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やらない理由はない「最強の」老後資産形成法…年に数十万円も税金が還ってくる
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15531.html
2016.06.18 文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表 Business Journal
■個人型確定拠出年金とは?
会社員が老後の生活を賄うための手段としては、3つの柱があるとよくいわれます。それは、(1)公的年金、(2)退職金・企業年金、そして(3)自らによる蓄えの3つです。公的年金はすぐに破綻するような信頼の置けないものではありませんが、今後拡大することは望めませんし、退職金や企業年金でその公的年金の分をカバーするのも困難でしょう。
そこでどうしても、「自らによる蓄え」をしっかり考えなければならないのですが、問題はどうやって自分で老後のための資金づくりをするかです。方法はいろいろありますが、おそらく最強の制度と思われるのは個人型確定拠出年金です。これは個人が自分でお金を積み立て、それをあらかじめ用意されている預金や保険、投資信託などのなかから自分で選んで積立金を運用する仕組みのものです。これは数年前から始まっているNISAや従来からの生命保険の個人年金保険と比べてもはるかに優れた制度です。
■どこが最強なのか?
まず最大のメリットは税制優遇です。この個人型確定拠出年金においては、3つの税制優遇が受けられます。
ひとつめの税制優遇は、掛金の全額が所得控除されることです。これはかなり大きいメリットです。具体的にどれぐらい税金が安くなるかというと、仮に課税所得が400万円の場合、会社員なら月額2万3000円、年間で27万6000円を上限として積み立てできます。この場合、その年の所得税と住民税で合計8万4000円が戻ってきます。
これがもし会社員ではなく自営業の場合、掛金の上限は月額6万8000円、年間81万6000円ですから、上限いっぱいに掛けると、その年の税還付額はなんと23万6400円にもなるのです。生保の個人年金保険の場合、所得控除できるのは年額6万8000円ですから、それに比べると会社員でも約4倍、自営業ならなんと12倍もの所得控除を受けられることになります。
2番目の税制優遇は、運用益が非課税になることです。NISAと違って、個人型確定拠出年金は投信のような価格変動のあるものだけではなく、定期預金のような元本確保型金融商品も利用できますから、リスクを取りたくない人にとっても使い勝手が良いといえるでしょう。
3番目は受け取る時です。年金として受け取る場合には税金がかかりますが、その場合でも公的年金等控除というのが適用されるため、税額は少なくなりますし、もしまとめて一度に受け取れば退職所得控除が適用されるため、相当まとまった金額になっても非課税となります。退職所得控除という名前がついていても、会社員だけが対象ではなく、自営業や専業主婦でもこの控除は使えます。
さらに投資信託で運用する場合の手数料が安いのも大きな魅力です。通常、銀行や証券会社の店頭で投信を買うと、購入手数料が数%かかることが多いのですが、確定拠出年金で投信を買うと、この購入手数料はありません。また、保有している期間は継続して発生する信託報酬といわれる手数料も、金融機関の窓口で購入するものと比べると大幅に安く、なかには2分の1ぐらいになっているものも少なくありません。老後資産形成のように運用期間が長いと、その間に負担する手数料の額はとても大きな差になって出てきます。
■誰でもこの有利な制度を利用できる!
この最強の制度である確定拠出年金も、今までは自営業や無職などのいわゆる1号被保険者に該当する人たち、そして民間企業の会社員のなかで企業年金のない会社に勤める人たちしか利用することはできませんでした。ところが、今年の5月に「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」が成立したことにより、2017年1月からはごく一部の例外を除いて誰でもこの制度に加入することができるようになりました。老後資産形成のための最も強力な手段がこの個人型確定拠出年金ですから、利用しない手はないと思います。
ただ、ひとつ気をつけるべきことは、どこの金融機関を利用するかを慎重に検討することです。金融機関によってサービスや価格の差が大きいですし、確定拠出年金では金融機関を一度決めたらなかなか変更することが難しいからです。口座管理手数料や商品の品ぞろえ、そして商品毎の運用管理手数料等、各金融機関の提供するサービス内容とその価格をしっかりと見極める必要があります。
NPO法人・確定拠出年金教育協会が運営するサイトでは、個人型確定拠出年金の仕組みがよくわかり、各金融機関の手数料や商品内容を一覧にしたものがありますので、参考にすることができます。また、法案改正を機に確定拠出年金関連の書籍も出てきていますが、筆者も6月10日に『はじめての確定拠出年金投資』(東洋経済新報社)を刊行しましたので、関心があればご覧ください。
(文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表)
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