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[けいざい解説]ヘッジファンドから資金流出 運用低迷、高コスト嫌気
一時は全世界で約3兆ドル(約330兆円)にまで増えたヘッジファンドの運用資産が、減少に転じている。リーマン・ショック後の金融緩和で市場にあふれたマネーの受け皿となり、存在感を高めてきたヘッジファンドに何が起きたのか。
世界のヘッジファンドは2015年10〜12月期に差し引き15億ドルが流出した。さらに16年1〜3月期も150億ドルが純流出した。金融危機の時期に重なる08年7〜9月期から09年4〜6月期までの4四半期以来、7年弱ぶりに2四半期以上続けて資金が流出したことになる。
資金流出の根本的な理由は、新興国経済の変調で株式や通貨が乱高下し、良い運用成績が上げられなかったことだ。運用低迷により「管理手数料として残高の1〜2%、成功報酬として運用益の20%」というヘッジファンドの手数料体系も不透明で割高と批判され、投資家の解約が増えたとみられる。
こうした批判は、かねて聞かれた。カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は14年の時点でヘッジファンドへの投資を取りやめる意向を表明。「コストや運用の複雑さなどを考慮すると適切な投資手段ではない」(運用責任者)との判断からだった。ここにきての運用低迷で、カルパースのような動きが加速している。
ヘッジファンドの運用不振で今年1〜3月期に赤字決算となった米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は、同ファンドの残高を110億ドルから55億ドル程度に圧縮する方針だ。
注目すべきは「アクティビスト」に分類されるファンドからの資金流出が目立つことだ。企業の経営戦略や利益還元に注文をつけ収益を上げる投資手法で、日本では「物言う株主」と呼ばれる。今年1〜3月の純流出額は43億ドルと全体の純流出額の3割弱を占めた。
これまで「アクティビスト」はヘッジファンド全体の中でも運用成績が相対的に高く、年金基金の人気があった。ここにきて市場の混乱から安定した成績が上げにくくなり、解約の波が及んできたという。
「ファンド設定(1996年)以来、最も壊滅的な期間だった」。顧客向け書簡にこう記したのは、ソニーやファナック、セブン&アイ・ホールディングスなど日本企業への投資でも知られる、米アクティビストのサード・ポイントだ。ファンド収益率を見ると、設定来では年平均15.8%と同期間の市場平均(7.3%)を上回るが、今年1〜3月はマイナス2.3%と市場平均(1.3%)より悪い。
日本では利益還元を実行させたり、トップ人事に影響力をふるったりと、連戦連勝の感があるサード・ポイント。しかし、ファンド全体としての苦戦は否めない。「他にも投資先の業績不振で運用がふるわないアクティビストは少なくない」(大手証券のヘッジファンド専門家)
物言う株主は企業統治改革を追い風として日本で存在感を高めた。今後は運用成績の回復を期して、一層厳しいリストラや利益還元を要求してくるのではないか、といった見方も浮上している。
(編集委員 小平龍四郎)
[日経新聞6月5日朝刊P.3]
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