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ジム・マクドナルド●ノーザン・トラスト・コーポレーションのエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼チーフ投資ストラテジスト
外国人投資家の日本株買い戻し条件は? 海外ファンドの市場見通し
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160620-00123278-shikiho-biz
会社四季報オンライン 6月20日(月)16時36分配信
米国の利上げや英国のEU離脱問題など、世界経済の先行き不透明感が増している。海外投資家は、今後の世界の株式市場について、どのような見通しを持っているのか。そして、日本市場に再び海外投資家の本格的な買いが戻ってくるためには、何が必要なのか。ノーザン・トラスト・コーポレーションのジム・マクドナルド チーフ投資ストラテジストに聞いた。
――米国の利上げや英国のEU離脱問題など、市場に大きな影響を与えるイベントに注目が集まっています。そうした大きなイベントの影響もふくめて、今後の世界市場の見通しについてどう考えていますか?
われわれはFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを向こう1年のうちに1回しか実施せず、2017年にずれ込む可能性もあると見ている。世界経済は安定しているが、堅調だとは言えない。先日発表された米国の5月の雇用統計が失望するような内容だったこともあり、FRBの利上げは一歩後退を余儀なくされている。
興味深いのは、これまでFRBが利上げを行うと表明した際にも、見送りを決めた際にも、株価が上昇したことだ。両方のケースとも、市場はその時の状況を踏まえてFRBが適切な判断をしたと受け止めたということだろう。また、今後、FRBが利上げに踏み切るならば、それは世界経済が順調であることを意味する。このため、米国の利上げが株価にとってリスク要因となるとは考えていない。
一方、英国のEU離脱問題はどうか。英国はEUに残留すると見ているが、23日の投票まで状況は流動的だ。離脱すれば、その代償は大きいものになると予想される。英国の有権者はそのあたりを考えて判断するだろう。
英国がEUから離脱すると決まれば、英国やEU経済への下方圧力は避けられない。為替市場でも、ポンドが下落する一方で、米ドルが強くなるだろう。
このような不透明な要素はあるが、われわれは世界の株式市場について、米国をオーバーウエート(強気)、新興国をニュートラル、欧州と日本は若干のアンダーウエート(弱気)としている。
――日本市場をアンダーウエートとしている理由は?
外国人投資家はここ半年ほど、日本株を急速なペースで売っている。この背景には、国内経済の成長率の問題と、日銀の金融政策への懸念がある。近年、日本企業のコーポレートガバナンスはかなり改善している。しかし、経済データがよくならなくては海外投資家が再び戻ってくることはないだろう。
海外投資家がもっとも注目しているのは全体的な経済成長率だが、それを支える国内消費も大事だ。消費再増税の延期を決めたのは国内消費にプラスだろう。一方、工作機械受注の減少など、懸念材料もある。
――2月にマイナス金利を導入した日本銀行の金融政策についてはどうとらえていますか?
マイナス金利政策は望ましいものでも、効果的なものでもないと考えている。投資家の懸念は、日銀の実施できる金融政策が限られているということだ。追加緩和策としては、日本国債やETFの買い入れ額の増額が考えられる。マイナス金利拡大の可能性もあるが、これは歓迎されざる政策だ。
これは日本だけの問題ではないが、主要国の経済は中央銀行の金融政策による舵取りの馬力がなくなってきている。結局、財政政策でテコ入れを図らなければならない段階になっている。
――G7伊勢志摩サミットの際に、安倍晋三首相が「現状がリーマンショック前に近い」と示唆する発言をしましたが、これについてはどう受け止めていますか?
サミットの際の国のリーダーの発言は、その多くが国内市場に向けたものだと考えたほうがいい。現在の世界の金融制度については、銀行の資本の増強も進んでおり、08年のリーマンショック前よりはずっと強固なものとなっている。
■ 海外投資家のアベノミクスの評価
――海外投資家の間では、「アベノミクスが限界に来ている」という見方が強いのでしょうか?
私が知るところでは、安倍政権が成長率や物価上昇率を引き上げようとしたこれまでの取り組みについては評価している。足元では、労働市場改革など国内の成長を押し上げるようなさらなる改革が行われるのかに関心を寄せている。
結局、日本で過去2年行われてきた「実験」、つまり金融緩和と財政政策の両輪をフル回転させるをやり方は、かつて欧州や米国が行ったことと同じだ。この政策の効果は、実体経済よりもむしろ、金融面に表れた。
――海外投資家が再び日本株を本格的に買うのに必要なことは何ですか?
バリュエーションから見ると、日本株は魅力的な水準だ。経済成長の見通しの上振れが、海外投資家回帰の一番のきっかけになるだろう。日銀の今後の金融政策や為替相場への影響など、政策やその効果が明確に見えてくることも必要だ。
海外投資家が日本企業を見る際に注視しているのは、収益性の高さと株主への対応だ。収益性でもっとも重視しているのはROE(自己資本利益率)。水準が高いというのももちろんだが、改善していることが大切だ。 配当や、自己株買いなど株主還元が増えているという状況は評価しているが引き続き、注目していくだろう。
――原油価格は一時に比べると回復してきていますが、これはリスク資産にマネーが回帰する一つの兆しとなるのでしょうか?
原油価格の動向は株式市場と結びついている。原油価格が戻り歩調をたどった中で株価が上昇してきたのは、エネルギーセクターの信用不安が減ったという背景がある。
今後の石油価格がどう動くかは、需給関係で決まる。需要についてはそれほど変化がないものの、米国のリグ稼働数の減少からもわかるように、原油の供給量は減ってきた。ただ、今後はシェールガスの生産など新たな供給が増えると考えているため、これまでのような価格上昇のペースが続くとは考えていない。
――中国経済については?
日本を訪れる前に中国で2日間滞在したが、市場が懸念するほど弱気になる必要はないという印象を持った。市場で最も心配されているのは資本流出による人民元の大幅下落だが、今のところ中国政府はこの問題にしっかりと対処しており、人民元の相場も比較的安定している。
(聞き手:四季報オンライン編集部 松崎泰弘、島大輔)
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
島 大輔
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