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中期経営計画「TOGETHER - Strategy 2025」を発表するVWのマティアス・ミュラーCEO(VW制作の動画より)
VW、起死回生を図る中期経営計画の中身とは 2025年までに電動車30モデルを市場導入
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47139
2016.6.19 桃田 健史 JBpress
フォルクスワーゲン(VW)グループはドイツ現地時間の6月16日、新しい中期経営計画「TOGETHER - Strategy 2025」を発表した。
同社はアメリカや欧州各国で、排出ガス規制に適合するための違法なソフトウエアを組み込んだ車両を発売したことで、経営面で大きな打撃を受けた。当局からの調査は現在も続いており、消費者やディーラーへの対応が完了していない国や地域がまだ残っている状況だ。
新中期経営計画はそうした状況の中で発表された。これまで描いてきた事業内容を大幅に見直すような“飛躍的な改革と進化”をうたったのは、自動車メーカーとして信頼を取り戻し生き延びていくために不可欠だったと言ってよい。
発表された資料によると、“改革と進化”の柱として挙げられたのは、以下の4項目である。
「コアビジネスの変革」
「モビリティソリューション事業の確立」
「安定した財務体制」
「イノベーションパワーの強化」
そのなかで、「コアビジネスの変革」の目標となる具体的な数値として、2025年までに30モデル以上の「eモビリティ(電動車)」を量産するとした。販売台数では年間200〜300万台を狙うという。
■電動自動車の普及を進める中国
VWが電動化シフトを急ぐ理由は何か? 最大の要因は、VWの主力市場である中国への対応だ。
中国政府は年初から「NEV」(新エネルギー自動車)の普及促進の動きを強め、地方政府と連携して自動車販売店に販売奨励金を支給する体制などを整備している。
4月の北京モーターショーでは、第一汽車、東風汽車、広州汽車、北京汽車、奇瑞汽車、長城汽車など中国メーカー各社がこぞってEVやプラグインハイブリッドの量産車を発表した。
一方、トヨタ、ホンダ、日産の日系ビック3や、ダイムラー、BMW、VWグループの独系ビック3、さらに販売台数が地元米国を抜くほど中国シフトが進むゼネラルモータース(GM)からは、EVなどの電動車で目立った出展はなかった。
これについて日系自動車メーカー関係者は、「以前、EVでは中国で“痛い思い”をしているので、今回も慎重にならざるを得ない」と漏らした。
中国では2000年代後半から、25都市で電動車の普及施策「十城千両」を進めた。だが、地方政府の対応に不備が目立ち、計画の半ばで施策が頓挫している。
今回のNEVは事実上「十城千両」の焼き直しに近いが、施策の全容が見えにくく、自動車メーカー各社は中央政府の動向を注視している状況だ。
■VWにとって中国市場は特別な存在
こうした状況で、VWは世界市場に向けて「eモビリティ」として電動車のラインアップを強化すると発表した。このことは、結果的に中国政府に対するアピールにつながるはずだ。
VWにとって中国市場は特別な存在である。他の海外メーカーが中国への進出に二の足を踏んでいた1980年代、VWは「ハイリスク・ハイリターン」を狙って先行投資したことで、海外メーカーの中でシェアナンバーワンの座を掴んだ。
こうして築いた中国市場でのポジションを失わず、中国政府との友好関係を維持するためには、新中期経営計画の目玉として「eモビリティ」を挙げることが必須だったのだ。
EVの開発は、CO2削減・環境対応として米ZEV法、欧州CO2規制、米CAFE(企業別平均燃費)、さらに地球温暖化に関するパリ協定などへの対応が求められる。そうした様々な「レギュレーションマッチング」のなかで、VWが中国のレギュレーションを最重要視していることは間違いない。
2015年以降、VWはプラグインハイブリッド車「GTE」シリーズを強化してきた(筆者撮影、以下同)
VW「e-up!」用の電動ユニット
■自動運転は織り込み済み、課題はシェアリングエコノミー対策
自動車業界全体を見渡すと、「eモビリティ」以外で次世代技術として期待されるのが「自動運転」だ。
VWグループとしてはこれまで、「アウディ」ブランドを使った自動運転の開発を進めてきた。米国サンフランシスコ空港の近くにVWグループの研究開発拠点があり、最近、資金と人員を強化している模様だ。
ただし、今回発表された新中期経営計画では、VWグループとして自動運転車開発をどのように推進するのか、具体的な情報は公開されていない。
さらに、VWグループを含む既存の自動車産業界にとって最大の課題は、シェアリングエコノミーへの対応だ。
最近、欧米の大手コンサルティング各社が、「ライドシェアなどのシェアリングエコノミーが普及すると、新車販売にどれだけ影響が出るか」を調査している。その結果を見ると、「数%程度の微小」と見る結果と「新車販売台数が半減する」と見る結果が混在しており、自動車メーカー各社も次の打ち手をなかなか決められない状況である。
だが、世界の大衆車であるVWブランドの場合、シェアリングエコノミーの影響が特に大きくなると思われる。
同社は新中期経営計画の中でシェアリングエコノミーを「モビリティソリューション事業」の1つとして捉えているが、事業の明確な方向性はまだ定めていない。今後、少しでも早く、この分野で新事業戦略を打ち出すことが望まれる。
排出ガス不正問題による深刻なダメージからいかに立ち直るか。2025年に向けて、VWの動きに注目していきたい。
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