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最新インフレ期待値、FRBには悩みの種か 統計史上最低の2.3% 投資家は暗中模索 ドル/円英投票にらみ下方リスク警
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/719.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 13 日 08:24:11: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

最新インフレ期待値、FRBには悩みの種か

By BEN EISEN
2016 年 6 月 13 日 06:42 JST

 米ミシガン大学が10日発表した期待インフレ率は、米連邦準備制度理事会(FRB)が快く思わない数値だっただろう。

 6月のミシガン大消費者信頼感調査によると、5〜10年先の期待インフレ率は統計史上最低の2.3%に低下した。1年先の期待インフレ率は前月比横ばいの2.4%だった。

 さらに市場ベースのインフレ期待もここ1カ月低下している。

 FRBがインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、過去2年にわたりFRBの目指す2%を下回り続けている。このことからインフレは投資家の新たな焦点になった。

 イエレンFRB議長は6日の講演で、期待インフレ率は実勢インフレ率を決める重要な要素だと述べて注目を集めた。

 「こうした指標が価格決定に関連するこれらのインフレ期待の真の低下を意味するかどうかははっきりしない。例えば、金融市場の(インフレ期待の)数値は、実際のインフレ期待よりもインフレリスクに対する見解の変化の方を大きく反映するかもしれない。ただ、指標はわたしがとりわけ注目するほどの変動を見せている。インフレ期待が本当に低下しているのであれば、わたしが予想するほど早期にインフレが2%に果たして戻るのかという疑問が生じかねない」との発言だった。

 FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)は週明けに会合を開く。ミシガン大が10日発表した最新インフレ指標について、CRTキャピタル・グループの金利ストラテジスト、イアン・リンゲン氏は「気付かれずには済まない動態であるのは間違いない」と話す。キャピタル・エコノミクスのスティーブ・マーフィー氏も同様の見方で、この数値は「FRB当局者が注目するのは必至」だと指摘。またバークレイズのエコノミスト、ジェシー・ハーウィッツ氏も、今回の期待インフレ率の低下はイエレン議長が講演で言及した懸念を高めるかもしれないと話した。

 これらは市場でも注目され始めている。ミシガン大の指標発表後に10年物米国債の利回りは日中の最低水準に下がり、今年最も低い1.63%で取引を終えた。

 先に発表された5月の雇用統計が低調だったことで、米経済の明るい側面だった雇用市場の健全性を疑問視する見方が強まった。フェデラルファンド(FF)金利先物市場でも、早期利上げの確率低下が示された。

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「データ次第」のイエレン議長に投資家は暗中模索、まごつくばかり
Steve Matthews
2016年6月13日 06:48 JST

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米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は次の利上げの時期についての明示的なガイダンスを当局に求めないでほしいと言う。このコミュニケーション方針のおかげで金融政策の軌道について投資家は暗中模索を強いられている。
  議長は6日ペンシルベニア州フィラデルフィアでの講演で、米金融当局がいつ行動するかを明言するのは「まれな場合のみ」だと発言。「最大限できることは、当局の考えを導く要因について説明することだと思う」と語った。
  このアプローチの困るところは、当局の計画を理解するのが難しくなると感じられることだ。連邦公開市場委員会(FOMC)の意向は会合後に発表される声明と、政策当局者らのその後の発言からうかがい知ることができるが、これらは必ずしも当局の行動についての一貫性のある説明になっていない。
  例えば、4月FOMCの声明は比較的ハト派的だと受け止められたが、3週間後に公表された議事録で大半の参加者が6月利上げに傾いていたことが分かり、投資家は驚いた。
  今月のFOMC会合の声明が発表される15日午後2時にもまた、その意図を理解しようと知恵を絞ることになるだろう。最新の経済予測も公表されるほか、イエレン議長が行う四半期に一度の記者会見もヒントになる。
  プロッサー前フィラデルフィア連銀総裁は「問題」を指摘する。意見の異なるFOMCメンバーが妥協点を探る結果、「空虚」なFOMC声明が通常になってしまったと説明した。
  「皆が同意できる声明にしようという願望が、内容をよりあいまいで意味の分かりにくいものにする。つまり、声明によって伝わるはずの、議論の真の性質というものが明らかにならない」と語った。四半期ごとの経済予測についての変更や記者会見を毎会合後に行う案などFOMCはコミュニケーション改善の方法を模索している。
  イエレン議長とFOMC参加者らは雇用者数の伸びが約6年ぶり低水準だった5月の雇用統計の後、6月利上げを示唆する発言を引っ込めた。7月についてのヒントを6月声明に求めるのは期待薄だ。
  「市場参加者が何が起こるかをひどく知りたがっていることは分かる」とイエレン議長は6日に述べた。しかし「18回くらい繰り返していると思うが、あらかじめ決めてある計画などというものはない」と言明した。
  フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む6月利上げ確率はゼロ、7月は20%となっている。
原題:Yellen Data Dependence Leaves Investors Dazed and Confused(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-06-12/O8K4C86JIJV001


