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(回答先: 英EU離脱問題、日系金融機関も他人事ではない 「脱ロンドン」拠点大移動が始まる可能性も 投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 16 日 09:54:33)
英国のEU離脱リスク、警戒される金融波及ルート
[東京 16日 ロイター] - 英国が欧州連合(EU)を離脱した場合、警戒されるのは金融市場での波及ルートだ。英国の景気悪化や離脱連鎖も懸念材料だが、あくまで長期的な影響。短期的には、過去の金融危機のような、金融市場での信用収縮が最大のリスクとなる。その場合、金融セクターへの不安要因となるマイナス金利拡大などの金融緩和で防げるか予断は許さない。
<拡大するハイブリッド証券>
英国がEUを離脱した場合、国債の格付けが引き下げられる可能性がある。現在はスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が最高位のAAA、ムーディーズがAa1(最上位から2番目)を付与しているが、もし離脱となれば、S&Pは2ノッチ引き下げる可能性があることを明らかにしている。
英国債の格付けは比較的高いが、英国の銀行格付け(S&P)は大手でAからBBBと大半が低い。国債が格下げされればドミノ倒しのように銀行にも波及するため、信用力低下によるカウンターパーティリスクが高まる。
格下げがあれば、英国の銀行が発行しているハイブリッド証券などの価格急落も警戒される。ハイブリッド証券とは、優先株や劣後債など、株と債券の中間の性格を持った商品。債券よりも利回りは高いが、ボラティリティも高い。リーマン・ショックの際には4割近く下落する商品もあった。
リーマン・ショック後の金融規制の強化で、自己資本における株と債券の境目が曖昧になり、ハイブリッド証券の市場は拡大。昨年末で60兆円程度、そのうち英銀行が発行しているのは約2割弱あると推計されている。
日本でも人気で、ポートフォリオの4分の1程度を英国の銀行が発行するハイブリッド証券で組成されている日本のハイブリッド証券投資ファンドも複数ある。
「ハイブリッド証券の価格急落で、ファンドの基準価格が急落し、解約請求が相次ぐ、もしくは相次ぐと予想されれば、ファンドを縮小させるために、ポートフォリオ内の他の商品も売らなければならなくなる」とマネックス証券・チーフアナリストの大槻奈那氏は警戒する。
ファンドの解約に伴う売りの殺到は、過去の金融危機にもみられた現象だ。
<警戒されるトリガー抵触>
英ポンドが急落すれば、英銀行の自己資本比率に大きな影響が出る。海外通貨の価値が対ポンドで上昇することで、英銀行の海外資産からの収益が計算上膨らむため、収益面ではプラスだ。しかし、同時にリスクアセットが増えることになり、自己資本比率は低下する。
英銀行のカウンターパーティリスクが高まり、それが信用収縮に発展すれば、金融危機の扉が開く事態に接近しかねない。英銀行が自己資本比率を改善させるために、海外資産を売却すれば、他国の金融市場に大きな影響が出る展開も予想される。
リーマン・ショック時のような金融危機を防ぐため、国際的な業務を担う金融機関に対し、新たな自己資本規制(バーゼル3)が2013年に導入された。バーゼル3では、金融機関に対し自己資本強化を求めており、実際、各金融機関の自己資本は厚みを増している。
ただ、バーゼル3で自己資本として算入が認められることになったCoCo債など新型ハイブリッド証券にはリスクもある。発行体である金融機関の自己資本比率が予め定められた水準を下回った場合、元本の一部もしくは全部が削減されたり、強制的に株式に転換されるトリガー条項があるためだ。株式に転換されれば希薄化が起き、銀行株の圧迫要因になる。
ハイブリッド証券の発行は世界的に拡大している。ムーディーズ・アナリティックス・ジャパンのシニア・ディレクター、水野裕二氏は「世界的にみれば、自己資本がトリガー抵触までの余裕が小さい一部の金融機関もある。市場で資産価格が急落し極端な損失が出るような場合、懸念が高まるかもしれない」と指摘している。
<「ブレグジット」と「グレグジット」の連鎖>
ギリシャリスクが再燃する可能性もある。ユーロ圏財務相会合は5月、ギリシャへの支援第3弾となる103億ユーロの融資実行で合意した。しかし、ギリシャの財政再建は進んでおらず、国内総生産(GDP)比3%相当の財政緊縮や、さらなる改革を行う必要があり、政権基盤も不安定だ。
英国がEUを離脱すれば、ギリシャのユーロ離脱に道筋を付ける可能性がある。「ブレグジット」と「グレグジット」が結び付けば、「未だギリシャ国債を保有している欧州の銀行に不安が広がる恐れが強まる」と、りそな銀行・アセットマネジメント部チーフ・エコノミストの黒瀬浩一氏は警戒する。
昨年からスタートした欧州のSRM(単一破綻処理メカニズム)によって、政府の直接的な銀行救済は難しくなった。救ってしまうとその後モラルハザードが生じ、無謀なリスクをとってしまうかもしれないという理念が背後にある。国から銀行に対する支援のレベルは低下しており、この面だけで言えば、金融危機は起きやすくなっている。
金融市場が大混乱を起こせば、日米欧の中央銀行は金融緩和で対応することも考えられる。しかし、大混乱の要因が単なる投資家のリスク回避ではなく、信用不安であった場合、マイナス金利拡大などの緩和策では、収益圧迫が懸念される銀行株が下落するなど「火に油を注ぐ」ことになりかねない。流動性供給以外に何ができるか、当局の対応に注目が集まりそうだ。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/eu-idJPKCN0Z201J
コラム:利上げの虚勢を張るしかない米FRB
6月15日、米連邦準備理事会(FRB)は、おこっていることや市場が逆方向に動いているにもかかわらず、いつか果敢に利上げをするつもりだと虚勢を張っている。写真は15日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見するイエレンFRB議長(2016年 ロイター/Kevin Lamarque) U.S. Federal Reserve Chair Janet Yellen holds a press conference following the Fed痴 two-day Federal Open Market Committee (FOMC) policy meeting in Washington June 15, 2016. REUTERS/Kevin Lamarque - RTX2GG2I
6月15日、米連邦準備理事会(FRB)は、おこっていることや市場が逆方向に動いているにもかかわらず、いつか果敢に利上げをするつもりだと虚勢を張っている。写真は15日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見するイエレンFRB議長(2016年 ロイター/Kevin Lamarque) U.S. Federal Reserve Chair Janet Yellen holds a press conference following the Fed痴 two-day Federal Open Market Committee (FOMC)...
