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米ペンシルベニア州ピッツバーグで公道走行実験に臨むウーバーの自動運転車。同社提供。車は米フォード・モーターの「フュージョン」のハイブリッド車タイプを改造したもの(2016年5月19日提供)。(c)AFP/UBER/HO〔AFPBB News〕
自動運転が米国で急展開、日本はついていけるか? 技術開発も大事だが社会の変化を見逃すな
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47072
2016.6.14 桃田 健史 JBpress
4月後半、アメリカから飛び込んできたニュースに日系自動車メーカーは度肝を抜かれた。
グーグルおよび自動車メーカーのフォード・モーター、ボルボ、そしてライドシェア大手の米ウーバーと米リフトの5社が、自動運転車の法整備に向けた圧力団体を設立したというのだ。
しかも、その広報担当者に就任したのは、米運輸省の道路交通安全局(NHTSA)の長官を2014年まで務めたデヴィッド・ストリックランド氏だった。NHTSAは、世界各国が自動車に関する法規制について話し合う国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)でも大きな影響力を持つ。
こうした状況について、日系自動車メーカーのある自動運転車担当者は苦笑いをしながらこう語った。「アメリカでは、日本人の発想ではまったく考えられないことが起こる。NHTSAの前長官が現長官に向かってロビー活動をするなんて、なんともアメリカらしい」
さらに、彼を含めて日本で自動運転車の開発を手掛けている多くの技術者が理解できなかったのが、圧力団体の顔ぶれである。
技術者たちは「なぜ自動車メーカーとライドシェア企業が連携するのか? なぜグーグルが橋渡し役なのか?」という素朴な疑問を抱いた。しかし、周りに答えられる者はいない。日系自動車メーカーに携わる多く人が、「クルマが社会の中でどう位置付けられ、社会をどう変えていくのか」を理解できていないからだ。
■自動運転が「クルマの公共化」を推進する
これまでグーグルは連邦議会とNHTSAに対して、「グーグルが理想形とする完全自動運転に適した法解釈」への理解を求めるロビー活動を積極的に展開してきた。前述の圧力団体もグーグル主導という印象が強い。
(*配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の写真をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47072)
グーグルのセルフドライビングカーの開発拠点(筆者撮影、以下同)
グーグルが求めているのは、自動運転というより無人運転に近いものだ。子どもや、視覚障碍者など、これまでの常識ではクルマに1人で乗ることができない人々を含めて、「すべての人にセルフドライビングカーを提供する」と訴えてきた。
こうした主張は、「クルマの公共化」と同義だと言ってよい。
実は、この「クルマの公共化」というキーワードこそ、自動車メーカーのフォードとボルボ、さらにライドシェア事業者のウーバーとリフトを結び付けた要因だ。
例えば、フォードの場合、2016年1月のコンシューマ・エレクトロニクス・ショー(CES)と北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)で、今後の事業戦略について「『オートモーティブ』から『トランスポーテーション』に大きくシフトする」と宣言している。新車を顧客の所有物として売り切る従来のビジネスは今後も継続しつつ、ライドシェアのような「クルマの公共化」ビジネスの領域も重視するというのだ。
また、フォードは「クルマの公共化」ビジネスを推進する要素の1つとして自動運転を位置付けていることも説明した。
こうしたフォードの事業転換宣言に対して、自動車メーカーの一部の人たちは「これは大変なことになった!」と浮足立った。
2016CESで、自動運転車開発の現状を説明する、フォードのマーク・リールズ社長
■「自動運転」開発の焦点は技術からサービスへ?
以上のように、アメリカでは「自動運転」と「ライドシェア」の融合による「クルマの公共化」の動きが加速しそうだ。
一方、日本では国がライドシェアに対して事実上「NO」と言っている状態である。ライドシェア事業の環境作り、法整備もまったく進んでいない。
5月末に、トヨタがウーバーとの間で「ライドシェア領域における協業を検討する旨の覚書を締結した」と発表した。ただし、協業する場所として日本は当分の間除外されるようだ。
ウーバーは2015年の初め、オハイオ州ピッツバーグに自動運転の開発拠点を開設した
日本の自動車業界では、自動運転に関してセンサー性能やインフラ協調などの技術的要因を重要視する傾向が強い。そのため、「走る・曲がる・止まる」というクルマの運動性能面では、日本が世界最高峰の自動運転技術を有している。
だがここへきて、アメリカが自動運転の「サービス」要因を重要視し、ライドシェアを巻き込んで、議論の舞台を「クルマの公共化」に引き上げようとしている。この流れが進むと、自動運転分野における日系メーカーの存在感が弱まる危険性が強い。
2016年は、自動運転における大きなゲームチェンジの時期になりそうだ。
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