今週のドル/円は英投票にらみ下方リスク警戒、中銀会合は無難か
[東京 13日 ロイター] - 今週の外為市場でドル/円は、来週に控える英国の欧州連合(EU)離脱の是非をめぐる国民投票への思惑から下方リスクが意識されそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合が予定されているが、米利上げや日銀緩和への思惑は高まっておらず、政策は現状維持が見込まれている。

予想レンジはドル/円が105.00―108.00円、ユーロ/ドルが1.1100―1.1400ドル。

来週23日に英国民投票が迫る中、世界的な国債利回り低下、株価下落といったリスク回避ムードとなっている。英ポンドに加え、英国の離脱で影響を受けやすいユーロも低調だ。

これまでのところ、世論調査の結果では残留派と離脱派の綱引きが続いており、今後も世論調査の結果で相場が振らされそうだ。

見通しが利きにくい中ではリスク回避的な動きが出やすいとみられ「ポンドやユーロに対してドルが買われても、ドル/円はリスク回避の円買いの側面が強そうだ」(あおぞら銀行の市場商品部部長、諸我晃氏)という。

短期筋のドル売り/円買いポジションは一時に比べ縮小し、下攻め余地が生じているとの見方から、年初来安値105.55円を試す展開を警戒する声もある。

今回のFOMC(15日まで)では、利上げは見送られるとの見方が有力。「声明文やイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の会見などを通じて、7月利上げの可能性を探ることになる」(国内証券)という。

「FOMCメンバーの政策金利予想が年2回で維持されるなら、あらためて7月利上げが織り込み直されるのではないか」と、外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は指摘している。

このほか米経済指標としては、小売売上高(14日)、鉱工業生産指数(15日)、消費者物価指数(CPI)(16日)などの発表が予定されている。

一方、日本サイドでは、日銀の金融政策決定会合の結果が16日発表される。海外勢の一部には追加緩和期待があり、ドル/円の支えになりそうだ。追加緩和があれば1─2円程度の上昇余地はあるとみられている。ただ、参院選を控え、国民理解の進んでいないマイナス金利の拡大に動くとの見方は少数派。政策の現状維持を予想する向きが多い。

きょうは中国で小売売上高や鉱工業生産といった経済指数が発表される。リスクセンチメントへの影響が関心を集めそうだ。

(為替マーケットチーム)
http://jp.reuters.com/article/tokyo-frx-weekahead-idJPKCN0YY13E

 

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コメント
 
1. 2016年6月13日 09:36:18 : 46au376vfM : ZYM7DDGC_rw[533]
経済的には良くないといっているが、離脱は将来良いでしょう。

TPPも同じことです。

国の主権を放り出せば、いいように収奪されていくのです。

英国民の英断は、、どちらでしょうか?

日本もTPPは、反対ですよね?

