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(回答先: 既に売上高1兆円、UBERはタクシーを駆逐するか? 業界再編は必至、しかしタクシー業界の新たな展望も 投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 14 日 13:43:46)
世界初、人の顔の商標登録でビッグマネーを生む
火を噴く実業家 KISSジーン・シモンズのビジネス塾
火を噴く実業家 KISSジーン・シモンズのビジネス塾(第1回)
2016年6月14日(火)
田端 花子
派手なフェイスペイントに、火を噴くパフォーマンス。1970年代初頭にデビュー以来、ヒット曲を連発し、現在に至るまでハードロックの頂点に君臨し続けるロックバンドKISS。その創設メンバーのジーン・シモンズは、アーティストとしてだけでなく、スゴ腕の実業家としても知られている。ブランド・アイデンティティーを熟知し、バンドの象徴であるフェイスペイントをいち早く商標登録して、ビジネス化した先駆者だ。現在までに、ライセンスした商品は、コミック、アクションフィギュア、テレビゲームからコンドーム、棺桶に至るまで5000アイテム以上にのぼる。また、プロのスポーツチーム、レストラン・チェーン、金融ベンチャー、レコードレーベルなどの事業も手がける。そうした経験を踏まえて昨年、これから起業を目指す人たちに向けて書籍『KISSジーン・シモンズのミー・インク〜ビジネスでドデカく稼ぐための13の教え』を執筆した。ロサンゼルス・ビバリーヒルズの豪邸に住むジーン・シモンズ氏を訪ねて、インタビューし、実業家としての素顔に迫った。
(聞き手は、音楽プロデューサーの田端花子氏)
ジーン・シモンズ
ロックバンド、KISSのベーシスト、ボーカリスト。1949年イスラエル・ハイファ生まれ。母親のフローレンスさんはナチスの強制収容所のサバイバー。58年に母親とともに米国に移住。当初英語がまったく話せなかったが、テレビやマンガを通じてマスターしたという。ビートルズにあこがれ、学生時代に音楽活動を開始。70年代初頭、ポール・スタンレーとKISSを結成。シングル、アルバム総売り上げは1 億3000万枚超にのぼり、現在も活動を続けている。実業家としても知られ、キャラクタービジネス、ブランドビジネスの可能性にいち早く気づき、ライセンス商品、権利管理、分配などを自ら担当。音楽関連以外にも数々の事業を手がけている。2016年10月13日〜31日ラフォーレミュージアム原宿にて「KISS EXPO TOKYO 2016 〜地獄の博覧会〜」の開催決定。
1973年にKISS結成以来、CDやアルバムの売り上げが1億枚を突破し、興行収入はビートルズやプレスリーを上回ると聞いています。KISSがほかの世界的なバンドやミュージシャンと明らかに違うのは、音楽の追求とともに、バンド活動をビジネスとして徹底的に追求している点です。著書『ミー・インク』の中でも「自分たちの活動はビジネスだと自覚していた」と書かれているが、なぜそのような意識を持っていたのか?
ジーン・シモンズ(以下、ジーン):この業界に入ったとき、ミュージックではなくミュージック・ビジネスという言葉が使われていた。だからポール(編集部注:ポール・スタンレー)とKISSを始めたときは、このミュージック・ビジネスで大きなホームランを打つことを意識した。Go Big or Go Home(編集部注:大きなチャレンジに挑む覚悟がないなら最初からやるな)だよ。恐らく、何をやっていたとしても、その意識はあったと思う。それを、大好きなことでやれるんだから、こんな幸せなことはないよ。
音楽バンドの事業規模は、一般には見えにくいものです。KISSを一つの企業と考えると、どれくらいの売り上げ規模の事業体なのか?
