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英のEU離脱はリーマン以上の衝撃か 市場にはY2K騒動と同じ 英国が握る欧州の運命 
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 21 日 21:22:03: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

(回答先: 英EU残留でも1ドル=100円突破へ、離脱なら「大惨事」−榊原氏 北欧の金融政策困難に 英大手銀、低所得層地域で支店閉鎖 投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 21 日 21:07:04)

英のEU離脱はリーマン以上の衝撃か

専門家に聞く
By LESLIE P. NORTON
2016 年 6 月 21 日 08:18 JST
• 英国のEU離脱が投資家に及ぼす最大の悪影響、資本の自由移動の一時的制限か

 ラッセル・ネーピア氏は、独立して活動するストラテジストであり、市場の歴史に詳しく、投資家の居心地のよい想定に異議を差し挟むことを好んでいる。スコットランドのエディンバラ市を本拠とし、アジアの投資銀行CLSAの株式市場およびグローバルマクロのストラテジストとして20年を過ごしてきた。現在は、共同で設立した投資調査のためのサイト「ERIC(Electronic Research Interchange)」で、世界のマクロ経済や戦略についてのレポートを発行している。また、エディンバラで、「過ちの図書館」という名前の金融史専門の図書館を設立し、世界中の大学で同じ図書館を作りたいと計画している。ネーピア氏は2011年以来株式にもコモディティーにも弱気で、先進国はデフレに見舞われると予想している。

本誌:英国では6月23日に欧州連合(EU)離脱の是非を問う重大な国民投票が行われるが、結果をどう予想するか?

ラッセル・ネーピア氏(エジンバラの「過ちの図書館」にて) ENLARGE
ラッセル・ネーピア氏(エジンバラの「過ちの図書館」にて) PHOTO: MARTIN HUNTER FOR BARRON’S
ネーピア氏:五分五分で予想が難しい。欧州を連邦化しようとする動きは大幅な憲法改正を意味し、ある段階で各国国民の支持を今回のような国民投票で確認する必要が生じるだろう。英国だけでなく、欧州域内の国民は、右派であれ左派であれ、EU内での各国の主権維持を主張する候補者に投票している。これは、共通通貨を持つ能力とは全く反対方向の動きだ。今は第1ラウンドにすぎない。最も重要な国民投票はユーロ圏内の国で行われるだろう。フィンランド、オランダ、イタリアなどで国民投票が行われると予想している。欧州の法律によってイタリアは銀行の資本増強を迫られているが、それはうまくいかないだろうし、イタリア経済にとって良くない。イタリアはこの問題の対処に早急に動くだろう。

Q:英国が離脱を選択した場合、スコットランドは再度独立を推進しようとするか?

A:もしスコットランドが残留を望み、英国全体では離脱を望んだ場合、スコットランドの独立を問う国民投票が行われる可能性がある。

Q:市場への影響は?

A:投資家にとって最も重要な問題は、為替管理だ。例えば、ユーロ圏の加盟国の一つが国民投票で離脱を決めた場合、金融の安定を守るため資本規制の一時的な実施は政治的に正当化される。EU条約でも、極端な状況下での為替管理を許容している。大局的に見ると、オープンエンドのファンドの原資産の流動性低下がより深刻になるだろう。オープンエンドのファンドの保有資産は世界中に37兆ドルもある。政治家は、金融業界の一部をまひさせる可能性があるにもかかわらず、資本の自由移動に障壁を設けるだろうか。

• 金融政策と財政政策の区別がなくなる日

Q:「政策単一化」についてのレポートを発表したが、どういう意味か?

A:「政策単一化」という用語は、金融政策と財政政策がもはや区別できなくなる時を指す言葉として私が考案した。これは、バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長の有名なヘリコプターマネーのスピーチで語られた最後の段階のことだ。簡単に言うと、FRBの取る措置の中には、量的緩和(QE)、イールドカーブの実質的固定、フォワードガイダンス(利上げ予告)、インフレターゲット、為替介入などが含まれる。日銀は、バーナンキ前議長の提案のうち、最後の一つ、すなわちヘリコプターマネーを残して全て実施した(2002年に同前議長は、ミルトン・フリードマンを引き合いに出し、中央銀行は空から通貨をばらまくことでインフレや経済成長を創出できる可能性があると述べた)。中央銀行は自身の方策が尽きた時、政府を頼る。ある朝全ての先進国が政策単一化を選択したなら、経済成長、インフレ、リフレーションを信じざるを得なくなるだろう。しかし、日本が一国だけで実施すれば、急激な円安を招く。

Q:ヘリコプターマネーは日本でどのように実施されるか?