アメリカ国民も、反対です。

国益が、世界の大企業に収奪されるのですから、、反対は当然だと思います。


2. 2016年6月13日 11:14:13 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[1648]

英国がEU離脱すれば、英国、EUはもちろん、世界全体が大きなマイナスの影響を受けるし、当然、それは雇用悪化を介して、経済だけにとどまらず安全保障上のリスクも拡大していく

ただし
大衆というのは全体が豊かになっても、相対的に自分の地位が低下することを嫌う

愚民というのは、自分が貧しくなっても、全体が、さらに貧しくなることを喜ぶ

自爆テロリストは自分の命を捨てても、嫌なやつがたくさん死ぬことを喜ぶ

だから、今のような反グローバリズムの動きというのは、必然というわけだ


3. 2016年6月13日 17:51:20 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[489]

FRB、利上げ見送りは吉と出るか
By GREG IP
2016 年 6 月 13 日 14:54 JST

 5月の米雇用統計が衝撃的に弱い内容だったため、明確な針路と思われた数カ月以内の利上げという連邦準備制度理事会(FRB)の計画には狂いが生じた。金融市場が浮き沈みする中、FRBは再び機会を逃したという嘆きの声が聞こえてくるかもしれない。

 FRBはここ2年にわたり、着実に利上げする計画を立ててきたが、景気が突如減速した、インフレが低下した、あるいは金融市場が混乱したという理由で何度も計画を先送りにしている。FRBは今でも失業の減少に伴い段階的に利上げすると考えている。筆者の同僚のジョン・ヒルゼンラス記者が指摘しているように、FRBは「利上げできる機会を探っている」。

 FRBは自らを身動きできないところへ追い込んでいるとの批判もある。単純に利上げに備えることにより、実際に踏み切れないような状況を作り出しているというわけだ。

 ただ、この論理にはゆがんだ意味合いも含まれている。FRBはすべきときではなく可能なときに利上げするという主張だ。これは金利という金融政策手段と、失業の減少・2%前後の安定したインフレというFRBの目標とを混同している。

 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は2008年から15年までゼロ近辺に据え置かれ、わずか1度の利上げを経て現在は0.25%〜0.5%となっている。金利が上昇すべきであることは自明ではないだろうか。これこそ、FF金利の段階的な上昇軌道が描かれているFRBのドット・チャート(政策経路見通し)が伝えていることではないだろうか。

 実際のところ、その答えはノーだ。適正な金利水準は、経済が完全雇用でインフレが2%のときに達成されているだろう。FRB当局は数年前、この魔法の金利(FRBは「中立的金利」ないし「均衡金利」という表現を好む)を4%と想定していたが、現在は3.3%と考えている。イエレンFRB議長は6日の講演で、現在は2%に満たない可能性を示唆した。これらは全て推測だ。ことによると正しい数字は0.25%かもしれない。完全雇用の経済に匹敵するFF金利の水準について定める経済の法則などは存在しない。

 FRBは機会を逃した、と言えば、現在の金利はもっと高いはずだと主張することになる。だが実際にそうであれば、足元で進んでいる景気減速はもっと早期に訪れていただろう。

 ただ、金利が高ければ、FRBにはそうした減速に対処する手段がさらに与えられていたのではないだろうか。確かにそうだが、それでは犠牲が多くて割に合わない。経済の出発点は低かったことになり、失業率で言えば5%付近ではなく6%といった具合だ。金利という政策手段には、雇用や所得を諦めるという点でかなりの犠牲が伴っていただろう。

 FRBが早期に利上げしていれば良かったと考えるかもしれない理由は二つある。一つ目は、インフレが急速に2%の目標を突破すればより大幅な引き締めが必要になり、リセッション(景気後退)へ逆戻りする恐れがあることだ。その可能性は極めて低いと思われる。事実、長期のインフレ見通しはすでに2%を下回り、一段と低下している。

 もう一つは、ゼロ金利期間の長期化により、金融市場で観測が入り乱れ、最終的にはそれが荒々しく覆された結果、FRBが早期に火消しに回っていた場合よりも経済が悪化する、という理由だ。

