http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/770.html
Tweet |
既に売上高1兆円、UBERはタクシーを駆逐するか?
業界再編は必至、しかしタクシー業界の新たな展望も
2016.6.14(火) 伊東 乾
米配車サービスのウーバー、性的暴行多発報道に反論
南仏ボルドーで行われた配車サービス「ウーバー(UBER)」に対する抗議デモに参加したタクシー(2016年1月26日撮影)〔AFPBB News〕
しばらく前のことです。「AI」とか「ビッグデータ」という言葉に「よく分からない恐怖心がある」という方からお話を伺いました。
「人間の脳を超える知性」なんてものが出てきたら、いったい世の中はどうなるのだろう。元来ITとかコンピューターは苦手な方だ。もしかすると仕事がなくなってしまうのではないか・・・。
そんな懸念をお持ちでした。確かに「AI的なるもの」が発達することで、なくなる仕事や変質する業界があるのは間違いないと思います。
しかし、ほとんど影響を受けない分野、AIやビッグデータ的アプリケーションが普及することが伸びる業種などもあるはずです。
少し関連の問題を考えてみましょう。
UBERはTAXIを駆逐するか?
例えばUBERというシステムがあります。自動車を配車するウエブサイトでありアプリケーションですが、2009年にスタートしてまだ10年を経過しませんが米国の市民生活になくてはならないものになっている。
一言で言うと「オンデマンド・タクシー」のようなもので、スマートホンから「配車してくれ」と呼び出すと、(地域にもよりますが)3〜5分くらいで自分のいる場所に車がやって来て、行きたい場所まで運んでくれる。
しかもでタクシーよりずっと安い。支払いはキャッシュレス、すべてクレジットカードで行い、利用した記録、経路などもすべて残っており間違いが起こる確率が極めて低い。
日本でも2013年から羽田空港と都内の一部を結ぶエリアで営業が許可されていますが、他の地域でのUBER展開は「白タク営業に当たる可能性がある」として許可が下りないといった事態が発生しています。
UBERのシステムはAIやビッグデータが持つ美点・長所とリスクを典型的に示しているように思うので、これを例に説明してみましょう。
UBERが通常のタクシーと違うのは「営業所が(いら)ない」ことです。車に乗りたい人Xさんががシステムにアクセスして、
「いま自分はA地点にいる。B地点まで運んでくれ」
というリクエスト情報を送ると、A地点近くにいる、UBERに登録しているドライバーたちに「注文があったよ」というコールがリリースされます。
「よし、このお客、俺が拾った!」と1人のドライバーY氏がそれを受けると「受付済」の情報が流れ、他のドライバーたちは次の客待ちとなる。
商談を成立させたドライバーY氏からのコールがお客のXさんに届き、商談成立。お互いのファーストネームが分かり、お客の立場からは車の車種やナンバープレートなどの情報も知ることができます。
客が待っている正確な場所が分からないとドライバーから携帯電話に「どこにいるの?」という連絡があったりもする。
いずれにせよ、都市部であればどこにいてもすぐに車は来るし、行きたいところまで運んでくれ、しかも上のようなシステムがすべて電算化されているのでローコストで済み、お客が支払う金額はタクシーより安く、ドライバーが手にする報酬はタクシー並みかタクシーよりも高かったりもする。
UBERの売り上げは2015年に1兆円を超える規模に急成長しており、税金もしっかり納めているので国や自治体も文句なし、近江商人もびっくりの「三方良し」の経営・・・と言いたいところなのですが、これではたまらないというのがタクシー会社でしょう。
UBERと通常のタクシーとは何が違うのか?
端的に言えば、中間コストが極限まで圧縮されているので、産業規模という観点からは、法で禁止されない限り、タクシー業界にUBERが押されていくのは間違いないように思います。
何が「人智を超え」ているのか?
