もみられるという。
2020年までGDPの平均した成長率を6.5%以上に保つことは、L字型経済成長の目標であるが、民営企業が活発な投資をしなければ、効率の悪い国営企業だけでは本当にその目標に達成できるか大きな疑問が残る。しかし、今のところ、民間の力を生かしていく兆しはほとんど見えてこない。
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