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セブン&アイ鈴木前会長を放逐した伊藤邦雄とは何者?社外取締役が大企業に激震呼ぶ時代に(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/404.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 03 日 09:02:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

               セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長(ロイター/アフロ)


セブン&アイ鈴木前会長を放逐した伊藤邦雄とは何者?社外取締役が大企業に激震呼ぶ時代に
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15339.html
2016.06.03 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal


 セブン&アイ・ホールディングス(HD)の株主総会が5月26日に開かれ、鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)が取締役を退任し、名誉顧問となった。24年ぶりのトップ交代となった引き金は、新たに社長に就任した井阪隆一氏の処遇をめぐっての年初来の出来事だったのは周知のとおりである(本連載『老害化した天才経営者・鈴木セブン&アイ会長、なぜ退任に?一介の雇われ経営者の末路』)。

 鈴木氏が策動した井阪氏更迭の動きに対して、イトーヨーカドー創業家の伊藤家やアクティビスト・ファンド(物言う投資家)である米サード・ポイントが批判的となった。しかし、セブン&アイHDの内部で正式なガバナンスとして機能したのは、2人の社外取締役がいる指名・報酬委員会であった。同委員会で否決された案件を、鈴木氏はあえて4月の取締役会に諮ったのだが、ここでも社外取締役の伊藤邦雄氏(一橋大学特任教授)の「無記名投票にゆだねよう」という動議の結果、否決されたことからて鈴木氏の急転直下の辞任会見へと展開した。

●企業ガバナンスの本家としての矜持

 伊藤教授は実は単なる経営学者ではない。経済産業省が取り組んだ「持続的成長への競争力とインセンティブ〜企業と投資家の望ましい関係構築〜」プロジェクトで座長を務め、2014年秋に「最終報告書(伊藤レポート)」をまとめた。伊藤レポートは日本における企業ガバナンスへの本格的な提言として、海外でも高い評価を得た。

 また、1月に日本取締役協会が初の「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」としてブリヂストンを大賞とするなど5社を選出したおりにも、審査委員に名を連ねている。日本のコーポレート・ガバナンスにおける理論面の総本山みたいなお立場の人だ。

 企業ガバナンスについて強い信念を持つ伊藤教授だからこそ、セブン&アイHDのカリスマだった鈴木氏が提示した井阪更迭案件に対しても、強い姿勢で臨めたのだろう。会社側がもし「お飾りで名目だけの」社外取締役としての役割を期待して伊藤教授を招聘していたのなら、その当ては外れたことになる。

●社外取締役は、ビジネスの内容に精通する必要はない

 日本取締役協会の会長、宮内義彦氏(オリックス シニア・チェアマン)は社外取締役の役割について次のように述べている。

「社外取締役の導入に反対する人の意見に『高度で複雑な我が社の事業内容が外部の人にわかるわけがない』というものがあります。ごもっともですが、私に言わせれば、わかる必要は必須ではありません。『事業内容はさっぱりわかりませんが、ひどい業績ですな。なぜこれしか利益を出せないのですか』と質問し、答えを引き出して、評価できればいいのです」(4月17日付日本経済新聞電子版)

 私自身も数社で実質的に社外取締役として活動している(1社で社外監査役、同族企業2社で特別顧問として役員会に毎月出席)が、着任するまでその会社はもちろん当該業界について知識があったわけではない。それぞれの会社での役員会では、社外取締役という異分子である私への説明責任は、会社側にある。

 執行役でもある社内取締役の大部分は、長年その会社に勤め上げて出世の報酬として役員会に名を連ねている。社内の役員たちには自明なことでも、社外の当方には合理的、整合的な説明が必要となる。そして、当方は経営の仕組みについては経験が深い。そんな私を社内取締役の皆さんは納得させ、説得しなければならない。そこで「ムラの論理」の限界が露呈する。そして、まさにそれが社外取締役の起用によって実現が求められている企業ガバナンスの発露となるのだ。

●候補は少なく掛け持ちにも制限が

 セブン&アイHDでの伊藤教授のようにアクティブな役割を果たす社外取締役は、これからも増えていくだろう。社外取締役は、東証1部上場企業では幅広く設置されるようになった。きっかけは、昨年6月にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の適用が始まったことだ。東京証券取引所と金融庁による同指針では、上場企業に2名以上の社外取締役の選任を求めている。それ以来、東証1部企業では9割以上が選任済みとなった(2名以上選任したのは6割)。

 ガバナンス・コードでは社外取締役の要件として、「経営から独立した立場」を求めている。つまり、現経営陣の「社外のお友達人脈」による馴れ合い的な経営行動の承認を忌避しようとしているわけだ。

 しかし、そんな要件の設定もあり、1部上場企業以外では社外取締役の選任は緒に就いたばかりだ。東証2部企業の2割、ジャスダック上場企業では4割もが独立社外取締役の選任に至っていない(コーポレートガバナンス報告書の集計による)。

 当面需要が急増している社外取締役であるが、実際に着任している人材は重複していることも多い。理由は、ガバナンス・コードの導入により「とりあえず需要」が起こったこと、それから1部上場大企業に見られる「実績優先」から、他社での着任実績を優先したことにある。

●社外取締役のほうも責任を果たしたい

 しかし、もうひとつの理由は「本当はうるさくない社外取締役を」という企業側の本音がある。私もガバナンス・コードが導入される状況が明らかになった昨年のある時期に、関西の1部上場企業から社外取締役就任の打診を受けた。しかし、その会社の総務担当執行役員との面談で「役員会の案件にできるだけご理解をいただき、ご支援をお願いしたい」などと言われ、結局着任しなかった。独立的な立場にある社外取締役候補なら誰でも、「それならお友達を連れてきなさい」と思うのではないか。

 もうひとつ候補者とすり合わせをしなければならないのが、社外取締役となった場合のスケジュール確保だ。原則、月1回の役員会だけの出席だが、年にすれば12日である。加えて株主総会がある。地方企業の取締役を受ければ、前泊も必要となる。役員会の前の別日に社外取締役だけにブリーフィングを行う企業も出てきた。

 ソフトバンクは社外取締役にファーストリテイリング社長の柳井正氏、日本電産社長の永守重信氏という超大物お二人が社外取締役におり、役員会では実際に丁々発止と孫正義社長に切り込んでいるという。それはソフトバンクにとって幸せなことだが、現役経営者が他社でも取締役として活動することは時間的な制約があるし、何より自社の株主から注文が付けられることにもなりかねない。

 特定の人材が社外役員を何社も掛け持ちするのを防ぐ動きも出てきている。3月の段階で日経平均株価採用の225社のうち71社がなんらかの制限を付けていた(QUICK ESG研究所調べ)。

 社外取締役への需要はこれから急増していくのだが、対応できる現役経営者の数的制限、制度的な制約の増大、時間的な制約などを考えると、これからは「プロ経営者」に続いて「プロ社外取締役」という概念が生まれてくるのではないか。

 つまり、経営者の現役を卒業して、「他社・他業界のことでも説明を受ければ構造的に理解できる」「当社経営の構造的な問題を直覚的に把握できる」「業界的な桎梏(しっこく)の延長線上での惰性的な経営執行の理解」、そしてそれよりも何よりも「そんなことを忌憚なく指摘できる」という性向だ。指摘できれば良く、その解決策を社外取締役が考え付く必要はない。それは社内経営陣の解決責任となる。

(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
 

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