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現代グループから離脱した現代重工業の事実上のオーナー、鄭夢準氏〔AFPBB News〕
韓国最大の「現代財閥」、中堅企業に格落ち 止まらない企業離脱・売却で「大企業」から外れる
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47171
2016.6.23 玉置 直司 JBpress
かつて韓国で最大最強の財閥と言えば、「現代(ヒュンダイ)グループ」だった。
創業者の子供たちによる経営権継承を巡る対立で現代自動車や現代重工業など有力企業がすでにグループから離脱していたが、残っていた有力企業も相次いで売却、離脱が決まった。
縮小に歯止めがかからない現代グループは、近く目実ともに「大企業」の看板を降ろすことになる。
現代グループの主力企業である現代商船は、早ければ2016年7月中にも臨時株主総会を開く方向で取引銀行団などと協議中だ。
海運業界の国際アライアンス加入問題など、なお、不透明な点は残っているが、現代グループ企業やオーナー家が保有する株式を大幅に減資して、事実上、銀行管理による再建を模索する方向だ。
■主力の現代商船、グループ離れ銀行管理に
現代グループと取引銀行団との協議がまとまれば、現代グループ企業とオーナー家の持ち株比率は1%台に下がる可能性が強く、現代商船は現代グループから離れることになる。
国策銀行の韓国産業銀行(KDB)など取引銀行が債権を株式に転換して大株主となり、当面は銀行傘下で再建作業を進める手順だ。
銀行団は、現代商船が国際アライアンスに加入することが支援の条件としている。現代商船は、商船三井、日本郵船などが設立する「ジアランアンス」への加入を申請している。これが認められるかはまだ分からない。
ただ、現代グループが現代商船を抱えて再建を進める可能性はほとんどないとの見方が強い。
現代グループは、主力企業だった現代商船の経営不振で資金繰りが悪化し、資産売却を重ねてきた。2016年に入ってからも、現代証券など金融関連企業を大手銀行である国民銀行を傘下に持つKB金融持ち株会社に売却したばかりだった。
相次ぐ売却と分離で、現代グループは、大幅に縮小することになる。
韓国の公正取引委員会の2016年4月に発表した「大企業集団の現況」によると、現代グループの資産規模は12兆2820億ウォン(1円=10ウォン)で、公企業を除くと財閥30位だった。
だが、現代グループの中で資産規模が最大の現代商船と2番目の現代証券、さらに金融会社がグループから離れることで、グループの規模は一挙に4分の1以下になる。
韓国では、「大企業グループ」の基準は資産規模に応じて公正取引委員会が定めている。
従来は、資産規模が5兆ウォン以上の企業グループを「大企業集団」として定め、グループ企業同士の株式持合いや循環出資、債務保証などについて禁じたり規制をかけたりしてきた。
2016年6月からはこの基準が「資産規模10兆ウォン以上」になった。
■「大企業グループ」から脱落
現代グループは、資産規模が2兆〜3兆ウォンに激減すると見られ、どちらの基準でも「大企業グループ」には該当しなくなる。
韓国メディアは、「現代グループもついに中堅企業に・・・」などと報じている。
現代グループには、では、どんな企業が残るのか。
主力企業は現代エレベーターになる。シンドラーが17%出資する合弁会社で、韓国でトップシェアを握る。2015年の売上高は1兆4487億ウォン、営業利益1565億ウォンと優良企業でもある。
これ以外では、北朝鮮事業を手がける現代峨山、ソウルで高級ホテル、バンヤンツリーホテルを運営するエイブル現代ホテル、情報サービスの現代U&I、シンクタンクの現代経済研究所などがある。
「北朝鮮事業は大苦戦しているが、現代エレベーターと現代U&Iを中心に堅実に経営することは可能だ」(韓国紙デスク)という。
「それにしても・・・」。このデスクは、現代グループの凋落振りを感慨深げに振り返る。
今でこそ、財閥30位に甘んじているが、現代グループはずっと韓国最大の財閥だった。1987年に大企業グループの指定が始まった時の資産規模1位は現代グループだった。その後も、2000年まで、一度もサムスングループに首位の座を譲ったことがなかった。
サムスングループは、2001年に初めて資産規模で首位に立ち、その後も急拡大を続け、2016年4月の公取委の発表では資産規模が348兆2260億ウォン。ぶっちぎりで首位を独走している。
■現代グループ、縮小の歴史
現代グループは、1990年代末からばらばらになってしまった。
現代財閥の創業者である鄭周永(チョン・ジュヨン=1915年〜2001年)氏は、スケールの大きな企業家だった。だが、スケールが大きすぎたのか、韓国最大の財閥総帥の座では満足できなかった。
1992年に政界に進出した。春の国会議員選挙で自分が作った「統一国民党」が新党ブームを起こすと、この勢いをかって年末の大統領選挙に出馬したが、金泳三(キム・ヨンサム)氏に敗れる。
大統領の夢を絶たれる今度は自分の故郷である北朝鮮関連事業にのめり込む。19998年には金正日(キム・ジョンイル)総書記と会談して、金剛山(クムガンサン)観光事業などで合意した。
現代グループの経営は子供たちに徐々に権限を委譲していたが、創業者が高齢になるとともに「後継者問題」が出てくる。
創業者の後継者問題はいつも難しい。特に、子供が何人かいる場合は、さらに複雑だ。最近のロッテグループでの経営権を巡る兄弟間の紛争はその典型例だ。