REUTERS/KEVIN LAMARQUE - RTX2GG2I
James Saft
[15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は、おこっていることや市場が逆方向に動いているにもかかわらず、いつか果敢に利上げをするつもりだと虚勢を張っている。そうせざるを得ないからだ。
だがそこには危険が潜んでいる。FRBが示した見通しや約束と実績のかい離が広がっているため、たとえFRBがハト派方向に軌道修正して市場の期待に歩み寄っても、金融政策対応に対する信頼感は低下していくことになる。
FRBは15日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利据え置きを決めた。昨年12月に始まった利上げサイクルは、少なくとも次回FOMCが開かれる7月までさらに休止期間が延びた形だ。
FOMCメンバーの政策金利見通しの分布図(ドット・チャート)では、長期の政策金利予想が下振れしたものの、年末の予想中央値は0.90%に据え置かれた。一方で先物市場が織り込む年内の利上げ確率は切り下がっている。
先物がわずか7%の確率と見込んでいる7月の利上げについて質問されたイエレンFRB議長の答えは、どうかそんなに厳しく追及しないでください、と言わんばかりだ。
イエレン氏は会見で「利上げが可能でない会合は存在しない。だがわれわれはデータを見極める必要があり、時期をあらかじめ特定できない。だから次回会合や次々回会合と明言するのは適当とは思わないが、可能性はある。例えば、われわれが完全に良好な軌道に乗っていることを示す指標が7月までに得られることは、あり得なくはない」などと発言した。
しかし改めてイエレン氏に問いたい。本当に利上げは可能なのですかと。
イエレン氏が会見で「異常値」のデータと指摘したのは低調だった5月の非農業部門雇用と推察され、この数字だけの時系列を追っていけば、確かに例外的な存在といえる。つまり6月の非農業部門雇用は持ち直す可能性があり、その意味ではイエレン氏は間違っていない。ところが他の指標に目を向ければ、イエレン氏をはじめとするFOMCメンバーが懸念すべき材料には事欠かない。
今週発表された5月の設備稼働率は74.9%と、4月の75・3%から低下した。ドイツ銀行のエコノミストによると、稼働率が75%近辺だった過去2回の局面では、需要と物価上昇率はいずれも低迷していた。
企業の設備投資が期待外れの数字にとどまっている理由は、恐らく価格決定力の弱さに設備稼働率の低水準が重なっていることで説明できる。需要がさえない上に売上高在庫比率が高く、物価上昇率が極めて低い中で、なぜ投資をしなければならないだろうか。
FRBは長期的な予想物価を論じるに当たっても、強がりの姿勢を続けている。FOMC声明では、市場ベースのインフレ期待について(これまでの『低い伸びにとどまっている』という表現に代えて)『低下した』と認めつつ、ここ数カ月では『全体的に』『ほとんどの』サーベイ系予想物価はほぼ横ばいだと説明された。
多分そうなのかもしれない。しかしミシガン大調査の今後5年間の期待インフレ率は調査開始以来の最低になった。
今回のFOMCではメンバーの1人が大勢に逆らう形で、年内1回の利上げが適切だが、その後は来年いっぱいもしくは2018年も利上げを想定しないとの見通しを示した。
バークレイズのマイケル・ゲイペン、ロブ・マーティン両氏は顧客向けノートに「これは、さらなる労働市場の軟化がFRBの政策運営方針の重大な転換をもたらす可能性があるというわれわれの見解と一致する。こうした転換はわれわれの基本シナリオではないが、歴史的に労働市場関連指標が拡大と縮小の両方について強力なシグナルを送ってきた二面性をFRBが感じていると言うことはできる」と記した。
もしFRBの政策方針が実際に大きく変わった場合、FRBと市場は1つの問題を抱えることになる。今回FRBがハト派的な姿勢を打ち出したのに、リスク資産に熱狂的なムードをもたらすことができなくなったのは、不吉な前兆と言える。これはFRBが必要になっても景気を刺激できる力があるという信頼が失われている表れかもしれない。
米国では既に企業利益と企業投資、設備稼働率が下向きとなっており、恐らく雇用にも下振れの兆しが出てきている。すべてはまだたった1回利上げしただけの超低金利下の話だ。
政策金利が0.25─0.5%の世界で経済活動がそれほど好調ではないとすれば、ゼロ金利なら大いなる押し上げ効果が得られるとは考えづらい。そしてわれわれはマイナス金利がいかに弊害を生むかも承知している。ごく普通の景気下降局面に量的緩和(QE)拡大で対応すれば、経済がそれほど悪いのかという、好ましからぬ疑念を生み出すのがおちだろう。
となれば虚勢や希望的観測は、戦略という側面は乏しいとしても、当面はFRBとわれわれすべてがしばらく持ち合わせることになるのかもしれない。
(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
http://jp.reuters.com/article/markets-saft-idJPKCN0Z201L
FOMCは金利据え置き、年2回の利上げなお想定:識者はこうみる
[15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は15日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定した。ただ、労働市場は再び力強さを増すとの見方を示し、年内2回の利上げを実施するとの姿勢は維持した。市場関係者の見方は以下のとおり。
●もう一度経済指標を見直す方向
<JPモルガン証券 チーフ債券ストラテジスト 山脇貴史氏>
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の会見は、ハト派という印象を持つ。
4月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で6月の利上げもあるとのトーンが出ていたため、マーケットでは早期利上げへの警戒感が浮上していた。
今回のFOMCで仕切り直しという感じになった。もう一度経済指標を見直す方向になったと受け止めている。年内の利上げペースは緩やかになるということだろう。この流れを受けて、米債利回りは低下基調になっている。
●成長見通し引き下げ、利上げあっても余地少ない
<上田ハーロー 外貨保証金事業部長 山内俊哉氏>
ドル/円は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて瞬間的に下落したが、その後、買い戻しが入った。米国の年内の利上げは1回、場合によってはなしとみる向きが多い中、「ドットチャート」で年2回の想定が維持されたことが効いたとみられる。
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は利上げを急がない姿勢を示したが、英国が欧州連合(EU)に残留し、6月分の雇用統計がそこそこの数字となれば、状況次第で7月に利上げする可能性がある。