ジーン:まず、ツアーをやる年か否かで違ってくる。150か所のツアーを一つやればグロスで1億ドルぐらい稼ぐことになる。また、今の音楽業界における音楽収入も、どの時期を考えるかでまったく違ってくる。各々のソロ活動というのもある。KISSの売り上げを公表することはないよ。
女の子の嬌声より、男の子の憧れの方が有望だ
バンド結成以来のCDやアルバムの販売収入と、KISSのロゴやフェイスペイントなどのライセンス収入のどちらが多いのか? また、KISS結成以来のトータルのライセンス収入(CDや興行など、通常の音楽活動を除く)はどのくらいか?
ジーン:額は公表しないが、収入の質が違うことは伝えておこう。例えばライブというのは、短い時間で莫大な金額になるものだ。1日2時間のライブで100万ドル以上の売り上げになる。1日だよ。それに比べて音楽の印税や著作権、ライセンスのビジネスは1日にそこまで稼げなくても、何もしなくても日々コンスタントに入ってくる。後者の質問についてだけど、メディアで試算されている金額はおおよそ合っているよ。(編集部注:米メディアの試算額は約10億ドル)
ジーン・シモンズ氏の自宅内にあるライセンス商品のコレクション。サンリオのハローキティなど日本企業とのコラボレーションも少なくない。
商標権の供与など、ライセンス・ビジネスの可能性にどのように気づいたのか? その経緯について教えてほしい。ビジネスパーソンや起業家がKISSに学ぶべき点は、商標ビジネスの展開についてだと思うので。
ジーン:バンドを始めて間もない頃、商標に関して独学で調べたんだ。息の長いバンドになっていくには、イメージやブランディングは絶対に重要なファクターだと直感していたからね。だから、我々はアイドル的な存在になって女の子にキャーキャー言われるのでなく、男の子をターゲットにした。なぜなら、女の子がメインターゲットだと次のアイドル的バンドに取って代わられるからね。でも男の子はいったん「かっこいい!」と思ったら、とことんついてきてくれる。そこで、私自身小さい頃から憧れだったアメリカン・ヒーローのようなペルソナとメイクを作ってみた。
そして、商標についてあらゆる文献を読んで、ブランディングも考えた。KISSの音楽セールスやコンサートが商業的に成功していくにつれ、KISSのこのキャラクターのお蔭でグッズも飛ぶように売れるようになったんだ。あとはファンの要望に応えて商品を増やしていったら、いつの間にかライセンス・ビジネスも大きな柱になっていた、というわけさ。
商標ビジネスに関しては、学べば学ぶほど、リテラシーのある人とそうでない人とでビジネスの規模に大きな差が出ることを知った。驚くほど多くのものが商標登録されていない。自分の事業やブランドを築く中で、商標のこともきちんと学んでビジネスにつなげていくことは大切なことさ。特にこれからの時代の起業家はね。
何が「クール」か、ユーザーの声を丁寧に聞く
フェイスペイントやKISSのロゴがビッグマネーを生むと確信したのは、いつ頃か? 何をきっかけにそう思ったのか?
ジーン:デビュー間もない頃だったね。独特のルックスが出来上がったので、トレードマーク化するのはどうか、という話が当時のマネジャーから出た。
その頃、商標のことなど何もわからなかったので、早速図書館に行って調べたんだ。そう、商標登録の方法や仕組み、著作権に関する本などはすべて図書館にあったからね。しかもタダで調べられる(笑)。ただ、メイクを思いついたときは商標なんか頭にないよ。バンドの奴らと遊び半分でメイクをしたとき、何ともしっくりくるものがあったんだ。感動を覚えたね。自分にピッタリなアイデンティティーを見つけたというか。メンバー各自で自分のメイクを考えたので、例えば、ポールのメイクを私がしても全くしっくりこない。自分たちで考えたメイクが各々ピッタリと自分たちの中でハマったので、そのとき、ああ、これはうまくいくな、と確信したんだ。KISSのメイクの商標登録は、初めて人間の顔が商標登録された例だと聞いている。
KISSといえば、フェイスペイントがまさにトレードマーク。いち早く商標登録して、通常の音楽活動以外の収入をアップさせた。
企業がブランドを確立し、ライセンス・ビジネスをうまく展開する鉄則をいくつか教えてほしい。
ジーン:ライセンス・ビジネスで何が成功するかは、ユーザーが決める。何が「クール」なのか、ユーザーの感覚は鋭い。その声に丁寧に耳を傾けることが大切さ。どんな確立されたビッグ・ネームのブランドでも、ライセンスには全く不向きなものもある。フォード社のTシャツを欲しいと思うかい? 音楽でいえば、U2は最も成功したバンドのひとつだけど、U2のコミックを読みたいとは思わないだろ?
