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2015年10月に杭施工データ改ざんが発覚した「パークシティLaLa横浜」(撮影:今井康一)
新築マンションの9割が「欠陥マンション」だ なぜマンションは完成前に販売されるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/120999
2016年06月04日 船津 欣弘 :総合検査代表取締役 東洋経済
社会を震撼させている欠陥マンション問題。国内有数の大手デベロッパーやゼネコンが手掛けているにもかかわらず、なぜ欠陥はなくならないのか。建築検査のプロであり、『新築マンションは9割が欠陥』を上梓したばかりの船津欣弘氏に、欠陥マンションから身を守るための心得と対処法を聞いた。
欠陥マンション問題はなぜ繰り返されるのか。その原因を突き止めるには、まず建築業界の実態に目を向ける必要があります。2015年10月に発覚した横浜のマンション「パークシティLaLa横浜」の杭施工データ改ざん事件。
■「大手業者だから安心」が命取り
事の発端は、マンションの住民が、渡り廊下でつながっている別棟との接合部分にある手すりに生じた「ずれ」に気づいたことでした。その後の調べにより、本来、その建物を支える支持層にしっかり固定されているはずの杭のうち8本が、地中に浮いているような状態で見つかったのです。
さらに、ほかにも施工データを改ざんされた杭が多数発見されました。同じく横浜市内の「パークスクエア三ツ沢公園」では杭施工データ偽装とされる傾斜が発覚。どちらも全棟建て替えが予定されています。
「パークシティLaLa横浜」は事業主(デベロッパー)が三井不動産と明豊エンタープライズ、設計・施工は三井住友建設。「パークスクエア三ツ沢公園」は事業主が住友不動産、設計・施工は熊谷組。日本を代表する大手企業が名を連ねています。それにもかかわらず欠陥がなくならない大きな問題としては、まず下請け多重構造が挙げられます。
マンションのように大規模な建物の場合、多いケースで約30社もの業者が関係する工事もあるほど。しかも実際に施工するのは下請け・孫請けの業者になります。そこで働くのは「職方」と言われる日給月給の請負労働者。多くの企業がかかわる仕事でそれぞれが利益を抜いていったら、彼らに支払われるのはかなりの薄給であることは想像に難くないと思います。しかも、建築業に携わる現場労働者は340万人といわれますが、そのうちの3割、100万人程度は社会保障未加入で、有給休暇も取れません。
こうした絶望的な状況で働かざるをえないとなると、よりいい仕事をしようとか、どんなに時間がかかっても丁寧な作業を心掛けようという意識は生まれにくいでしょう。しかも東日本大震災以降、ベテラン職方が次々と離職しており、未熟な職方が増えているという問題もあります。
「パークシティLaLa横浜」では、手すりに生じた「ずれ」により、杭の施工不良が発覚した
欠陥につながる重要な問題はまだあります。「工期厳守のプレッシャー」です。日本の分譲マンションは「青田売り方式」で販売されるのが一般的で、建物が竣工(=完成)する前、場合によっては工事が始まる前に販売が行われるケースもあります。
このように物件がまだ完成していない状態で販売が行われるのは、事業主の資金繰りが原因です。マンションのプロジェクトに要する資金は、そのほとんどを金融機関からの借り入れで調達しますが、竣工までに売り切ってしまえば、引き渡し後すぐに資金回収ができ、金利負担はその段階までしか発生しないので、事業計画として成り立ちやすいのです。
■米国では「実物を見せて販売」が常識
しかし諸外国ではそうではありません。たとえば米国では建物の基本部分ができてから、実物を見せて販売を行っています。「建設工事は完成予定より遅れることもある」という前提に立っているからです。しかし日本の現状では、一度、工事請負契約を締結したら、工事の延期はご法度。そうなると、工期を優先するあまり、現場管理が手薄になり、その結果、ミスが発生しやすくなります。
この2つの要因以外にも、ゼネコンの大事な役割のひとつである「管理」、そして工事監理者(設計事務所に所属する一級建築士で、マンションの設計者)による「監理」がきちんと機能していないことなども絡み合い、さまざまな施工不備や欠陥が生まれてしまうのです。
『新築マンションは欠陥が9割』とタイトルにありますが、これは決して誇張ではありません。もっと言えば、私が今までに検査したマンションでは、ほぼ100%、なんらかの不備や欠陥が見つかっています。これが現実なのです。そして欠陥があった場合は、そのマンションの価値は確実に下がるどころか、場合によっては全住民で補修工事の費用を負担しなければならないケースも出てきます。
新築マンションを購入するということは、このようなリスクを背負うこともセットでついてくるのだということを、まずは認識してください。私は現在、賃貸マンションに住んでいますが、かつては新築マンションを購入して住んでいたこともあります。売却して賃貸派になったのは、建築検査に携わる中で、マンションにまつわる諸問題の大きさを知り、賃貸のほうがリスクが少ないと判断したからです。
とはいえ、やはり自分のマンションが欲しい。そう思う方には、「2003〜2005年竣工(築11〜13年)で、なおかつ大規模修繕を実施済み」の物件がお勧めです。中古マンションと侮るなかれ。後の2006〜2007年ごろの不動産プチバブルと言われていた時期に竣工したマンションに比べ、地価も平均工事単価も低かったため、全体的に割安といえます。
ただ、築11〜13年経過程度であれば大規模修繕を実施していない物件もあるでしょう。その場合は、2000年以前に竣工した物件で、1回目の大規模修繕を実施済み物件(築16年程度)。築年数を気にしないのであれば、2回目の大規模修繕を実施済み物件(築20年程度)も候補に挙がります。
■「経年劣化」か「危険な不具合」かの見分け方
最後に、これからマンション購入を予定されている方も、すでにマンションを購入してお住まいの方もできる、自分で欠陥をチェックする方法をご紹介します。万が一、欠陥が見つかってもきちんと対処すれば問題は解決しますので、怖がらずに確認してみて下さい。
既存マンション調査で発見したコア抜き
(1)コンクリートのコア抜き
画像は既存マンション調査で発見したコア抜き。配管が通っていますが、孔に入れた鏡に映っている楕円形のシミ(囲み部分)のようなものは、切断された鉄筋です。耐力上の影響があるので補修の対象です。
クラック(割れ目)が深くまで発生して雨水等の水分が鉄筋に到達し、さびが発生
(2)クラックからさび汁が出ていないか
写真はクラック(割れ目)が深くまで発生し、雨水などの水分が鉄筋に到達しさびが発生、そのさび汁がコンクリート表面に現れたと懸念されるケースです。欠陥ではなく塗装劣化の場合もありますが、念のため専門家に調査を依頼しましょう。
既存マンション調査で発生した爆裂痕
(3)コンクリートかぶり厚不足による爆裂
(2)の状態が進行すると、さびた鉄筋が膨張し、コンクリートを破壊する爆裂が発生する危険があります。写真は既存マンション調査で発生した爆裂痕。囲った部分がさびて膨張した鉄筋です。コンクリート片が落下しやすくなり、その範囲が大きいとケガなどの人的被害も発生するので要注意です。
5月20日に上梓した『新築マンションは9割が欠陥』では、高品質のマンションを購入するためのノウハウや、自分のマンションに不具合が見つかった場合の解決策について詳しく述べています。みなさまの「住まい」選びの参考になさってください。
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