イエレン議長の発言を総合すると、9月くらいには利上げしたいという考えがあるという印象だが、一方で、成長見通しも引き下げられていた。利上げはするものの、上げ余地はそれほどないという受け止めが広がるのではないか。
きょうは日銀の金融政策決定会合がある。英国民投票への不透明感があり、追加緩和は見送られそうだ。一部、追加緩和の期待があるようなので、現状維持の場合は失望の円買いとなる可能性がある。前日安値105.41円を割り込んで105円方向に走る可能性もあるが、為替介入に対する警戒感から、きょうのところは104円台に突入することはないだろう。
今後は、英国の国民投票に関心が集中する。残留となった場合、リスク回避で買われた円が巻き戻されて、ドル/円は108─109円程度まで上昇する可能性がある。一方、離脱となった場合は、英ポンドが売られやすい。ドルと円は両方買われるが、リスク回避の際は円の方が買われやすいため、ドル/円は下方向に動きそうだ。瞬間的に100.50円程度までの下落があってもおかしくはない。
●慎重な内容、円高止まりで日本株の重しに
<大和証券 シニアストラテジスト 石黒英之氏>
今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米連邦準備理事会(FRB)内に慎重な見方が広がっていることが示された。前回、年内1回の利上げ予想を示したのは1人だったが、今回は6人に増えたほか、2016年、17年の成長率見通しも下方修正されている。米経済は弱いというところまでは言えないが、力強さに欠けている印象だ。
先々の金利見通しが引き下げられたことでドルは買いにくくなり、円は高止まりを余儀なくされるだろう。結果的に日本株の上値を押さえそうだ。とはいえ、ドル安を加速させる内容でもない。引き続き米経済指標を確認しながら利上げ時期を探る展開が続く。
●利下げ以外で最大限のハト派姿勢強調
<ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントの首席ポートフォリオストラテジスト、ブライアン・ジェイコブソン氏>
利下げ以外で最大限のハト派姿勢を示した格好だ。米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁も反対票を撤回した。金利軌道の見通しが引き下げられ、大きなハト派シグナルとなった。
●金利見通し、極めて劇的に変化
<クレディ・アグリコルの世界金利戦略部門責任者、デビッド・キーブル氏>
ドット・プロットは、2018年のフェデラルファンド(FF)金利見通しの中央値が60ベーシスポイント(bp)と大幅に低下した。非常にハト派的な事態の展開で、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明などの大半の要素を占めた。4月から現時点まで、データが大きな変化を示したのは、非常に弱い5月雇用統計だけだったことを踏まえれば、金利の道筋が変わったのは極めて劇的だ。
●7・9月利上げの可能性ある、タイミングが焦点
<OANDAのシニア市場アナリスト、アルフォンソ・エスパルサ氏>
おおむね予想通りだった。経済見通しでは2017─18年の金利見通しが引き下げられ、それほど大きな自信がないことが示された。個人的には7月、もしくは9月の利上げの可能性は残っていると考えているが、FRBから強い示唆は得られなかった。
景気はまちまちとなっていることは利上げの可能性に対する確信がなお存在していることを示しており、利上げに踏み切るタイミングがFRBにとり最大の焦点となっている。
●大統領選後の11月利上げの可能性
<ケンブリッジ・グローバルペイメンツ(ニューヨーク)のシニア市場アナリスト、スティーブン・ケーシー氏>
かなりハト派的な声明だった。連邦準備理事会(FRB)は国内情勢については大きく懸念していないようだが、外部要因については用心深く見守る姿勢を示し、ハト派に転じた。
11月の米大統領選挙後に利上げに動く可能性がある。11月利上げの確率は35─40%と見ている。
●金融政策すべてやり尽くす、据え置きの有効性低下
<リッジワース・インベストメンツの資産配分部門幹部、アラン・ゲイル氏>
決定が全会一致となったことが興味深い。英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う来週の国民投票や、予想を大きく下回った5月の雇用統計を背景に生じた不透明な状況が米連邦準備理事会(FRB)の判断に影響し、状況の推移を見守ると全会一致で決めた。
(金融緩和は株式・債券相場を)緩やかに下支えすると思うが、金融政策でできることはすべてやり尽くしたという見方が強まっていると信じる。こうした政策据え置きの動きは、有効性を失いつつある。
●年内1回の利上げ予想重要
<チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ部門責任者、ランディー・フレデリック氏>
第一印象はそれほど驚く内容でなく、反応がかなり抑制的だったことを踏まえれば、市場もさほど驚いていない。まったくうろたえていない。
非常に重要な点は、年内1回の利上げが適切と考えた投票メンバーが6人いたことだ。私自身、そのような見方をとる。仮に米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が、2回行うというこれまでの見方にこだわっていれば、市場は否定的に反応した可能性がある。
●声明とドットチャート、共にハト派的
<BMOキャピタルマーケッツ(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏>
ハト派的だった。ドットチャートもハト派的なメッセージを発している。
このところの状況や、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐるリスクのほか、インフレ期待の一部弱含みなどを踏まえ、市場ではFRBはトーンを若干和らげるとの見方が出ていた。
全般的に見てハト派的な声明だった。
●特定のシグナル感じられず
<ハイ・フリークエンシー・エコノミクス(HFE)の首席米国エコノミスト、ジム・オサリバン氏>
連邦準備理事会(FRB)当局者は年内に再び引き締めるとみられるが、一部の当局者は引き締め姿勢を弱めた。当局者らは低調だった雇用統計について、軽視するようなこともあまり発言していない。どのようなイベントであれ、慌てているようには感じられないものの、特定のシグナルもあまり感じられない。
●3年後も利上げ局面の終了想定せず
<ノムラの米金利戦略部門責任者、ジョージ・ゴンカルベス氏>
残りの米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の回数から、年内2度の利上げの可能性は残るが、バイアスは1度の利上げに傾いているようだ。
より重要なのは、長期的な金利見通しの引き下げで示されたハト派姿勢だ。2018年の中央値は3月時点の3%から2.375%に下がった。これは3年経っても、利上げ局面を終えていないことを示唆しており、かなりハト派的なメッセージだ。