その逆もあって、名前としてはそんなに知られていなくても、ライセンスに向いているものもあるんだ。いい例が、私が大好きなモーターヘッド。バンドとして商業的に大成功を収めたわけじゃないけど、Tシャツは飛ぶように売れた。ラモーンズもそうさ。基本的にアンダーグラウンドなクラブ・バンドで、一回だってアリーナクラスになったことはなく、レコードもゴールドディスクが1つあるかないか。でも、あのロゴが入ったTシャツはみんな欲しがる。ラモーンズのTシャツを好んで着てる奴らで、一度も彼らの音楽を聴いたことがない人なんていくらでもいる。だからブランドの名前の大きさとライセンス・ビジネスの規模は呼応するわけじゃないのさ。どんなものがライセンスに向くのか、その嗅覚を磨くことが大切だね。
(次回につづく)
ロック界のレジェンドが、手ほどきする本格ビジネス書
『KISSジーン・シモンズのミー・インク〜ビジネスでドデカく稼ぐための13の教え』
『KISSジーン・シモンズのミー・インク〜ビジネスでドデカく稼ぐための13の教え』(ジーン・シモンズ著、大熊希美/滑川海彦訳、日経BP社、1800円+税)
KISSのジーン・シモンズは、バンドの象徴であるフェイスペイントやロゴをいち早く商標登録し、ビジネス化していった先駆者だ。現在では、コミック、棺、アクションフィギュア、テレビゲームなど5000アイテム以上のライセンス商品が世界中で販売されている。さらに、プロのスポーツチーム、レストラン・チェーン、金融ベンチャー、レコードレーベルなどのビジネスにも乗り出している。イスラエルの極貧の家に生まれ、幼少期、英語をまったく話せない状態で渡米。徒手空拳から成り上がったジーン・シモンズは、生き方、音楽、ビジネス、すべてに関して貪欲だった。だが、単にアグレッシブなだけではなく、将来を見通す冷静さと事業マインドも持ち合わせていた。本書でジーン・シモンズは、野心ある起業家に成功のために必要なツール、そして自分というブランド資産を軸としたビジネスを構築する方法について余すところなく手ほどきする。
このコラムについて
火を噴く実業家 KISSジーン・シモンズのビジネス塾
派手なフェイスペイントに、火を噴くパフォーマンス。1970年代初頭にデビュー以来、ヒット曲を連発し、現在に至るまでハードロックの頂点に君臨し続けるロックバンドKISS。その創設メンバーのジーン・シモンズは、アーティストとしてだけでなく、スゴ腕の実業家としても知られている。ブランド・アイデンティティーを熟知し、バンドの象徴であるフェイスペイントをいち早く商標登録して、ビジネス化した先駆者だ。現在までに、ライセンスした商品は、コミック、アクションフィギュア、テレビゲームからコンドーム、棺桶に至るまで5000アイテム以上にのぼる。また、プロのスポーツチーム、レストラン・チェーン、金融ベンチャー、レコードレーベルなどの事業も手がける。そうした経験を踏まえて昨年、これから起業を目指す人たちに向けて書籍『KISSジーン・シモンズのミー・インク〜ビジネスでドデカく稼ぐための13の教え』を執筆した。ロサンゼルス・ビバリーヒルズの豪邸に住むジーン・シモンズ氏を訪ねて、インタビューし、実業家としての素顔に迫った。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/060700004/060700003/
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