 この二つ目の懸念はささいなリスクとは言えない。FRBにとって正しい対応は、低金利を続けることの利益(足元の雇用増加)と費用(今後雇用が大幅減少する可能性の高まり)とをはかりにかけることだ。2014年には市場にかなりのフロス(小さなバブル)が見られたため、こうしたトレードオフが利上げを支持していたかもしれない。それ以来、利上げが少しでも見込まれればリスクテイクの動きが抑えられている。これこそ、経済がやや遅れて減速している理由だ。

 イエレン議長は、5月の雇用統計がひどかったにもかかわらず、依然として労働市場は強さを増すと考えていることを示唆した。議長は正しいのかもしれない。一方、JPモルガンによると、1年以内にリセッション入りする可能性は36%と、落ち着かない水準へ上昇している。リセッション入りした場合、はっきりしていることが一つある。FRBは追加利上げしなかったことに満足するだろう。

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FRBの利上げ判断、「自然利子率」も問題に
By
HARRIET TORRY
2016 年 6 月 13 日 13:24 JST
 米連邦準備制度理事会(FRB)当局者らはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を次はいつ引き上げるか議論しているが、今後数年でそれをどこまで引き上げるべきかという問題とも格闘している。
 今後はそうした金利の水準がこれまでよりもずっと低くなるのが当たり前となる兆候が浮上している。そのため、FRBの利上げ時期やそのペース、さらに打ち止め水準を巡る議論に幅広い影響が及んでいる。
 利上げの「終着点」についてFRB当局者の意見は割れている。いわゆる「自然利子率」が近年低下している原因を当局者がなかなか理解できずにいることが一因だ。自然利子率という概念を提唱したスウェーデンの経済学者、クヌート・ビクセルの理論に当局者の多くが目を向け始めたのはこのためだ。
 教科書的には、自然利子率とは経済がフル稼働でも過熱することなく拡大できるインフレ調整後の金利を指す。貯蓄と投資がバランスする均衡金利としても知られる。自然利子率は直接観測できるものではない。経済の反応から推計することしかできないものであることはFRBも承知している。投資家のエディー・エルフェンベイン氏は自身の投資家向けサイト「クロッシング・ウォール・ストリート」で自然利子率について、天王星や海王星の軌道のズレの原因究明から存在が明らかになった冥王星のようなものだと述べた。
 自然利子率がなぜ重要かと言うと、一つにはFRBがFF金利誘導目標を定める際の指針となるからだ。同目標は経済全体の借り入れコストに影響を与える。FRBが同目標を引き上げすぎれば、投資を減少させ、リセッション(景気後退)を招く恐れがある。低すぎる水準を維持すれば、需要が猛スピードで伸び、インフレや金融バブルを引き起こしかねない。
 かつて英中銀イングランド銀行金融政策委員会(MPC)の外部委員を務めたピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は「実質的な影響は、FRB当局者が自然利子率について話せば、次の利上げ局面で最終的にどこまで金利を引き上げるべきかと考えているかを語ることになってしまうことだ」と述べた。
 金融危機の直前までは、自然利子率は2%程度というのが大方の経済学者の見方だった。米国がリセッションを脱してから7年が経過した現在では、ゼロ近辺かゼロをわずかに下回る水準との見方が大勢となっている。
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自然利子率の推計値(灰色:実効FF金利の四半期平均)
 自然利子率について長年研究しているサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の最近のインタビューで、「経済がフル稼働に戻っているのに自然利子率は全く上昇していない」と述べた。
 これが示唆しているのは、FRBが向こう数年間はFF金利誘導目標を現在の0.25〜0.50%からそれほど大きく引き上げることはない、ということだ。借り手にとっては金利低下に、貯蓄家にとっては収益減少につながるという意味でもある。