A:道路や橋を建設するのではなく、消費奨励になるだろう。例えば、10歳未満の子供のいる家庭は全て非課税にするといった具合になるかもしれない。財政赤字はかなり膨れるが、中央銀行が紙幣を増刷して賄う。こうすれば、消費する人たちの手に金が渡ることになる。全てを試してうまくいかなければ、最後の手段を取らざるを得ない。実施すれば12カ月以内に円のレートは1ドル130円より安くなると私は自信を持って予想する。

Q:他に単一的政策を取る国はどこか?

A:ヘリコプターマネーは、米国ではまだまだ先だ。もしやるなら、道路や橋の建設だ。欧州では銀行システムが十分に盤石かどうか分からない。政治家と中央銀行が結託すれば、中央銀行の独立性などなくなる。日本から始まるが、広がっていくだろう。

Q:人民元が20%下落すると予想したのは有名だが、人民元は円に対しては安定している。円安が進むとどうなるか?

A:人民元のレートは最も政治的だ。負債で膨れ上がった中国経済を信用拡大と金融政策で維持しようとすると、為替政策の制約を受ける。通貨供給が増えれば、人民元の下落を招くのは当然だ。円が下落し始めたなら人民元も後を追うだろうが、これは米国の大統領選の後になるだろう。米国でトランプ大統領誕生につながるのではと懸念されているからだ。

• デフレは株式相場の最大の敵

Q:FRBの次の行動は?

A:FRBは、世界の金融システムの脆弱(ぜいじゃく)性を理解しているため、利上げをためらっている。企業利益は軟調で、以前から強くない設備投資はさらに鈍化し始めている。5月の雇用統計も弱かった。金利がゼロに近いまま、このような鈍化が始まるのは非常に心配なことだ。イエレンFRB議長の手段が尽きたと言っているわけではない。米国は日本や欧州とは違う位置にいる。同議長が世界の金融システムの脆弱さを警告し続ける国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事と長時間にわたる対話を行ってきたこともあるだろう。

Q:「Anatomy of the Bear(弱気派の分析)」という著書がある。株式市場の予想は?

A:経済成長がプラスでインフレ率も0〜4%の世界であれば、株式のバリュエーションは高くなる。現在の景気循環調整後の株価収益率(PER)は26倍と高いが、極端に高いわけではない。株式市場にとって最も危険で悪影響が大きいのはデフレだ。キャッシュフローが減るからだ。負債が多くて払えない場合は自己資本部分が吹っ飛んでしまう。デフレは信用不安を伴う。2007〜2008年であれ、1928〜1929年、1919〜1921年であれ、市場の下落は急速なものだ。今日の株式市場は依然として高いが、世界の経済成長は鈍化しており、貿易も良くない。デフレを伴った景気後退に陥る可能性もある。信用不安があると、相場は急激に動く。新興国市場の負債は、外貨建てが多いため、命取りになりかねないと考えている。株式相場は2009年3月の底よりさらに下落せざるを得ないと私は今でも信じている。

Q:米国の大統領選挙をどう見ているか?

A:トランプ候補は結局、極端なプラグマティストだ。クリントン候補が勝てば、民主党が議会を再び掌握し、ヘリコプターマネーにかなり近付く。

• バーゲンセールに備えよ

Q:どの資産クラスを選好しているか?

A:まず米国の30年物国債、ならびに米国債よりやや利回りの良いシンガポール国債の他、金、さらに米ドルヘッジされた日本の株式を選好する。ヘリコプターマネーが実施されれば、日本の投資家は「債券を保有して一体何をしているのか」と自問自答することだろう。

Q:「過ちの図書館」を設立したが、金融界で現在犯されつつある大きな過ちは何か?

