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東芝の新社長、綱川智氏(つのだよしお/アフロ)
絶望の東芝:いわくつき人物の会長就任に強烈な拒否行動…「泥船」原発事業のめり込み
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15591.html
2016.06.22 文=編集部 Business Journal
世界の機関投資家に影響力を持つ米議決権行使助言大手2社が、東芝とタカタのトップ人事に反対推奨をしている。東芝の株主総会は6月22日、タカタは28日に開催される。
インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、東芝の綱川智代表執行役副社長の社長昇格に反対した。「旧経営陣の干渉を許し、会計不祥事を引き起こした企業文化を維持した責任を負うべき」としている。会社不祥事とは粉飾決算のことだ。綱川氏は、東芝のトップに君臨していた西室泰三元会長の影響を強く受けているということが、選任反対の本当の理由とみられているが、ISSはそこまで踏み込んだ言及はしていない。
一方、グラス・ルイスは、綱川氏と、会長に就任予定の志賀重範代表執行役副社長の2人の社内取締役、また小林喜光氏ら6人の社外取締役(いずれも再任)の計8人の選任案に反対した。
東芝の新会長に内定している志賀氏は“原子力村”の人だ。原子力技術部長を歴任し、東芝が米ウェスチングハウス(WH)を買収した2006年からペンシルベニア州に駐在し、WHの会長、社長を務めてきた。エネルギーシステムソリューション担当である。
東芝は6月22日の株主総会後、WHの社長兼最高経営責任者(CEO)のダニエル・ロデリック氏を、かつては東芝の本流といわれた重電部門のトップ、エネルギーシステムソリューションの社長に起用する。
「若干グレーだが、原子力という今後の国策的な事業をやるには余人をもって代えがたい」――志賀氏を会長に選んだ東芝指名委員会委員長の小林氏は5月6日の記者会見で、このように感想を述べた。2013年、志賀氏がWHの会長だった時代に東芝はWHの損失を過少計上していた。志賀氏はこれを見逃した疑いが持たれている。
■東芝、日立の原発部門統合を進める経産省
経済産業省は東芝、日立製作所の原発部門を統合することを水面下で画策している。東芝と日立は原発導入の国策に沿って米ゼネラル・エレクトリック(GE)の技術をもとに沸騰水型原子炉(BWR)の製造を始めた歴史がある。東京電力の福島第1原発はBWRを採用しており、同原発で11年に事故が起きた後、国内の原発は順次停止し、海外も新設が進まない状況が続いている。
WHが手掛けているのは加圧水型原子炉(PWR)の最新型だ。6月、WHはインドでPWRを 6基、新規受注する見通しとなった。東芝グループとしては東日本大震災後、初の本格受注となる。
東芝はWHのPWRに経営資源を集中し、BWRは国有化してもらいたいというのが本音だろう。経産省は東芝の意向を忖度し、日立との原発統合を目指しているとの声が永田町にはある。果たして思惑通りに進むのだろうか。日立のBWRも開店休業状態で、東芝とのBWR再編は歓迎するところだろう。
経産省は三菱重工業の原発事業も一本化したいようだが、同社はPWRだ。現在、稼働中の九州電力川内原子力発電所の2基は、三菱重工のPWRである。三菱重工は経産省が描く一本化のシナリオに消極的だ。はっきり距離を置いている。
経産省は「東芝は原発政策を実現するための国策企業」と位置づけている節がある。東芝の原発部門が潰れては困るのである。原発の輸出、福島第1の廃炉でも東芝は経産省にとって重要なパートナーなのだ。
経産省が描く原発再編に、東芝は不可欠な存在として組み込まれている可能性が高い。そして、東芝の原発の窓口が志賀氏なのである。志賀氏を会長に、ロデリック氏を本体の電力部門のトップに据えた人事は、東芝の「今後も原発に100%コミットしてまいります」との決意の表れといえる。
グラス・ルイスが、綱川氏と志賀氏、そして6人の社外取締役の選任に反対しているのも、ひとつの見識だ。小林氏以下、名前を良く知られた経営者たちが東芝の社外取締役に就任しているが、この6人は社外取締役として旧経営陣の経営への関与に対して、どのような防止策を提言したのだろうか。小林氏を筆頭に、主な社外取締役は西室氏が直々に説いて就任してもらった経緯があり、西室氏を否定することを言えない立場だ。西室氏は3月に相談役も退任し、表面上は失脚したと見られているが、今でも表立って西室氏を批判できない文化が継続している可能性は高い。
