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山梨県の実験線を走るリニア中央新幹線の新型車両
リニア時速500キロを体感 「飛行機より静か」だがトンネルが...
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160619-00000005-jct-bus_all
J-CASTニュース 6月19日(日)16時30分配信
JR東海が東京−名古屋間で2027年の開業を目指すリニア中央新幹線が注目されている。安倍晋三首相が大阪延伸の時期を従来の2045年から前倒しする方針を表明。政府とJR東海は最大8年前倒しする方向で調整を始めた。政府が国債を発行するなどして、民間では資金調達が難しい事業に低利融資する財政投融資の活用が検討されている。リニア中央新幹線は時速500キロの営業運転の技術を既に確立している。東京−大阪間で約9兆円とされる建設費の資金手当てが整えば、大阪までの全線開業も夢ではない。
果たして、時速500キロのリニア中央新幹線とはどのようなものか。JR東海が山梨県に敷設している実験線(笛吹市〜上野原市、42.8キロ)で、営業運転を見据えた新型車両「L0(エル・ゼロ)系」に試乗した。JR東海は2009年7月に営業運転に必要な技術を完成させ、2014年8月から実験線で走行テストを繰り返している。
■現行新幹線の300キロ前後のスピードが、とても遅く感じる
まるでボーイングかエアバスのジェット旅客機に乗っているような感覚だった。新型のリニアモーターカーは時速160キロまでは専用のタイヤで走行。ここからタイヤを格納し、超電導の浮上走行が始まる。まるで飛行機の離陸のようだ。車両に搭載した超電導磁石と地上のガイドウェイ(軌道)に設置したコイルの磁力によって、車両は約10センチ浮上したまま加速する。
加速は極めてスムーズだ。大きな騒音も振動もなく、車内前方に設置されたモニター上のスピードメーターがみるみる上昇していく。リニアモーターカーは一瞬、時速502キロに達した後、500キロで安定した巡航を始めた。何の不安も緊張もない。車内は飛行機より静かで快適。乱気流で揺れることもない。
惜しむらくは、リニア中央新幹線の全区間の86%はトンネルであることだ。このため時速500キロを体感できるのは、地上に出た一瞬だけ。トンネル内ではまるで夜間の飛行機に乗っているようだ。
リニアモーターカーが停車駅に近づき、減速を始めると、わずかに減速G(重力)を感じる。500キロを経験すると、現行新幹線の300キロ前後のスピードが、とても遅く感じる。みるみる減速して140キロくらいになると、今度はタイヤが出て、軌道を走るようになる。まるで飛行機が着陸する感じで、ここでは明確なショックがある。
■政治主導で進むのか
リニア中央新幹線の車内は、今の新幹線と内装があまり変わらない。ただしシートは左右に2列ずつになる(現行新幹線は2列プラス3列)。
大半の区間がトンネルになるリニア中央新幹線は、窓から流れる景色を楽しむといった鉄道の旅情はなくなり、超高速の移動手段になるだろう。従来の鉄道の旅を楽しみたい人は、これまでの東海道新幹線を使うなど、棲み分けることになるのかもしれない。
山梨県の実験線は東京−名古屋間(286キロ)の開業時には、そのまま営業路線として使用される。2015年12月に本格着工したリニア中央新幹線の工事は遅々として目に見える進捗がないが、名古屋までの営業区間の約15%は既に完成していることになる。
政府は経済財政運営の基本指針(骨太の方針)で、リニア中央新幹線の大阪延伸の前倒し着工に向け、財政投融資の活用を明記した。JR東海は延伸工事に必要な環境影響評価(アセスメント)の繰り上げを検討する考えを表明。柘植康英社長は「速やかに延伸工事に着手できるよう全力で取り組む」と語る。果たしてリニア中央新幹線は政治主導で進むのか。
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