A:多くの過ちは自信過剰の反映で、最大の過ちとは銀行システム全体を引きずり込むものだ。最近では、米国の住宅不動産が下落することはないとの考えに基づいて起きた失敗があった。現在の最大の過ちは、マクロプルーデンスな規制だ。最近英国では、中央銀行の命令に基づき、商業銀行の住宅ローン供給能力を制限する法律を可決した。これは資本配分への国家介入で、まるで中国版の資本主義だ。マクロプルーデンスな規制は、ニクソン元大統領時代の信用統制への逆戻りだ。最後に、今日の米国では、金利が非常に低いため過剰なレバレッジは問題ないとの考えがある。これは間違いだ。現時点での重要なポイントは、レバレッジを解消し、バーゲンセールになった時の準備をすることだ。ヘリコプターマネーが始まれば、反対に再度レバレッジを高めるべきだ。

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英EU離脱、市場にはY2K騒動と同じ
ブレグジットは恐れるに足らず、米大統領選でクリントン氏勝利ならインフラ株がアウトパフォームか(写真はロンドンの国会議事堂前) ENLARGE
ブレグジットは恐れるに足らず、米大統領選でクリントン氏勝利ならインフラ株がアウトパフォームか(写真はロンドンの国会議事堂前) PHOTO: BLOOMBERG NEWS
By RANDALL W. FORSYTH
2016 年 6 月 21 日 08:26 JST
•恐れるに足りないブレグジット

 英国が欧州連合(EU)に残留すべきかどうかを問う6月23日の国民投票は、さまざまな市場や金融メディアで強迫観念に近いものとなってきた。ブレグジット(英国のEU離脱)は大混乱を引き起こすと推定されているからだ。古い英紙の有名な見出し「英国海峡濃霧−欧州大陸孤立」とは状況が逆転しているので、EUから離脱した英国は漂流することになるとの見方もある。

 しかし、英国が欧州を必要としている以上に欧州は英国を必要としているかもしれない。世界有数の経済規模と信用格付け「トリプルA」を有する国のEU離脱は、債務でにっちもさっちもいかなくなったギリシャがユーロ圏を離脱するのよりも重大な影響をもたらすだろう。

 ロンドンが世界有数の金融センターという地位を失うかもしれないという、より深刻な懸念もあるが、それは大げさな見方かもしれない。というのも、近年の金融関係者は昼間に重要な仕事をこなし、その後で気分転換が図れるような都市を必要としているからだ。例えばニューヨークには国際的な文化と多くの優良なレストランがある。欧州にも後者の条件に当てはまる都市はたくさんあるが、前者の条件を満たしておらず、前者の条件を満たしている都市には後者の要素がない。

 ブレグジットの是非を問う国民投票の結果やその影響については誰にも分からない。そういう意味では、過去の不気味な予測不能事態を彷彿(ほうふつ)とさせる。しかし、そうした事例のほとんどは、結局、恐れるに足らないものだった。

 BCGブローカーズの独立部門でロンドンの大手仲買業者であるミント・パートナーズのビル・ブレイン氏は投資家向けの書簡「モーニング・ポリッジ」の中で、「ブレグジット直後に起きるとされている長期的な金融不安に対する感情的な警告は、Y2K騒動の二の舞になると考えている。当時は誰もが飛行機が墜落し、あちこちで停電が起きると思っていたが、実際にはそんなことはなかった」と述べている。

 「市場はその影響を織り込んでおり、人々は先を争って割安になった株式を購入し、世界の中央銀行は十分な流動性を提供しているというのが現実だ」とブレイン氏は指摘する。それでも、先週の世論調査で離脱派の優勢が示されると、市場は下落した。

 市場は木曜日と金曜日に持ち直したが、それは最も悲しむべき理由からだった。16日に発生した英労働党ジョー・コックス下院議員の暗殺事件で離脱派の集会が中止になったのだ。冷酷な話だが、株式やその他のリスク資産はこれを受けて反発した。それでも週間ベースではS&P500指数が1.2%、ナスダック総合指数が1.9%、ダウ工業株30種平均(NYダウ)は1.1%の下落となった。

