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自動販売機(「Wikipedia」より/Benzoyl)
1本50円の激安自販機、なぜ成立?自販機設置&運営すると実は儲かる?
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15406.html
2016.06.08 文=ソマリキヨシロウ/清談社 Business Journal
暑くなってくると、つい街中の自動販売機で冷たいドリンクを買いたくなる。最近は、自販機ごとに価格が異なる上、100円以下の「激安自販機」を見かけることも多くなった。
大手メーカーの自販機は基本的に定価販売で、500ミリリットルのペットボトル商品は150円、缶入り商品は130円などとなっている。スーパーマーケットに行けば同じ商品が100円以下の価格で棚に並び、最近ではコンビニエンスストアでも値下げ販売をしているケースがあるため、自販機の割高感は否めない。
そんな心理に応えるように数を増やしているのが、激安自販機だ。なかには「50円」や「10円」といった商品が並ぶ自販機もあり、わざわざ遠方から買いに来る人もいるという。なぜ、激安自販機はそこまで安くすることができるのだろうか。
■自販機オーナーは1日15本以上売れないとうまみゼロ?
まず、飲料自販機のビジネスモデルについて整理してみよう。基本的には、飲料メーカーが適当な場所を借りて自社の自販機を設置するが、その仕組みによってタイプが分かれる。
「フルオペレーションタイプ」は、土地の所有者は場所を貸すだけで、メーカーが自販機の設置からメンテナンス、商品の補充などを行う。土地所有者は電気代を負担することになるが、売り上げの20%ほどを手数料として受け取ることができる。
現在、このフルオペが日本で一番多いシステムとなっている。1本当たりのマージンは20円ほどで、電気代が月額3000〜5000円ほどかかるため、1日15本以上は売れないと、オーナーにとってはうまみがないビジネスだ。
一方、「セミオペレーションタイプ」と呼ばれるのは、オーナーが自販機の本体をリースもしくは購入し、商品の仕入れから補充まですべて自分で行うシステムだ。手間はかかるが、粗利はすべて自分の儲けとなるので、稼ぎたいのであれば、セミオペのほうが効率がいい。
また、セミオペの場合は販売価格もオーナーが自由に決められるため、安く仕入れることができれば、それだけ価格を下げることができる。ディスカウントショップの激安商品や賞味期限間近の放出品などを仕入れれば、安く売ることも可能だ。
これまで、手書きで「50円」「10円」といった激安の値札が掲げられている自販機は、ほぼこのセミオペ系の自販機だった。しかし、最近はフルオペでも激安価格で販売する業者が登場している。激安自販機が急増している背景には、そうした業者の存在があるのだ。
■値下げ合戦で50円以下の自販機も登場か
「当社では『スーパーショップ』という自販機で、各メーカー様の商品を混合して、50円から100円で販売しています」
そう語るのは、激安自販機で業界シェアを伸ばしているミリオンの自販機市場開発課の平川隆行氏だ。
「安値の秘密は、メーカー様の品質に劣らない自社ブランドのPB(プライベートブランド)商品を開発していること。また、大手メーカー様の商品でも、大量一括購入による仕入れ価格の交渉に加え、過剰在庫や賞味期限の短い商品などを放出していただくことで、通常より安く提供させていただいています」(平川氏)
PB商品の開発・直売システムと、業界大手ならではの交渉力で仕入れた安価な商品の供給という、フルオペとセミオペのいいとこ取りのようなビジネスモデルを展開するミリオン。現在、既存の自販機からの転換も含めて設置台数を急激に伸ばしている。
「沖縄で創業したのですが、現在は関東圏だけで約1000台の自販機を展開しています。今後、競争が激化したら、50〜100円という価格設定をさらに下げることも可能です」(同)
激安自販機が当たり前になると、その先には、さらなる過当競争が待っている。その昔、自販機のセールスでよく言われたセリフに「自販機は24時間、文句も言わずに働く営業マンです」というものがある。
しかし、今や自販機は24時間働くだけでなく、価格力や商品力など、さまざまな個性を打ち出さないと生き残っていけない時代なのだ。
(文=ソマリキヨシロウ/清談社)
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