●これ以上の積極性低下は想像しがたい
<バークレー・ハイツ(ニュージャージー)のシニア・マーケット・ストラテジスト、ピーター・ケニー氏>
これ以上積極性が弱まるとは想像しがたい。世界的な逆風が見通しの下方修正につながったことは明白だ。
声明にサプライズがあったとは思っていない。市場の予想通りだった。
*内容を追加しました。
http://jp.reuters.com/article/fomc-comment-idJPKCN0Z12QQ
2016年6月16日 ロイター
FOMC声明全文
6月15日、米連邦準備理事会(写真)は連邦公開市場委員会(FOMC)声明を発表した。2015年12月撮影(2016年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 15日 ロイター] - 4月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報は、労働市場の改善ペースが鈍る一方で(the pase of improvement in the labor market has slowed)、経済活動の拡大は加速しているように見える(growth in economic activity appears to have picked up)ことを示している。失業率は低下したが、雇用の拡大は弱まった(job gains have diminished)。家計支出の伸びは力強さを増した(household spending has strengthened)。今年初め以来、住宅部門は引き続き改善し、純輸出から来る足かせは減ったように見える(drag from net exports appears to have lessened)が、企業の設備投資は軟調だった(has been soft)。インフレ率は、それまでのエネルギー価格とエネルギー以外の輸入物価の下落を部分的に反映して、委員会の長期的な目標である2%を下回り続けた。将来のインフレを示す市場ベースの指標は低下(declined)し、大半の調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標はここ数カ月、総じてあまり変わっていない。
委員会は法律上与えられた責務に従って、雇用最大化と物価安定の促進を目指す。委員会は現在、金融政策の運営姿勢の緩やかな調整(gradual adjustments in the stance of monetary policy)により、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は力強さを増すと予測している。エネルギー価格のそれまでの下落(earlier declines)を部分的な原因として、インフレ率は短期的に低いままで推移すると見込まれる(inflation is expected to remain low in the near term)が、エネルギーや輸入価格の過去の(past)下落による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増せば、中期的に2%に向かって上昇すると予想される。委員会は、物価指標と世界の経済や金融の動向(inflation indicators and global economic and financial developments)を引き続き注意深く監視(closely monitor)する。
こうした状況を背景に、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0.25─0.50%に維持することを決定した。金融政策の運営姿勢は引き続き緩和的で、それによって労働市場の状況の一段の改善と、2%のインフレへの回帰を支える。
FF金利の目標誘導レンジの将来的な調整の時期と規模を決めるに当たり、委員会は目標にしている最大雇用と2%のインフレとの比較で経済状況の実績と見通しを評価する。この評価は、労働市場の状況に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融動向や国際情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。現時点でインフレ率が2%に届いていないことを考慮し、委員会はインフレ目標達成に向けた進捗と期待を注視する。委員会は、経済状況はFF金利の緩やかな引き上げしか正当化しない形で進むと予測する。FF金利は当面、長期的に到達すると見込まれる水準を下回るレベルで推移する可能性がある。ただ、FF金利の実際の道筋は、今後入手するデータがもたらす経済見通し次第である。
委員会は、保有する政府機関債とエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)の償還元本をMBSに再投資し、米国債の償還金を新発債に再投資する既存の政策を維持する。そして、FF金利の水準が十分に正常化されるまで、そうすると想定している。委員会による長期証券の保有を相当な水準で維持するこの政策は、金融環境を緩和的に保つ上で役立つはずだ。
政策決定の投票で賛成したのは、ジャネット・イエレン委員長、ウィリアム・ダドリー副委員長、ラエル・ブレイナード、ジェームズ・ブラード、スタンレー・フィッシャー、エスター・ジョージ、ロレッタ・メスター、ジェローム・パウエル、エリック・ローゼングレン、ダニエル・タルーロの各委員。
◆4月26━27日
3月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報は、経済活動は成長が減速したように見える(economic activity appears to have slowed)中でも、労働市場の状況は一段と改善したことを示している。家計の実質所得は堅調な割合で増え(has risen at a solid rate)、消費者心理も前向きな状態を保っている(remains high)が、家計支出の伸びは緩やかになった(has moderated)。今年初め以来、住宅部門は一段と改善したが、企業の設備投資と純輸出は軟調だった。力強い就業者数の増加を含め、最近の広範な指標は、労働市場が一段と力強さを増したことを示している。インフレ率は、それまでのエネルギー価格の下落とエネルギー以外の輸入物価の低下を部分的に反映して、委員会の長期的な目標である2%を下回り続けた。将来のインフレを示す市場ベースの指標は低いままで (remain low)、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標はここ数カ月、総じてあまり変わっていない(are little changed, on balance, in recent months)。