•クリントン氏勝利で製薬関連打撃か

 予備選挙は全て終了したが、米国民にとっての長い悪夢である大統領戦が終わるまでにはあと5カ月近くもある。クリントン氏とトランプ氏は、ほとんどの世論調査で依然として統計学的な誤差の範囲で拮抗(きっこう)しているが、米株式市場は既に民主党指名候補が確実なクリントン氏に1票を投じている。

 少なくとも、機関投資家のためにリサーチを行うストラテガス・リサーチ・パートナーズが発表した2つの報告書はそう結論付けている。どちらかの党の方が米国株式市場にとって好ましいということはない。投資家にとって最も重要な色は共和党のレッドでも民主党のブルーでもなく、ドル札のグリーンなので、「市場は選挙で誰が選ばれようとうまく対処できる」という。

 その報告書はさらに、「投資家が選挙で本当に注目すべきは、政策で業績が大きく変わり得るセクターである」と述べている。「2012年の大統領選挙後は病院関連銘柄をロングし、石炭関連銘柄をショートする」という取引が主流だったが、クリントン氏が勝った場合に打撃を受けそうなのは製薬会社である。「iシェアーズ・ナスダック・バイオテクノロジー上場投資信託(ETF)の相対的なパフォーマンスがクリントン氏勝利の確率と逆相関関係にあるのは偶然ではない」。

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【社説】英国が握る欧州の運命
弱体化しつつある欧州は英国を必要としている
残留派団体によるビラ配り(20日、ロンドン) ENLARGE
残留派団体によるビラ配り(20日、ロンドン) PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
2016 年 6 月 21 日 18:05 JST

 英国の欧州連合(EU)離脱を問う23日の国民投票はこの国にとって、マーガレット・サッチャー首相を生んだ1979年の選挙以降で最も重要な投票となる。われわれは同国が残留を選ぶことを望んでいるが、その理由は力強い英国の存続そのものよりも、21世紀の課題に対応できない欧州が離脱から受けかねない打撃への懸念が大きい。

 米国の国益は自由で豊かな欧州にある。それを最大限に引き出すのはEUの中で仏独を均衡させる英国だというのがわれわれの持論だ。英国は欧州諸国よりも大西洋の西の方角を見ており、欧州の各種議会における理性の声といった存在である。

 これは貴重だ。何しろ欧州は過去10年、明らかな失敗続きなのだから。スペインやアイルランドのようにまれな例外は別として、EUもユーロ圏も欧州にどうしても必要な経済成長を取り戻せずにいる。リーダーたちには、時代に合わない福祉国家の改革や中東・北アフリカの紛争解決に向けて市民に犠牲を求める能力も意思もない。難民危機対応の失態は市民の信頼を損ない、移民排斥主義の右派政党が支持を増す結果につながった。

英国民投票で占う米大統領選の行方
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WSJの欧州論説ページエディター、ジョゼフ・スターンバーグ記者が、英国でのEU離脱を巡る議論について解説する(英語音声、英語字幕あり) Photo credit: Getty Images.
 海峡の向こうからこれを見ている多くの英国人が、自分たちは単独のほうがうまくやれると考えても無理はない。実際、多くの面でそうだった。英国は破滅を予想されながらもユーロ不採用を貫き、成功している。金融危機以降の成長率は欧州で有数の高い水準にある。パスポートなしに自由に国境を越えることを認めたシェンゲン協定は適用除外されており、難民危機を逃れている。

 だが離脱派の主な主張は、綿密にみるとそれほど説得力がない。まず、EUの規制から自由になれるとの見通しだ(気持ちはわかる)。しかし、離脱派はサッチャー主義への回帰を約束しているわけではない。ロンドン市長ボリス・ジョンソン氏は保守党で最も有名な離脱派だが、国民保険サービスや国内企業に対する補助金には賛成だ。ナイジェル・ファラージ氏の英国独立党は保護貿易主義を掲げている。

 保守党のマイケル・ゴーブ氏は自由市場を崇拝しているが、EUの規則は英国が自由市場の導き手になることを妨げない。英政府はいつでも、法人税をアイルランドと同じ12.5%に引き下げる可能性がある。障害は国内の政治だ。