特に鄭周永氏の場合、1990年代末以降、北朝鮮事業に関心が移り、判断に迷いがあったのか。長兄格の鄭夢九(チョン・モング=1938年生)氏などを差し置いて、北朝鮮事業などを手がけていた鄭夢憲(チョン・モンホン=1948年〜2003年)氏をグループの後継者に指名したことで兄弟間の争いが勃発した。
■悲運の後継者が自殺
結局、鄭夢九氏は、弟が後継になることに反発し、現代自動車を率いて独立してしまう。他の兄弟たちも、現代重工業、現代百貨店など有力企業を続々と独立させてしまった。
鄭夢憲氏は「現代グループ」を継承したが、かつての姿ではなかった。規模が大きく収益性も高い現代自動車や現代重工業が抜けてしまったのだから、大財閥とは言えなくなった。
現代グループは、公取委が毎年発表する「大企業集団資産規模ランキング」で、2002年を最後にトップ10から消え去る。
2001年に鄭周永氏は死去する。鄭夢憲氏は、後継者として、父親の悲願だった北朝鮮事業の成功を目指していた。そんな時に、悲劇が起きる。
北朝鮮への機密資金供与の容疑で鄭夢憲氏が連日検察の取調べを受け、その間に本社ビルから投身自殺したのだ。
■後を継いだのは夫人だったが・・・
鄭夢憲氏の後を継いだのが夫人の玄貞恩(ヒョン・ジョンウン=1955年生)氏だった。専業主婦の生活を送ってきた玄貞恩氏は、夫の自殺で、現代商船を頂点とした現代グループの総帥に就任したのだ。
そもそも鄭夢憲氏と 玄貞恩氏の結婚の契機になったのは「海運事業」だった。 玄貞恩氏の父親は資産家の家で生まれ1960年代に海運会社を設立した。
その後、1970年代初めに現代財閥の創業者である鄭周永氏が造船事業に進出した。巨大な造船所を作ったものの、船を売るのは簡単ではない。この時、玄貞恩氏の父親が海外の海運業界に持っていた人脈を生かして協力した。
鄭周永氏が、造船所で作ったものの引渡しを拒否された船を使って海運会社を設立した際も、ライバル会社になるにもかかわらず玄貞恩氏の父親が発起人の1人に名を連ねた。
こうした経緯で、父親の会社と鄭周永氏が設立した海運会社が政府の産業政策の一環で合併して「現代商船」ができたとき、玄貞恩氏の父親が会長になっている。さらに鄭夢憲氏と玄貞恩氏の結婚にも発展した。
だから、玄貞恩氏にとって、現代商船とは父親が初代会長を務め、自殺した夫がこれを継いだ因縁の会社なのだ。
もちろん玄貞恩氏は、鄭夢憲氏との結婚後、事業にはノータッチだった。学校法人の理事長だった母親を手伝うことはあっても、現代グループの事業とは無縁だった。
夫の自殺で、父親が会長を務めていた現代商船を傘下に持つ現代グループの会長になったのだ。
■茨の道の会長業、最後に一定のけじめ
2003年に夫を継いだものの、玄貞恩氏の現代グループ会長としての日々は平坦ではなかった。現代財閥の創業家である「鄭ファミリー」からは、執拗に圧迫を受ける。
小さくなったとはいえ「現代グループは、鄭ファミリーのもので、経営権を譲れ」と迫られる。これに応じないと、鄭ファミリーが率いるグループが、現代商船の株式を買い占める「経営権紛争」まで起きた。
南北関係の悪化で北朝鮮事業は苦戦続きだった。
現代商船の経営権は何とか死守したものの、リーマンショック以降、急速に業績が悪化してしまった。2015年決算で6270億ウォンの最終損失を計上。負債も急速に拡大し、経営に行き詰まる。
玄貞恩氏には、現代商船の経営権を放棄して銀行に委ねる以外の選択肢はなかった。
玄貞恩氏は、それなりの責任を果たした。現代商船が経営年に陥っていた2016年2月に300億ウォンを提供して個人で増資に応じた。この株は、今回の大幅減資でほとんど価値がなくなった。資金繰りをつけるため、「事実上、私財を提供した」という評価を受けている。
さらに、傭船料引き下げ交渉でも、外国の船首に手紙を送り、最後まで交渉を続けた。
同じく経営危機に陥った韓進海運では、夫の急死で会長に就任していた夫人が、経営情報を事前に知って持ち株を株価急落前に全量売却していた容疑で取調べが続いている。
こうした行動と対照的だとの好意的な見方もある。
それでも、現代グループが「大企業」の座から転落して、現代商船は経営危機に陥り、銀行管理を模索している。経営責任を逃れることはできないだろう。
韓国では、夫の急死で経営の後を継承する妻は少なくない。オーナー経営であるがゆえに、こういうことが起きるのだ。
現代グループの転落は、オーナー経営の限界も示している。
独立していった他の企業はどうなったのか。現代自動車は、起亜自動車を買収して成長を続けている。資産規模も209兆ウォンでサムスングループに続く地位だ。
造船が主力の現代重工業は、国会議員などを務めた鄭夢準(チョン・モンジュン)氏が事実上のオーナーだ。世界最大の造船会社で資産規模も53兆ウォンと巨大グループだが、造船事業の不振で抜本的な再建策が必要になっている。
現代百貨店は、ロッテや新世界グループに押され気味だが、資産規模が12兆ウォンでこちらも「財閥」の地位は維持している。
かつて、現代グループの発祥企業だった現代建設が経営危機に陥り、銀行管理になった。その後、現代自動車が買収して、「現代発祥企業」を守った。
現代商船も伝統企業だが、本来は関心があるはずの現代重工業も自社の経営で手一杯だ。韓国メディアは、銀行主導で、韓進海運との合併による業界再編に発展するとの見方も出ている。
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