委員会は法律上与えられた責務に従って、雇用最大化と物価安定の促進を目指す。委員会は現在、金融政策の運営姿勢の緩やかな調整(gradual adjustments in the stance of monetary policy)により、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は引き続き力強さを増すと予測している。エネルギー価格のそれまでの下落(earlier declines)を部分的な原因として、インフレ率は短期的に低いままで推移すると見込まれる(inflation is expected to remain low in the near term)が、エネルギーや輸入価格の下落による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増せば、中期的に2%に向かって上昇すると予想される。委員会は、物価指標と世界の経済や金融の動向(inflation indicators and global economic and financial developments)を引き続き注意深く監視(closely monitor)する。
こうした状況を背景に、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0.25─0.50%に維持することを決定した。金融政策の運営姿勢は引き続き緩和的で、それによって労働市場の状況の一段の改善と、2%のインフレへの回帰を支える。
FF金利の目標誘導レンジの将来的な調整の時期と規模を決めるに当たり、委員会は目標にしている最大雇用と2%のインフレとの比較で経済状況の実績と見通しを評価する。この評価は、労働市場の状況に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融動向や国際情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。現時点でインフレ率が2%に届いていないことを考慮し、委員会はインフレ目標達成に向けた進捗と期待を注視する。委員会は、経済状況はFF金利の緩やかな引き上げしか正当化しない形で進むと予測する。FF金利は当面、長期的に到達すると見込まれる水準を下回るレベルで推移する可能性がある。ただ、FF金利の実際の道筋は、今後入手するデータがもたらす経済見通し次第である。
委員会は、保有する政府機関債とエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)の償還元本をMBSに再投資し、米国債の償還金を新発債に再投資する既存の政策を維持する。そして、FF金利の水準が十分に正常化されるまで、そうすると想定している。委員会による長期証券の保有を相当な水準で維持するこの政策は、金融環境を緩和的に保つ上で役立つはずだ。
政策決定の投票で賛成したのは、ジャネット・イエレン委員長、ウィリアム・ダドリー副委員長、ラエル・ブレイナード、ジェームズ・ブラード、スタンレー・フィッシャー、ロレッタ・メスター、ジェローム・パウエル、エリック・ローゼングレン、ダニエル・タルーロの各委員。反対はエスター・ジョージ委員で、今回の会合でFF金利の目標誘導レンジを0.50─0.75%に引き上げることが好ましいと考えた。
◆3月15─16日
1月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報は、ここ数カ月間の世界経済や金融動向にもかかわらず、経済活動が緩やかなペースで拡大し続けていることを示唆している。家計支出は緩やかな速度で増え、住宅部門は一段と改善した。しかし、企業の設備投資と純輸出は軟調だった。力強い就業者数の増加を含め、最近の広範な指標は、労働市場が一段と力強さを増したことを示している。インフレ率はここ数カ月間で上向いた。しかし、エネルギー価格とエネルギー以外の輸入物価の下落を部分的に反映して、委員会の長期的な目標である2%を下回り続けた。将来のインフレを示す市場ベースの指標は低いままで(remain low)、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標はここ数カ月、総じてあまり変わっていない(are little changed, on balance, in recent months)。
委員会は法律上与えられた責務に従って、雇用最大化と物価安定の促進を目指す。委員会は現在、金融政策の運営姿勢の緩やかな調整(gradual adjustments in the stance of monetary policy)により、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は引き続き力強さを増すと予測している。しかし、世界経済と金融動向は引き続きリスクをもたらす(global economic and financial developments continue to pose risks)。エネルギー価格のそれまでの下落(earlier declines)を部分的な原因として、インフレ率は短期的に低いままで推移すると見込まれる(inflation is expected to remain low in the near term)が、エネルギーや輸入価格の下落による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増せば、中期的に2%に向かって上昇すると予想される。委員会はインフレの動向を引き続き注意深く監視する(continues to monitor inflation developments closely)。
こうした状況を背景に、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0.25─0.50%に維持することを決定した。金融政策の運営姿勢は引き続き緩和的で、それによって労働市場の状況の一段の改善と、2%のインフレへの回帰を支える。
FF金利の目標誘導レンジの将来的な調整の時期と規模を決めるに当たり、委員会は目標にしている最大雇用と2%のインフレとの比較で経済状況の実績と見通しを評価する。この評価は、労働市場の状況に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融動向や国際情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。現時点でインフレ率が2%に届いていないことを考慮し、委員会はインフレ目標達成に向けた進捗と期待を注視する。委員会は、経済状況はFF金利の緩やかな引き上げしか正当化しない形で進むと予測する。FF金利は当面、長期的に到達すると見込まれる水準を下回るレベルで推移する可能性がある。ただ、FF金利の実際の道筋は、今後入手するデータがもたらす経済見通し次第である。
委員会は、保有する政府機関債とエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)の償還元本をMBSに再投資し、米国債の償還金を新発債に再投資する既存の政策を維持する。そして、FF金利の水準が十分に正常化されるまで、そうすると想定している。委員会による長期証券の保有を相当な水準で維持するこの政策は、金融環境を緩和的に保つ上で役立つはずだ。
