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再延期の消費増税、次回19年も見送り確実か…一億総「お金使わない」化が深刻
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15562.html
2016.06.21 文=垣田達哉/消費者問題研究所代表 Business Journal
消費増税を再延期、安倍首相が会見で表明(写真:ロイター/アフロ)
安倍晋三首相が、消費税の増税時期を2019年10月に再延期したことで、さらに増税ができない状況をつくり上げている。「同じ政権で二度の増税はできない」「19年の参議院選挙前に増税に踏み切ることは無理」といった政治的な要因も大きいのだろう。しかし、それだけではない。GDPの6割を支える個人消費の観点からも、19年10月というのはあまりにも時期が悪い。
■増税でオリンピック
以下の消費税の推移年表のとおり、19年10月の増税後、翌年7月に東京オリンピックが開催される。オリンピックのチケット、関連グッズ、イベントなどの価格に2%の消費税が上乗せされる。オリンピック関連商品の多くは、2%高くなっても飛ぶように売れるだろう。60代以上の人にとっては最後、20〜50代の人にとっても一生に一度の自国開催のオリンピックになるかもしれない。
「一生の記念に」と、多くの消費者が何かを見る、買う、食べるだろう。海外からの訪問客や選手団なども、金を惜しまず消費してくれるだろう。不動産や土木・建築に続き、20年春頃からは、オリンピック特需が裾野まで広がり、夏にピークを迎える。
しかし、その前後の反動が怖い。オリンピック後に消費が減るのは当然だが、前年10月に増税されると、オリンピック前の消費にも大きな影響を与える。自公政権が継続されれば、10%への増税時に軽減税率が導入される見込みだ。そうなると、19年8月から9月にかけて、トイレットペーパーやティッシュペーパー、洗剤などの日用品から、高額な住宅、自動車などで駆け込み需要が起こると予想される。その反動で、19年の年末から20年の年明けぐらいまでは、増税の後遺症が続き消費は低迷するだろう。
年明け後に消費が回復するかというと、そんなに甘くはない。消費者は夏のオリンピックでお金をかなり使うつもりだから、「オリンピックに使う分をどこかで節約しよう」という意識が強くなる。おそらく、20年のゴールデンウィークは、節約志向で「安・近・短」になるだろう。オリンピック前に増税をすれば、消費者の財布のひもは固くなる。
■2年半後には、高齢化と地方の地盤沈下がさらに進む
東京オリンピックは、首都圏では特需となるが、地方はほとんど恩恵を受けない。それどころか、消費の面からするとマイナスのほうが大きいだろう。地方の人は、東京へ行って見る、買う、食べるの消費行動を起こす。東京では消費は増えるが、地方では増えない。増えないどころか、東京で消費するために地元で節約するから、消費は減ってしまう。
オリンピックで一時的な雇用が増えるので、地方から東京および首都圏に働きに出る人、ボランティア活動をする人が増え、地方の人口が一時的に減る。人口が減れば消費も減る。地方にとって東京オリンピックは、マイナス面のほうが大きい。
もうひとつ問題は、消費行動をする人が減ることだ。上表のように、要介護認定者数は毎年20万人前後ずつ増え続けている。消費に貢献していた年金受給者の需要が、毎年20万人近く減っていくのだ。要介護認定者数は11年に500万人を超え、15年には600万人を超えた。このペースで増えれば、19年には700万人近くになる。
増税時期には、今よりも要介護者が100万人近く増えるかもしれない。要介護者を抱える家族(介護者)は、介護関連にお金がかかるので、節約・貯蓄型の消費行動に移行せざるを得ない。19年には、団塊の世代は70歳を超える。地方の第一次産業の担い手たちの多くも、70歳を超える。年金受給者は増えても、年金受給額は減る。一方で年金受給者が次々に要介護者に認定されていく。
今の日本は、お金をいっぱい使う消費者は減り、お金をできるだけ使わない消費者が増えていく構造になっている。社会保障が充実しない限り、安心して消費する気分にはなれない。GDPの個人消費を増やすには、子育てを含めた安心できる社会保障制度の確立しかない。
■食品表示法と軽減税率のダブルパンチ
軽減税率の対象となる食品の定義として引き合いに出された食品表示法。この法律は14年4月にすでに施行されているが、経過措置期間が5年あるので、完全実施は20年4月である。消費税と違って延期はない。
食品表示法が業界や消費者にどんな影響を与えるかは別の機会に述べるが、従来の法律を統合したものなので、見た目はさほど大きな変更はない。ちょっとした追加・変更しかされていないが、これが流通・食品業界には非常に大きな経済的負担になる。消費者にとっては有益な法改正だが、中小企業では自社内で解決できないやっかいな問題もある。
19年は、流通・食品業界の食品表示法対応準備期間である。そこに増税・軽減税率導入を持ってこられるのは、経済負担のダブルパンチである。食品が増税されなくても、食品表示法への対応は必須であり、食品表示法の対象外の外食産業は、軽減税率では増税対応を迫られる。食品が軽減税率の対象でも、社内経理では軽減税率の仕組みが必須となり、インボイスを導入しなければ大手企業との取引ができなくなる可能性がある。しかも、増税・軽減税率対応と食品表示法対応は、いずれも19年度中になる。
流通・食品業界は、19年度にコスト負担が重くのしかかる。とても、自社の経費節減で吸収できる金額ではない。食品が増税されなくても、商品価格に上乗せせざるを得ない。増税時の便乗値上げか年末商品の価格に上乗せするしかない。そこにオリンピックが近くなれば、否応なしに物価は高騰する。
19年から20年の東京オリンピックに向かって、負のインフレが起きる。物価が高騰しても収入は上がらないので、消費者は貯蓄・節約型の生活にならざるを得ない。19年10月の増税は最悪の時期だ。「三度目の正直」よりも「二度あることは三度ある」のほうが、可能性は高いだろう。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)
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