■西室氏の影が残る東芝経営陣
前社長の室町正志氏を社長に登用したのは、当時相談役で日本郵政社長だった西室氏である。西室氏は、日本郵政の定例会見で、「(室町氏)本人は辞めると言っていたが、私が絶対に辞めないでくれと頼んだ。1人はリーダーシップを取る人が必要なので残ってもらった」と語り、自らが引きとめたことを自慢した。自分が東芝のキングメーカーであることを、問わず語りで明らかにしたわけだ。
三菱ケミカルホールディングス会長(経済同友会代表幹事)の小林氏、アサヒグループホールディングス相談役の池田弘一氏、資生堂相談役の前田新造氏は、いずれも西室氏の財界人脈だ。「直接、口説いて社外取締役に就任してもらった」と西室氏本人が語っている。前田氏は取締役会議長を務めている。
15年7月上旬、猛暑が続いていた最中、西室氏は小林氏、池田氏、前田氏のオフィスを訪ね、「東芝を助けてやってください」と社外取締役への就任を頼み込んだ。小林氏にとって西室氏は財界の大先輩にあたる。西室氏は経団連の副会長や評議員会議長を務め、政府との関係も深い。東京証券取引所の経営トップを経て、日本郵政の社長に就任。安倍晋三首相が戦後70年談話のために設けた私的諮問機関「21世紀構想懇談会」の座長も務めた。東芝社内でも米国駐在が長い国際派として知られ、日米経済協議会の会長もやっている。同協議会では小林氏が運営委員を務めていた。
池田氏は就任の経緯について「アサヒビールが厳しかった時に助けてもらった。恩返しをしたいので社外取締役を引き受けると決めた」と述べている。アサヒの池田氏と西室氏との関係も20年来のものだ。西室氏が東芝の会長時代、経営諮問委員会をつくった。池田氏に加えて前田氏もこのメンバーに入った。「東芝の経営についても知識を持っており、危機管理体制の構築に欠かせない」と西室氏が判断したと伝えられている。
■東芝のガバナンスに疑問の声
社外取締役の3人は経済団体の要職経験者だ。小林氏は経済同友会の代表幹事、池田氏は経団連評議員会の副議長、前田氏は日本商工会議所の特別顧問で東京商工会議所副会頭。3人の就任が固まった際、西室氏は周囲に「経済3団体が支えるフォーメーションが整った」と笑みを漏らしたといわれている。
ほかの社外取締役についても紹介しておこう。公認会計士の野田晃子氏は東芝で西室氏と同期だった。西室氏は法務省公安審査委員会委員を務めたことで法曹界にも人脈が広がり、元最高裁判事の古田佑紀弁護士の社外取締役就任につながったという。佐藤良二氏はトーマツシニアアドバイザーなどを務め、東芝では監査委員会委員長(常勤)。社外取締役は6氏とも再任である。
東芝が正常なガバナンス(企業統治)を取り戻すには、外国人の社外取締役のようなカンフル剤が必要なのではないだろうか。記者会見で「外国人は考えなかったのか」という質問が出たが、会社側は「時間が足りず、思いを達成できなかった」と答えた。取締役会議長にしても社外取締役にしても、火中の栗を拾う覚悟のある、本物の公正・中立な経済・産業界のキー・パーソンがいなかったということなのだろう。
東芝の株主総会でグラス・ルイスが「ノー」を突きつけた会長、社長と6人の社外取締役の賛成票の比率がどの程度になるか注目したい。社長にはISSも反対している。一般的に、新社長、新会長が就任する際は、ご祝儀も兼ねて98〜99%といった高率の支持が集まるが、それが80%台であれば実質的に市場は「不信任」と判断したといえる。
有名経済人の支持率はどうなるだろうか。小林氏は最近、「政治と経済は車の両輪ではない」と発言して、「政治と経済は両輪」が持論の榊原定征・経団連会長の安倍首相追従路線に異議を唱えたことが物議を醸した。その小林氏が、東芝の社外取締役としては切れ味が鈍い。どのような事情があるにせよ、本当のことが言えないのなら辞めたほうがいい。社外取締役に在任していた9カ月間の取締役会への出席率は90%(10回中9回)。ちなみに、ほかの5人の社外取締役は100%だ。また報酬委員会への出席率は83%(6回中5回)で、自身が委員長を務めている指名委員会には9回中9回出席している。
東芝が国内でBWRに執着するのは、会社を潰さないための“保険”となっているからだ。たとえ半導体が失敗しても、国産の原発会社として生き残りを目指すことができる。
6月28日に開くタカタの株主総会では、欠陥エアバッグ問題で経営危機を招いた責任があるとして、ISSは高田重久会長兼社長の取締役選任案に反対している。グラス・ルイスは高田氏と社外取締役の西岡浩史氏の選任案に反対している。
(文=編集部)
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