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2016年5月31日 週刊ダイヤモンド編集部
シャープを攪乱する鴻海「オオカミ少年」談話の軽さ
太陽電池で中国勢が猛烈な価格競争を仕掛ける構図は液晶と変わらず、勝機は見いだしにくい(太陽電池を生産するシャープの堺工場) Photo by Masaki Nakamura
週明けの5月23日。シャープの社員に向けて、高橋興三社長と、鴻海精密工業(ホンハイ)の戴正呉(たいせいご)副総裁の署名が入った、ある談話が発せられた。
「出資に関する最新状況について」と題し、(1)6月末の出資完了を目指す(2)保証金1000億円のうち、約200億円を新規ディスプレイの開発設備に充てる(3)電子デバイス事業に300億円を投資することを検討する──などと突如として表明してみせたのだ。
シャープ社員に依然として渦巻く、ホンハイへの不信感を払拭する狙いだったとみられるが、それにしてはあまりにも内容が薄っぺらく、出資実現の説得力に欠けるものだった。
上滑りのメッセージは、ほかにもあった。
「シャープの現有カンパニーについては、事業撤退を行わないことを、両社は出資契約で合意している。太陽電池事業の再建についても、種々の方策を検討しており、黒字化の手応えを得ている」という文章だ。
5月25日に、取引先企業などに向けて発表した談話でも、太陽電池事業について「完全にコミットしている」「事業の競争力強化にまい進する」と事業の継続をアピールしたが、一連のメッセージを受けて、胸をなで下ろした関係者が一体どれほどいたのか疑問だ。
オオカミ少年の本音
そもそも、郭台銘(かくたいめい)会長をはじめ、ホンハイは4年前の出資契約の反故(ほご)に始まり、今回の出資交渉の過程でも、ありもしない優先交渉権を得たと報道陣の前で作り話をし、約束したはずの雇用維持もひっくり返すなど、自ら信用をなくす言動を繰り返してきた。
太陽電池事業の継続についても、シャープの再生のためというよりは、事業の有力な買い手がおらず、撤退するにも一時的な処理損失が予想以上に大きいことに気付き、大きな判断を先送りしたというのが実態に近い。
実際に、4月2日に結んだ出資契約では、事業の一体性維持の例外として、太陽電池事業の構造改革に加えて「株主の最善の利益に即した事業一体の再編または処分を除く」というただし書きを、わざわざ盛り込んでいる。
事業継続を確約し、現場の一体感を醸成したいのであれば、大きな拘束力を持つその文言を、修正してもいいはずだ。
しかし、ホンハイにその気配は今のところ一切なく、法的な責任を問われにくい談話という手段で、その場しのぎの言葉を並べ立てているように映る。
そうした小手先の対応ばかりが目立ち、自ら遠心力を高めているホンハイ。
「嫌ならさっさと辞めろ」という経営スタイルが、誠意を経営信条に掲げる企業に溶け込む日は来るのだろうか。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)
http://diamond.jp/articles/-/92092
日本的雇用はなぜうさんくさいのか?
[橘玲の日々刻々]
自分の妻や子どもを殴りつけながら、「暴力はやめましょう」とか「平和がいちばん」と他人に説教するのはどうでしょう? アタマがおかしいか、とんでもない偽善者だと思うのではないでしょうか。
これまで繰り返し述べてきたように、日本社会の恥部である正社員と非正規の格差は身分差別以外のなにものでもありません。なぜこういい切れるかというと、この制度には「アカウンタビリティ(説明責任)」が欠落しているからです。
「同じ仕事をしているのに、なぜ自分の給料はあのひとの半分なのか?」と問われて、相手が納得する回答ができれば「アカウンタブル(説明可能)」です。「お前は正社員じゃないんだから当然だ」と怒鳴りつけたり、「そんなこといわずにオレの立場もわかってくれ」と泣き落とすのはアカウンタブルではありません。説明できない格差は人種や性、国籍や宗教、身分などの差別から生まれます。基本的人権を尊重するリベラルな社会は、「説明できないこと」を極力減らしていかなくてはなりません。
オリンピックの舞台で一流のスポーツ選手が自己の限界を超えるまで頑張るのは、公正なルールによって競争が行なわれ、結果がメダル(栄誉)という報酬に直結するからです。審判がデタラメだったり、試合の途中でルールが変わったり、自分より下位の選手が金メダルをもらうような競技なら、誰も真面目にやろうなどと思わないでしょう。
最近は「スゴイぞ、ニッポン」がブームになっているので「日本的雇用は世界一だ!」と思っているひとがいるかもしれせんが、データで見ると日本の労働者の生産性は主要先進国で20年連続最下位で、アメリカの半分しかありません。従業員のやる気を国際比較する「エンゲージメント指数」では、日本は調査対象28カ国のうち、やる気度31%でダントツの最下位です(ちなみに1位はインドの77%)。客観的に見れば、日本のサラリーマンは利益を生まず、やる気もなく、ただ長時間労働で疲弊しているだけなのです。
なぜこんな悲惨なことになるかというと、多くのサラリーマンが会社に対し、責任と権限が不明確で、仕事の結果が公正に評価されず、リスクをとって失敗すると二度と挽回できないと感じているからでしょう。新卒から定年までの四十数年間を、下を向いて大過なく過ごすしかないのなら、そんな人生が楽しいわけはありません。
だったらどうすればいいのでしょうか。それは、いますぐ差別をやめることです。