UBERのシステムは、スマートホンとGPS、言語処理のデータマイニング技術などを組み合わせたもので、一つひとつは「枯れた技術」です。新規性という観点からは、そんなに大したものではありません。
GPSは大変なテクノロジーで、特殊相対論、一般相対論の補正まで入れて30メートルほどのメッシュで地球上のあらゆる地点を確定することができます。そういう膨大な位置情報の中から、
「ここに顧客がいますよ」
というコールがあると、それを周辺にいるドライバーを選んで瞬時に情報配信してしまう、この部分が「巨大データ」を「高速検索・演算」して、お客個人とドライバー個人、PtoP(ピア・トゥー・ピア)に人と人を結びつけてしまうビッグデータ検索&AI的なコンピューテーションの部分です。
ニューヨークの街中で、仮に毎秒50人の顧客がコールしても、全く問題なく捌(さば)くことができます。計算機からすればスローモーションみたいなものです。
これが人間の交換手がタクシー営業所で無線通信していたのでは、到底間に合いません。
思えば、かつては電話も人間の交換手が一つひとつつないで通話回線を開いていました。PCM、戦前の日本海軍の用語でいう「自動トラヒック」の技術が確立し、日本では電電公社―NTTなどの「電話交換手」という職業はほぼ消えてなくなった。
では「電話の交換台」というものがなくなったか、と言えば、そんなことはないでしょう。
大企業や官庁などの代表番号に電話すると「交換手」に相当する人が出てきます。例えば東京大学の代表電話にかけると、定時であればちゃんと人間の交換手が応対してくれます。
UBERがどれだけ普及しても、ハイヤーのような個別配車が完全になくなることはないでしょう。マスコミやテレビ局はタクシーやハイヤーをしばしば利用しますが、これがUBERに取って代われるとは想像しにくい。
とは言え、本格的にUBERが参入してくれば、どの国でもタクシー業界には激震が走り、ことによれば業界再編といった動きにも直結することでしょう。
UBER導入で「合理化」されてしまうのは「中間コスト」であることに注意すべきと思います。人間が逐一行うことで、低速非効率、かつ高コストになっているような業務は、電子頭脳が安価かつ高速に処理することで整理されてしまう可能性が高い。
かつての電電公社の電話交換手業務のように・・・。
しかし、多くのドライバーは、UBERの導入だけであれば、職を失う心配をしなくてもよいかと思います。タクシー会社を辞めて、UBERのドライバーに転職すれば、むしろ収入は増えるかもしれません。
しかし、もしUBERが「自動運転車」で運営されていたなら・・・。
つまり「運転手」という存在が「非合理な中間コスト」と見なされてしまう状態であるなら事態はやや違うことになる可能性があります。
タクシー業界の逆襲?
この点を逆に取れば、UBER参入を恐れるのでなく、タクシー会社にも商機があることが分かるでしょう。
つまり、高コストの人間ドライバーを人員整理して、初期コストはかかると思いますが、自動運転車ネットワークで地域展開すればよい。
何にコストがかかると言って、人件費が一番なわけです。仮にUBERにドライバーが流れても、大半を自動運転車に代え、さらにUBER同様のアプリケーション配車システムを導入すれば、現在のUBERよりも安い「無人タクシー」で高い収益率を上げることができるかもしれません。
その昔、まだ珍しかった背の高いビルには古式ゆかしいエレベータが配され「エレベーターガール」が手動でこれを運転していました。
いまや、由緒正しいホテルやらデパートやら、あるいは一部書店でも目にしますが、エレベーターガールという存在は「贅沢」の一種になっている。
自動運転車が普通になれば「人間が運転する車」というのは贅沢、ないしステイタスシンボルとして機能するようになり、世の中の車事情は今日と全く違うことになるでしょう。
車の自動運転もまたAIそしてビッグデータの典型的なアプリケーション分野にほかなりません。
ところで、UBERであれ自動運転車であれ、システム化された乗り物の動きはGPSによってデータ化され、記録がしっかり残ります。
仮にこうしたデータ、まさにビッグデータですが、誰か見知らぬ第三者が勝手に検索し、あなたの動きを逐一監視していたとしたら・・・。
これは相当、気持ちの悪い現象と言わねばなりません。
「ビッグデータ・クライシス」。エドワード・スノーデン氏が突きつけた個人情報の問題が、実はこれらのすぐ隣に位置しています。
そのあたりの問題を引き続き考えてみることにしましょう。
(つづく)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47075
- 世界初、人の顔の商標登録でビッグマネーを生む 火を噴く実業家 KISSジーン・シモンズのビジネス塾 火を噴く実業家 軽毛 2016/6/14 13:49:00
(0)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民109掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。