政策決定の投票で賛成したのは、ジャネット・イエレン委員長、ウィリアム・ダドリー副委員長、ラエル・ブレイナード、ジェームズ・ブラード、スタンレー・フィッシャー、ロレッタ・メスター、ジェローム・パウエル、エリック・ローゼングレン、ダニエル・タルーロの各委員。反対はエスター・ジョージ委員で、今回の会合でFF金利の目標誘導レンジを0.50─0.75%に引き上げることが好ましいと考えた。
◆1月26─27日
昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報は、昨年末に経済成長が鈍化したにもかかわらず(even as economic growth slowed late last year)、労働市場の状況は一段と改善した(labor market conditions improved further)ことを示唆している。家計支出と企業の設備投資はここ数カ月間に緩やかな速度(moderate rates)で増え、住宅部門は一段と改善した。しかし、純輸出は軟調で在庫投資は鈍化(inventory investment slowed)した。力強い(strong)就業者数の増加を含め、最近の広範な労働市場の指標は、労働資源の活用不足がさらにいくらか減少(some additional decline in underutilization of labor resources)したことを示している。インフレ率はエネルギー価格とエネルギー以外の輸入価格の下落を部分的に反映して、委員会の長期的な目標である2%を下回り続けた。将来のインフレを示す市場ベースの指標は一段と低下(declined further)し、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標はここ数カ月、総じてあまり変わっていない(are little changed, on balance, in recent months)。
委員会は法律上与えられた責務に従って、雇用最大化と物価安定の促進を目指す。委員会は現在、金融政策の運営姿勢の緩やかな調整(gradual adjustments in the stance of monetary policy)により、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は引き続き力強さを増すと予測している。エネルギー価格のさらなる下落を部分的な原因として、インフレ率は短期的に低いままで推移すると見込まれる(inflation is expected to remain low in the near term)が、エネルギーや輸入価格の下落による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増せば、中期的に2%に向かって上昇すると予想される。委員会は世界経済と金融動向を注意深く監視(closely monitor)し、労働市場やインフレ、そして見通しへのリスクバランスに与える影響を評価する。
経済の見通しに鑑みて(given the economic outlook)、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0.25─0.50%に維持することを決定した。金融政策の運営姿勢は引き続き緩和的で、それによって労働市場の状況の一段の改善と、2%のインフレへの回帰を支える。
FF金利の目標誘導レンジの将来的な調整の時期と規模を決めるに当たり、委員会は目標にしている最大雇用と2%のインフレとの比較で経済状況の実績と見通しを評価する。この評価は、労働市場の状況に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融動向や国際情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。現時点でインフレ率が2%に届いていないことを考慮し、委員会はインフレ目標達成に向けた進捗と期待を注視する。委員会は、経済状況はFF金利の緩やかな引き上げしか正当化しない形で進むと予測する。FF金利は当面、長期的に到達すると見込まれる水準を下回るレベルで推移する可能性がある。ただ、FF金利の実際の道筋は、今後入手するデータがもたらす経済見通し次第である。
委員会は、保有する政府機関債とエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)の償還元本をMBSに再投資し、米国債の償還金を新発債に再投資する既存の政策を維持する。そして、FF金利の水準が十分に正常化されるまで、そうすると想定している。委員会による長期証券の保有を相当な水準で維持するこの政策は、金融環境を緩和的に保つ上で役立つはずだ。
政策決定の投票で賛成したのは、ジャネット・イエレン委員長、ウィリアム・ダドリー副委員長、ラエル・ブレイナード、ジェームズ・ブラード、スタンレー・フィッシャー、エスター・ジョージ、ロレッタ・メスター、ジェローム・パウエル、エリック・ローゼングレン、ダニエル・タルーロの各委員。
◆12月15─16日
10月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報は、経済活動が緩やかなペース(moderate pace)で拡大したことを示唆している。家計支出と企業の設備投資はここ数カ月間に確実な速度(solid rate)で増え、住宅部門は一段と改善した。しかし、純輸出は軟調だった。継続する就業者数の増加や失業率の低下を含め、最近の広範な労働市場の指標は一段の改善を示し、労働資源の活用不足が今年の初め以降、目に見えて減少した(has diminished appreciably)ことを裏付けている。インフレ率はエネルギー価格とエネルギー以外の輸入価格の下落を部分的に反映して、委員会の長期的な目標である2%を下回り続けた。将来のインフレを示す市場ベースの指標は低いまま(remain low)で、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標の一部はやや低下(edged down)した。
委員会は法律上与えられた責務に従って、雇用最大化と物価安定の促進を目指す。委員会は現在、金融政策の運営姿勢の緩やかな調整(gradual adjustments in the stance of monetary policy)により、経済活動が引き続き緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は引き続き力強さを増すと予測している。全般的に国内外の動向を考慮すると、委員会は経済活動と労働市場の両方の見通しにとってのリスクは安定しているとみている。インフレ率は、エネルギーや輸入価格の下落による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増せば、中期的に2%に向かって上昇すると予想される。委員会は引き続きインフレ率の動向を監視する。