 14日・15日の連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが見送られる公算が大きいものの、景気が回復すれば7月か9月の会合で利上げが検討されそうだ。15日には、FRB当局者が予想するFF金利の長期見通しの最新版も発表される。
 FRB当局者のFF金利長期見通しは低下傾向にある。3月に発表した直近の見通しは3.3%(中央値)だった。これを当局者らの長期インフレ見通し(2%)で調整した自然利子率の推計値は1.3%と、昨年6月の1.75%から低下した。
 FRBと米経済にとってリスクの一つは、自然利子率が低いと、FRBがリセッション期に経済成長を促したりインフレ率を2%の目標水準へ押し上げたりするために利下げする余地も小さくなることだ。
 ウィリアムズ総裁は「これはわれわれにとって大きな課題だ」と述べた。
 問題は、自然利子率がこれほど低い理由を経済学者らが十分理解できていないことだ。そのため、自然利子率の低下が恒久的なのか一時的なのか判断しづらくなっている。自然利子率は再び上昇するのか、上昇するとすればどれぐらいなのか、結果として長期のFF金利はどの程度の水準で落ち着くのか、ということも分かりにくくなっている。
 FRBのイエレン議長は先週フィラデルフィアでの講演で、現在の自然利子率の水準は「かなり低いと思う」と指摘。いずれは上昇すると予想しているが、「確かなことは分からないので時間をかけて調べる必要がある」と述べた。
 経済学者らは自然利子率が低下した理由について、さまざまな説を唱えている。前FRB議長のベン・バーナンキ氏は、世界的な貯蓄過剰が原因と指摘している。ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授は、投資需要が慢性的に不足する「長期停滞」が原因との立場だ。
 イエレン議長は、金融危機以降の経済成長を抑えてきた一時的な逆風、すなわち経済の不確実性、ドル高、生産性・労働力人口の伸び鈍化に原因があるかもしれないとの見方を示している。
 FRB当局者は指針として、ビクセルが100年以上前に提唱した理論に再び脚光を当てている。イエレン議長などFRB幹部らが講演でビクセルに言及したのは、この1年だけでも5回に上る。バーナンキ氏はブログで、金利、経済成長、インフレの関係に関するビクセルの理論に触れた。
 ビクセルは、自然利子率を「一般的な傾向として実物価格を上昇も低下もさせない中立的な融資金利」と特徴づけた。ただ、自然利子率は観測不能で、「現在の社会全体の経済動向を左右する数多くの事柄」によって決まる上、これらの要因(生産性、失業率、技術的・人口動態的な変化)は常に不安定だと述べた。
 FRBのフィッシャー副議長は今年、向こう数年は自然利子率が低水準にとどまるとの見通しを示し、それを左右する要因を予想するのは「非常に難しい」と警告した。
 副議長は1月の講演で、「『(自然利子率は)現在の低水準がいつまでも続くのか』という質問に対する答えは『分からない』だ」とし、「最終的に歴史が答えを出すだろう」と語った。
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ECBはマイナス金利を導入したが、ユーロ圏の消費の伸びにつながっていない(今年1月、バーゲンを掲げるパリの店先を行き交う人々) PHOTO: MARLENE AWAAD/BLOOMBERG NEWS
MIN ZENG and JON SINDREU
2016 年 6 月 13 日 13:42 JST
 世界中でマイナス水準の利回りで取引されている国債を合計すると8兆ドル以上になる。これは各中央銀行が個人や企業の支出を促そうとして、いかに必死に利回りを押し下げているかの証しだ。
 ところがインフレ率を控除すると、いかにそれが困難なことかが明らかになる。JPモルガン・チェースの統計によると、実質利回りがマイナス水準の国債残高は6兆8000億ドルに縮小し、わずか数カ月前の半分になってしまう。
 これはおそらく、金利が過去最低水準に低下してもなお、低迷する経済を刺激する各中銀による異例の取り組みが直面している問題の厳しさを明らかに示すものだ。
 10年物米国債の利回りは10日に1.639%でまで低下した。2013年5月以降では最低の終値水準で、同じ年限のドイツ国債と日本国債も過去最低水準をつけた。10年物ドイツ国債は、初めて終値の利回りがゼロを割り込む寸前だった。
