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「首相官邸 HP http://www.kantei.go.jp/」より
日本経済と農業に壊滅的被害を与える「改革」、政府内で密かに検討する「ある会議」の存在
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15539.html
2016.06.19 文=小倉正行/フリーライター Business Journal
政府の「規制改革会議」は、内閣府設置法第37条第2項に基づき設置された審議会で、内閣総理大臣の諮問を受け、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制改革を進めるための調査審議を行い、内閣総理大臣へ意見を述べること等を主要な任務として、2013年1月23日に設置された。
この間、規制改革会議は、JA全中(全国農業協同組合中央会)の指導権限を奪う農協法改正や牛乳・乳製品の生産・流通等に関する規制改革などを推し進めてきた。そのため、特に農協関係者には同会議の存在は脅威だと受け止められており、TPP(環太平洋経済連携協定)によってさらに“モンスター化”するのではないかとの指摘が出されている。なぜなら、TPP第25章「規制の整合性」により規制改革会議が巨大な権限を持つようになるからである。
■各締約国の規制の見直し廃止の状況を監視
TPPの理念は、関税と非関税障壁の撤廃にある。そのうち、非関税障壁の撤廃に関連する条項が、この第25章「規制の整合性」である。
同章は、「締約国間の物品及びサービスの貿易並びに投資の増大を円滑にすることについて、規制の整合性を通じてこの協定の利益を持続させ、及び増大させること」(第2条)を目的としている。要するに、各国の規制緩和を進めることによって、物品及びサービス貿易と投資の増大を図るというのである。これは、非関税障壁の撤廃という理念に一致している。
そして、締約国は協定が効力を生じて1年以内に自国の対象規制措置の範囲を決定しなければならない(第3条)。さらに締約国は、当該対象規制措置の案を見直し、その見直しに基づく勧告、および規制に関する制度的な改善について勧告を行う(第4条)。
加えて、各締約国は、自国の政策の目的を達成する上で規制制度を一層効果的なものとするため、自国が実施した特定の規制措置が修正・簡素化・拡大され、または廃止されるべきかを決定することを目的として、適当と認める期間ごとに、自国の対象規制措置を見直すべきである(第5条)とされている。要するに、それぞれの国の現行規制措置について全面見直しを行い、規制の修正や簡素化または廃止を求められることになるのである。
さらに、TPPに「規制の整合性に関する小委員会」が設置され、それぞれの国の代表者が参加し、各締約国の規制の見直しや簡素化・廃止の状況を監視することになる(第6条)。
■巨大な権限を持った規制改革会議
問題は、第25章第4条で「各締約国は、この目的のため、国内または中央の調整機関を設立し、及び維持することを検討すべきである」としていることである。外務省の見解では、この調整機関は日本では規制改革会議が該当するとしている。
結局、規制改革会議がTPP協定を受けて日本の規制措置の全面見直しを行い、規制の修正や簡素化・廃止を求めることになる。そして、さらに規制の整合性に関する小委員会とリンクして、国際機関化することになるのである。まさに、現行の同会議がTPP協定を受けて日本の規制緩和・撤廃に全面的にとりかかることになる。
規制改革会議は本年7月31日までの設置期限となっているが、6月2日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016」において、「『規制改革に終わりはない。』との理念の下、現在の規制改革会議の設置期限(2016年7月末)以降も切れ目なく規制改革に取り組んでいく」としており、設置期限以降も同様の機関の存続を示唆しているのである。
TPP協定の内容は、いまだ国民には詳細が伝わっておらず、規制改革会議が日本の農業や経済社会に多大な影響を及ぼす事項を決定する機関に変貌するということが知られていないということは、大きな問題といえよう。
(文=小倉正行/フリーライター)
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