委員会は、今年に入って労働市場の状況は著しく改善(considerable improvement in labor market conditions)したと判断しており、インフレ率が中期的に2%の目標に向けて上がっていくとするだけの合理的な確信(is reasonably confident)がある。経済見通しを踏まえ、政策(policy actions)が将来の経済の結果(future economic outcomes)に影響を及ぼすまでにかかる時間を考慮に入れて、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0・25―0・50%に引き上げることを決定した。今回の引き上げ後も金融政策の運営姿勢は引き続き緩和的で、それによって労働市場の状況の一段の改善と、2%のインフレへの回帰を支える。
FF金利の目標誘導レンジの将来的な調整の時期と規模(the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate)を決めるに当たり、委員会は目標にしている最大雇用と2%のインフレとの比較で経済状況の実績と見通し(realized and expected economic conditions)を評価する。この評価は、労働市場の状況に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融動向や国際情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。現時点でインフレ率が2%に届いていないことを考慮し、委員会はインフレ目標達成に向けた進捗と期待(actual and expected progress toward its inflation goal)を注視する。委員会は、経済状況はFF金利の緩やかな引き上げしか正当化しない形で進むと予測する(expects that economic conditions will evolve in a manner that will warrant only gradual increases in the federal funds rate)。FF金利は当面、長期的に到達すると見込まれる水準を下回るレベル(below levels that are expected to prevail in the longer run)で推移する可能性がある。ただ、FF金利の実際の道筋は、今後入手するデータがもたらす経済見通し次第である。
委員会は、保有する政府機関債とエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)の償還元本をMBSに再投資し、米国債の償還金を新発債に再投資する既存の政策を維持する。そして、FF金利の水準が十分に正常化されるまで(until normalization of the level of the federal funds rate is well under way)、そうすると想定している。委員会による長期証券の保有を相当な水準で維持するこの政策は、金融環境を緩和的に保つ上で役立つはずだ。
政策決定の投票で賛成したのは、ジャネット・イエレン委員長、ウィリアム・ダドリー副委員長、ラエル・ブレイナード、チャールズ・エバンス、スタンレー・フィッシャー、ジェフリー・ラッカー、デニス・ロックハート、ジェローム・パウエル、ダニエル・タルーロとジョン・ウィリアムズの各委員。
◆10月27─28日
9月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報は、経済活動が緩やかなペース(moderate pace)で拡大したことを示唆している。家計支出と企業の設備投資はここ数カ月間に確実な速度(solid rate)で増え、住宅部門は一段と改善した。しかし、純輸出は軟調だった。就業者数の増加ペースは鈍化し(pace of job gains slowed)、失業率は安定的だった(unemployment rate held steady)。それでもなお、労働市場の指標は、総じて(on balance)労働資源の活用不足が今年初め以降に減少したことを示している。インフレ率はエネルギー価格とエネルギー以外の輸入価格の下落を部分的に反映して、委員会の長期的な目標を下回り続けた。将来のインフレを示す市場ベースの指標はやや(slightly)低くなり、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標は引き続き安定している。
委員会は法律上与えられた責務に従って、雇用最大化と物価安定の促進を目指す。委員会は適切な政策緩和によって経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は委員会が二大責務と合致していると判断する状態に引き続き向うと予測している。委員会は経済活動の見通しと労働市場にとってのリスクはほぼ安定していると引き続きみているものの、世界経済と金融市場の動向を注視している。インフレ率は短期的には最近の低い水準近くにとどまると予想されるが、委員会は、労働市場がさらに改善し、エネルギーや輸入価格の下落による一時的な影響が消えれば、インフレ率は中期的に徐々に2%に向かって上昇すると予測する。委員会は引き続きインフレ率の動向を監視する。
最大雇用と物価安定に向けて続く進展を支えるため、委員会は本日、現行のゼロから0.25%というフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジが適切であるとの見解を再確認した。この目標誘導レンジを次回の会合で(at its next meeting)引き上げることが適切かどうかを決めるに当たって、委員会は最大雇用とインフレ率2%の目標に向けた進展について実績と予測の両方を評価する。この評価は、労働市場の状況に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融動向や国際情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。委員会は、労働市場のさらにいくらかの改善を確認し(has seen some further improvement)、中期的にインフレ率が2%目標に向かって戻るとの合理的な確信が持てた(is reasonably confident)時に、FF金利の目標誘導レンジを引き上げることが適切になると予測する。
委員会は保有する政府機関債とエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)の償還元本をMBSに再投資し、米国債の償還金を新発債に再投資する既存の政策を維持する。委員会による長期証券の保有を相当な水準で維持するこの政策は、金融環境を緩和的に保つ上で役立つはずだ。