 だが、各地でここ数カ月、インフレ率も低下しているので、金利低下を約束しても個人や企業にとってはあまり安心材料になっていない。欧州全般と日本では、過去最低の利回りも、インフレ調整後の実質利回りでみると、資金調達条件の緩和につながっていない。投資家にとってこれは、超低金利がもうしばらく続く新たな兆しとなる可能性が高い。
 経済分析会社ネッド・デービス・リサーチの上席国際エコノミスト、アレジャンドラ・グリンダル氏は「これは中央銀行が直面する限界を示している。中銀は名目金利をゼロより低く押し下げることはできるが、それでもまだ苦戦している」と語った。
 リセッション(景気後退)に見舞われた場合や財やサービスに対する需要が弱まる場合、中銀は利下げすることが多い。実質金利のマイナス水準への低下を図ることで、現金保有に潜在的な負担をかけ、個人や企業に支出の動機を与える狙いだ。ところが、インフレ率が債券の名目利回りよりも早く低下していると、これは容易なことではなくなる。
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各国の実質金利(10年債利回り−インフレ率):上から、ドイツ、日本、スイス、米国
 日本を例にとると、指標銘柄の10年債利回りは13日午前の終値がマイナス0.160%となった。直近4月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0.3%低下しており、多くの個人や企業に対する融資金利の基準となる10年の実質金利はプラス0.14%ということになる。
 つまり日本銀行は、今年初めにマイナス金利を導入したものの、景気刺激の成果をあまり挙げていないことになる。世界の実質利回りがマイナス水準にある国債残高は2月に14兆ドル近くに達したが、その後はインフレ率の低下傾向を繁栄して半分以上も減少している。
 多くのアナリストは、低金利およびマイナス金利政策の明らかな失敗は、つまるところ先進諸国全般の財政政策に問題があることを意味していると言う。各国政府が、雇用や高齢化、インフラ(社会基盤)投資などの課題に全体として取り組む政策を実施できないために、経済成長が行き詰まっているのだと指摘している。
 ドイツ銀行の主任国際エコノミスト、トーステン・スロク氏は「金融政策ができることの限界に達したのだと思う。マイナス金利が実際に裏付けたことは、不景気な状態から経済を救う上で金融政策だけに頼る愚かさだ」と語った。
 米連邦準備制度理事会(FRB)はマイナス金利を導入していないが、やはり軟調な経済情勢に悩まされている。14・15日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、低インフレと雇用の伸びが落ち込んだことを受け、利上げを予想するアナリストはほとんどいない。
 欧州中央銀行(ECB)も実質金利をマイナス水準に維持しようと苦戦している。ECBはマイナス水準に利下げすることで、家計や企業に対する与信コストを全体にどうにか緩和したが、ECBの統計によれば新規貸し出しは2006年の約17%の水準にとどまっている。
 欧州では、マイナス金利がインフレ上昇にもつながってはいないようで、インフレ率は現在マイナス0.1%となっている。石油と食品の影響を除くと物価の伸びはほぼ1%を下回り、ユーロ圏の経済活動が弱いことを示している。ユーロ圏のインフレ率は5年前には3%をつけている。ユーロ圏の実質金利は、11年から13年にかけてはマイナス2%まで低下したが、現在ははるかに高くなっているとアナリストらは言う。
 低インフレがECBの取り組みの多くを無にしている証拠が一つある。現在、実質金利でみるとユーロ圏の方が米国よりも高いのだ。政策金利に密接に関連する銀行間翌日物金利の実質水準は、米国ではマイナス0.73%で、ユーロ圏のマイナス0.23%よりも低くなっている。
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マイナス利回りの国債残高は増えている(赤)が、実質利回りがマイナスの残高は減っている(青)
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