 EUは数々の欠点こそあるものの、自由貿易について加盟国より強い発言力を持つことが多い。離脱すれば英国は、貿易の条件についてEUとあらためて交渉しなくてはならず、それは結局EUの規則の大半を受け入れることを意味しそうだ。非加盟国のノルウェーが現在しているのと同じである。さらに英国はEUの動静にほとんど口出しできなくなる。

 残留派は離脱によって経済が打撃を受けると予想しているが、怪しいものだ。ただ、新たな不確定要因が生まれ、市場の変動性が高まることにはなりそうだ。ドイツの対英貿易黒字は2015年には460億ドルに上っており、ドイツの輸出業者は世界5位の英国経済に対するアクセスを求めるだろう。だがわれわれとしては、英国がEUの中で金融規制について交渉し、ドイツの重商主義を和らげ、世界貿易の自由化を促している姿を見たい。

 さらに説得力に乏しいのは、入国管理を巡る離脱派の不安だ。特にEU加盟国のパスポートを持っていれば英国に住めるというEUの規則が懸念されている。キャメロン首相は今年、移民に対する社会保障給付の制限について新たな柔軟性を勝ち取った。離脱派が勝つとすればその一因に、こうした自治面での一段の譲歩に対するEUの拒否がありそうだ。

 だが欧州の若者は経済的機会を求めてロンドンに殺到しており、英国経済も彼らを必要としている。全ての社会保障給付を止めても若者は来るだろう。移民をブロックすれば競争上の優位が得られると離脱派が考えているのなら、高齢化する日本の停滞ぶりをみるといい。

 離脱派で最も説得力のある主張は、国家主権と民主的な説明責任だ。EU高官は、政治的統合により近い構想を採り入れるため、あまりにも頻繁に住民投票を無視してきた。ルクセンブルクの欧州司法裁判所は、一部犯罪者の国外退去など一部の英国法を却下することができる。ただ、頻繁にはそうしていない。

 キャメロン首相は対応として、英国が一段の政治的統合を免除されるとの言質をEUから取り付けた。現代の世界ではどの国も、何かの見返りに主権の一部を放棄している。世界貿易機関(WTO)と米国の関係が一例だ。しかし、EUの言質を信用するのはギャンブルだ。「マグナカルタ(大憲章)」以来800年にわたる自治の歴史を誇る人々が、自らの法は自分で変えたいと思う願望を、米国人は評価できる。

***

 英国のEU離脱に伴う他のリスクは政治的なものであり、小さくはない。離脱となれば、単独過半数の保守党が分裂し、キャメロン首相とオズボーン国務相(兼財務相)は辞任に追い込まれるだろう(後者のほうが大きな痛手だ)。ジョンソン氏とゴーブ氏は、保守党をまとめられるだろうか。労働党が政権を執る態勢にあれば不安は薄れるが、同党のジェレミー・コービン党首は北大西洋条約機構(NATO)脱退を求めており、バーニー・サンダース氏も顔負けの左派である。

 米国が世界のリーダーの座から後退しつつある危険な瞬間にあって、英国の離脱は欧州の自信と一貫性への打撃にもなる。EUへの影響は予想しがたいが、ロシアのプーチン大統領が離脱を望んでいるのは偶然ではない。地域での覇権確立をもくろむプーチン氏は、一致団結した反対を回避するため、大陸(スコットランドを含む)の国家主義ないし分離主義的な動きを醸成したいのだろう。

 以上いずれも、われわれがEUの現在の体たらくを支持するという意味ではない。英国が離脱するにせよ残留するにせよ、欧州は同国の国民投票を警鐘として受け止めるべきだ。経済成長か民主的説明責任の改善がなければ、共通の自由な欧州に対する支持が損なわれるだろう。極端な主張を持った政党が政権を握るケースが増えそうだ。

 英国のEU離脱が決まった場合、米国はこの緊密な同盟国に働きかけ、二国間協定を待つ列の先頭に立たせるか、北米自由貿易協定(NAFTA)への参加を促すべきだ。英国はこれまで民主主義の模範を示してきた。米国はその国民による判断を支持すべきだ。

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