委員会が政策緩和を解除すると決める時には、最大雇用と2%のインフレという長期目標と合致するバランスの取れた方策を取る。委員会は、雇用とインフレが責務に合致する水準に近づいた後も、経済状況は当面、FF金利の誘導目標を委員会が長期的に正常とみなす水準を下回るレベルに維持することを正当化すると現在想定している。
政策決定の投票で賛成したのは、ジャネット・イエレン委員長、ウィリアム・ダドリー副委員長、ラエル・ブレイナード、チャールズ・エバンス、スタンレー・フィッシャー、デニス・ロックハート、ジェローム・パウエル、ダニエル・タルーロとジョン・ウィリアムズの各委員。反対はジェフリー・ラッカー委員で、今回の会合でFF金利の目標誘導レンジを25ベーシスポイント引き上げることが好ましいと考えた。
http://diamond.jp/articles/-/93179
2016年6月16日 ロイター
イエレン米FRB議長のFOMC後の会見要旨
6月15日、米FOMCは政策金利の据え置きを決定した。写真はイエレンFRB議長。ワシントンで3月撮影(2016年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は15日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定した。ただ、米労働市場は再び力強さを増すとの見方を示し、年内2回の利上げを実施するとの姿勢を示した。
イエレンFRB議長がFOMC後の会見で行った発言の要旨は以下の通り。
◆成長は上向く
これまでの第2・四半期指標は、成長がかなり持ち直していることを示唆している。この回復は、全般的な経済活動は今後数年、緩やかなペースで拡大するとの委員会の見通しを支える主な要因だ。
◆中立金利
中立金利、つまり経済が最大雇用の状態で推移するのに適切な金利水準は、現時点で低いと考える十分な理由がある。そしてわれわの大半は基本シナリオとして、中立金利がいずれ上昇すると想定することが妥当だと考えている。だが確信はない。不確実性の1つであり、双方向に見直しの可能性がある。だが最新のFRB経済見通しでは下方修正が主だった。
◆賃金の伸び
労働市場のスラック(緩み)が解消し、労働市場が最大雇用と整合する状況に近づいている兆候とみなすにはいく分より速いペースでの賃金増が必要だと考える。賃金の伸びが加速に向かっている初期の兆しがみられる。これは労働市場が全般的に健全な兆候だ。
◆政策と今後の選挙
われわれは政治を考慮に入れず、経済見通しの評価や適切な変更を行うことにかなり集中して取り組んでいる。
仮に向こう数カ月中に公表されるデータが、見通しに照らして、われわれが適切とみるペースで徐々に利上げを行うことを正当化する内容なら、(徐々に利上げを進めても)市場は驚かないだろう。FOMCは適切と考えれば、今後数カ月中にためらわず行動する。
◆海外情勢など不透明
今年や来年に何回利上げすべきかをFOMC全体で議論したことは一度もなく、それはFOMCが決めることではない。FOMCは毎回の会合で決定を行い、会合で何を検討しているか、何が決定の根拠となるかを説明するよう心がけている。先に申し上げたように、まず海外情勢の不透明性が大きい。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)問題では、国民投票の結果が将来の政策を決定する上で考慮する要因となる。経済成長や労働市場の進展継続も検討材料だ。
◆利上げに決まった道筋ない、7月「不可能ではない」
(利上げを行なうにあたり)十分な勢いがあることを確認する必要がある。こうしたことがいつ確認できるのかは分からない。毎回の会合で行動を起こす可能性がある。行動を起こす可能性のない会合はない。 利上げを行う可能性のない会合はない。
経済指標をみる必要があり、時期について事前に特定することはできない。次回会合、次々回会合と特定するのは心地悪いが、可能性はある。不可能ではない。
例えば、われわれが完全に良好な軌道に乗っていることを示す指標が7月までに得られることは不可能ではない。
◆見通し、毎回の会合で行動する可能性
消費支出の減速については、ファンダメンタルズからかい離しているようにみえる。われわれは上向くと予想していたし、上向いたとの非常に力強い確証も得ていた。
ただ労働市場は今は減速したようにみえ、われわれは経済の基調的な勢いが衰えていないことを確認する必要がある。
このため、労働市場の一段の改善に十分なペースで雇用創出が継続することを確認するために労働関連指標を注意深く検証し、われわれの予想に沿って成長が上向いていることを確認するために消費関連の指標も注視する。
毎回の会合で行動を起こす可能性があり、どの会合でもフェデラルファンド(FF)金利を調整する決定を下す可能性があるが、決定を行うにあたり、以上に述べたことがが必要となってくる。
◆他国の金融政策、米FRBの足かせとならず
海外経済の状況、成長見通しや金融政策スタンスは、米見通しや適切な金融政策スタンスに影響を及ぼす要因だ。米国の金融政策姿勢に関係するのは確かだが、金融政策の足かせとなっているとまでは言わない。
◆労働市場
労働市場の状況はなお健全だが、一部勢いが失われた感じはある。減速の理由が何であったのか、正確に言うことは難しい。特に労働市場をめぐる他の指標がなお堅調である時に、1回の経済指標を深読みするべきではない。
FOMCも、自分自身も、労働市場の進展が頓挫したとは考えていないし、予想もしていない。
◆労働市場の減速
労働市場の改善ペースは直近で著しく減速した模様だ。4・5月の雇用増は平均で月当たり約8万人にすぎなかったと推計される。最近の労働市場データが失望を誘う内容となったが、1−2カ月分の指標に過剰反応しないことが重要だ。委員会は引き続き、労働市場が今後数年間さらに強まると予想している。労働市場を注視していく。
◆慎重な政策
慎重に対応し、金利目標を引き上げることで、経済成長の緩やかなペースへの回復や労働市場の一段の強まり、インフレの2%目標への推移継続を確認することが可能となる。短期金利はゼロ近傍にとどまっており、慎重さがなおさら適切となる。すなわち金融政策は、労働市場の弱まりやインフレ低下に対するよりも、予想外に強いインフレ圧力に対して一層効果的に対処できる。
◆英国による欧州連合(EU)離脱
英国によるEU離脱(ブレグジット)について討議した。この問題は、今日の決定に織り込まれた1つの要素であったと言うのが公平だろう。
これは英国、および欧州にとり非常に重要な決定となる。世界的な金融市場における経済・財政状況に影響が及ぶ可能性がある決定だ。離脱すれば米経済見通しにも影響が及び、政策の適切な道筋を決める1つの要素となる。英国によるEU離脱問題は明らかにわれわれが討議した不透明な要素の1つで、今日の決定に織り込まれている。
http://diamond.jp/articles/-/93177
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