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世界経済、「低成長のわな」に陥りつつある−OECD報告書
Mark Deen
2016年6月1日 17:30 JST
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超低金利政策に伴うゆがみが増している、「負の循環回路」も
今年の世界経済は伸び悩み−日米の成長見通し下方修正
経済協力開発機構(OECD)は1日、半年ごとの報告書を公表し、世界経済が自己実現的な「低成長のわな」に陥りつつあり、そこでは超緩和的な金融政策が益よりも害をもたらすリスクがあると警告した。
報告書では、2008年の金融危機の後、需要回復や経済改革の進展が不十分だとして、先進国政府が批判の矢面に立たされた。成長押し上げでは金融当局が過度の負担を強いられてきたとしている。
金融当局が資産購入を通じて資金供給し、一部ではマイナス金利を導入するなどした結果、一連の政策の効果は薄れつつあり、金融市場のボラティリティ(変動性)を招来する恐れもあると指摘している。
OECDのチーフエコノミスト、キャサリン・マン氏は報告書で「金融政策が主要な手段として、余りにも長く単独で活用されてきた」とコメント。「財政政策、構造政策の支援がほとんどない中、孤立無援の状態で景気てこ入れに努めた結果、利益とリスクのバランスは崩れつつある」との分析を示した。
マン氏はさらに、「負の循環回路が作動している」として、需要不足や世界的な不確実性、改革の進展の遅れが投資を阻害する一方、貿易の伸びも低調なままだと論じた。
拡大するゆがみ
OECDは「金融政策それ自体では短期および長期の成長を喚起することはできず、ゆがみが増している」とした上で、超低金利やマイナス金利は銀行の業績を圧迫するとともに、年金基金や保険会社の財務に負担をもたらす一方で、消費刺激の効果は「低下」していると付け加えた。
OECDが示した最新の経済見通しでは、今年の世界の成長は3%増と2月18日の前回予想と同じ数字に据え置かれた。2015年の成長も3%増だったことから伸び悩みを意味する。17年は3.3%増への加速を見込む。
マン氏は「もっと大規模に財政政策を動員する必要があり、金融政策によって整備された環境を活用することもできる」と論評。各国政府は現在、非常に低い金利で超長期の資金を確保し、財政面の余地を効率的に拡大することができると説明した。
ユーロ圏は上方修正
OECDは今回、今年の米国と日本の成長見通しを下方修正したのに対し、ユーロ圏の見通しは上方修正した。このうち米国の国内総生産(GDP)見通しは1.8%増と、2月時点の2%増から引き下げられた。17年の見通しは2月時点と変わらずの2.2%増。
米国では「年初にかけてソフトパッチ(景気の一時的な軟化局面)に見舞われた」とするOECDは、米金融当局による漸進的な政策が、予測対象期間を通じて景気を下支えする水準に金利を据え置くことになり、それはインフレ圧力の後退や世界的な需要の不振を踏まえれば「おおむね適切」との判断を示した。
ユーロ圏の今年の成長見通しは1.6%増(2月時点は1.4%増)に上方修正。17年は1.7%に据え置いた。今年と17年の中国の成長予想はそれぞれ6.5%増、6.2%増に据え置きとなった。
マン氏は「世界経済が低成長のわなにとどまる期間が長期化すれば、負の循環回路から脱して市場の力を回復させ、高成長の軌道に経済を押し上げるのが一層難しくなる」とし、「負のショックがあれば世界は深刻な低迷に逆戻りする恐れがある」と記した。
原題:OECD Blasts Governments as World Slips Into ‘Low-Growth Trap’(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-06-01/O82V6S6S972901
日本株は急反落、円高加速し全業種下げ−Brexitや政策一巡感も
佐野七緒
2016年6月1日 08:08 JST 更新日時 2016年6月1日 15:43 JST
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1日の東京株式相場は急反落。午後の為替市場で円高が加速し、日経平均株価は終値で3営業日ぶりに1万7000円を割り込んだ。前日までの連騰反動や英国の欧州連合(EU)離脱を表す「Brexit」問題への懸念、国内政策の目先一巡感もあり、陸運や食料品、医薬品、電気・ガス株など内需セクター中心に東証1部33業種は全て安い。
TOPIXの終値は前日比17.73ポイント(1.3%)安の1362.07、日経平均株価は279円25銭(1.6%)安の1万6955円73銭。
ピクテ投信の松元浩執行役員は、「円高が進んでおり、英国離脱への懸念もある。日本株はこのところ強く、手じまい売りが入った」と言う。消費税増税の延期についても、「以前からの報道で既に織り込まれている。財政政策への期待も織り込んだ中での株価だ」とみていた。
東京証券取引所
東京証券取引所 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
きょうのドル・円相場は、午後2時ごろから急速にドル安・円高基調が強まり、一時1ドル=109円60銭台を付けた。前日の日本株終値時点は111円27銭。5月31日の海外為替市場では、英ポンドがドル、ユーロに対し下落。世論調査で、英国のEU離脱支持派が残留支持派をリードしていることに反応した。また、米国の経済統計は4月の個人消費支出(PCE)が2009年8月以降で最大の増加率となった半面、5月の消費者信頼感指数は昨年11月以来の低水準と強弱まちまち。同日の米国株は軟調だった。
為替、海外株発の買い材料に乏しい中、前日まで日経平均は5連騰、TOPIXは3連騰していた反動もあり、きょうの日本株は朝方から売りが優勢。テクニカル指標では、日経平均のサイコロジカルラインが前日までで過熱感を示す9勝3敗(75%)、相対力指数(RSI)も62と約1カ月ぶりの高水準となっていた。
午後に入ると、円高加速に連れ先物主導で下げ幅を拡大、日経平均は一時300円以上安くなった。東海東京調査センターの鈴木誠一マーケットアナリストは、「為替市場ではこれまで米利上げ期待でドル買いが仕掛けられていたが、逆にかなりドルが上がり、利食いが出た」と言う。また、白井さゆり・前日本銀行審議委員が都内で講演し、日銀は物価目標の1%をまず目指すべきで、「物価2%は近い将来の実現は非常に困難」と話したことを材料視する向きもあった。
一方、安倍晋三首相は1日午後の自民党会合で、消費税増税の再延期について「2年半延期することを決断した」と述べた。きょう午後6時から会見し、自身の考えを説明する。事前に各メディアで報じられていた経緯があり、目先の材料一巡感が広がる一因にもなった。
東証1部33業種は全て下げ、下落率上位は水産・農林、鉄鋼、電気・ガス、証券・商品先物取引、陸運、建設、医薬品、食料品、空運、精密機器。東証1部の売買高は19億9528万株、売買代金は2兆1155億円。上昇銘柄数は473、下落は1350。
売買代金上位では、ジェフリーズ証券が投資判断を「アンダーパフォーム」に下げた新日鉄住金が安い。武田薬品工業やファーストリテイリング、ホンダ、リクルートホールディングス、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、JR東日本、三菱地所、大和ハウス工業も下げた。半面、NECによる株式公開買い付け(TOB)が発表された日本航空電子工業は急伸。新日本科学やスズキ、アルプス電気、ネクシィーズグループも高い。
http://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-31/O82CCY6JTSEJ01
- 債券市場の機能度は低水準続く、長期金利見通しもマイナスに=日銀 増税先送りフィッチは影響指摘 日本経済に成長は必要か 軽毛 2016/6/01 18:49:42
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