日本的雇用は正規/非正規や親会社からの出向/子会社のプロパー社員の「身分差別」、新卒一括採用・定年制による「年齢差別」、本社採用・現地採用の「国籍差別」など重層的な差別で成り立っていますが、これは法律で強制されているわけではありません。どのような雇用制度を選ぶかは経営者と労働者が話し合って決めることですから、「リベラル」を標榜する会社なら労使が協力して差別のない労働環境を実現すればいいのです。そのうえで旧態依然たる日本社会や、それを改革できない政治を批判するのなら多くのひとが耳を傾けるでしょう。自分たちが「差別」しながら「差別反対!」を叫んでも、誰からも相手にされないのは当たり前です。
新刊『「リベラル」がうさんくさいのには理由はある』(集英社)で、そんな話を書きました。「リベラル」が嫌いなひとにこそ読んでほしい本です。
『週刊プレイボーイ』2016年5月30日発売号に掲載
橘 玲(たちばな あきら)
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(ダイヤモンド社)など。中国人の考え方、反日、歴史問題、不動産バブルなど「中国という大問題」に切り込んだ『橘玲の中国私論』が絶賛発売中。最新刊『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』(集英社)が発売中。
●橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中!(20日間無料体験中)
http://diamond.jp/articles/-/92159
賄賂で攻めるも苦戦するバングラデシュの中国企業
地元経済界のトップリーダーたちは日本に期待
2016.5.31(火) 姫田 小夏
バングラデシュの首都ダッカを流れるブリガンガ川(資料写真)
「一帯一路」構想を進める中国が、陸に囲まれた中国南西部からベンガル湾やインド洋への出口を確保すべく、南方への進出を図っている。
?“インドの裏庭”と言われるバングラデシュでも、近年は中国がインドを差し置いて触手を伸ばし、影響力が拡大するようになった。
?バングラデシュでは2006年に、最大の輸入相手国がインドから中国に替わった。中国商務部によれば、その後、中国とバングラデシュの貿易額は2ケタ成長の伸びを示し、2014年の両国間の輸出入総額は125億4600万ドルに達した。同年の日本との輸出入総額は20億3700万ドルだから、その規模はざっと6倍だ。
?また、インフラ建設など中国からの直接投資も日本をしのぐ。2014年、日本からバングラデシュへの投資は4140万ドルと前年よりも半減したが、中国からの直接投資は1億6000万ドルにまで伸びた。
バングラデシュ人と中国人の共通点とは
?二国間の経済の結びつきを支えるのが、中国の民間企業のバングラデシュへの進出だ。特に縫製企業の進出が目立つ。バングラデシュの中国系縫製業の中には7000人の労働者を抱える大きな工場もある。縫製業以外にも、窯業、内装業、医療、養殖業、印刷業などの分野に中国資本が続々と入り込んでいる。
?近年の中国系企業の進出は、現地の日系企業にも影響を及ぼしている。三十数年前にバングラデシュに進出した日系工場の経営者は「契約済みの土地を中国系企業に持っていかれた」と明かす。
?バングラデシュには現在8つの輸出加工区があるが、バングラデシュ国内で製品を販売する場合はこれらの加工区は使えず、それ以外の土地に工場を建設する必要がある。だが、バングラデシュの土地は洪水が起きやすく、安定して利用できる土地が少ない。そのため条件のいい土地はすぐに争奪戦になってしまう。
?またバングラデシュではビジネス関連の法令が十分に整備されているとは言えず、行政の事務処理のスピードも遅い。
?そこで横行するのが「賄賂」である。バングラデシュでは贈収賄という商習慣が深く根を下ろしている。
?そうなると、むしろ縦横無尽に立ち回れるのが中国人である。「相手を贈賄漬けにする中国流の役人への対応は、日本人には逆立ちしてもできない」(同)。習近平政権が腐敗撲滅運動に力を入れていることから明らかなように、中国が筋金入りの“汚職国家”であることは言うまでもない。中国とバングラデシュは、ある意味、互いに組みやすい相手なのだ。
中国語の教育にも熱心
?中国がバングラデシュに及ぼす影響は、経済分野だけにとどまらない。
?中国企業はすでに1980年代からバングラデシュで事業展開している。「中国企業の進出が、当時のバングラデシュで女性の社会進出をもたらし、それまで外出すらできなかった女性を解放した」(前出の日系工場の経営者)という。
?また、2006年にダッカ市内のノースサウス大学内に開設された「孔子学院」が、目下、中国語人材の育成に力を入れている。孔子学院とは主に中国語の学習機会を提供する中国政府系の教育機関だ。南アジアでは初めてバングラデシュに設立された。
?バングラデシュの孔子学院はこれまでに1万人を超えるバングラデシュ人に中国語学習の機会を提供してきた。語学学習以外にも、頻繁に文化行事に参加させたり、中国に招いて交流に参加させるなど、積極的な活動を行っている。
?中国商務部は進出企業に対し、「進出の際は中国の文化を広めることを念頭に入れよ」と呼びかける。人的交流のみならずビジネス交流の場でも「中国の伝統文化を発揚せよ」とし、中華思想の普及に熱心だ。
日本企業への期待は大きい
?だが、中国企業のビジネスがすべてうまくいっているとは限らない。
?5月初め、「新華日報」が、バングラデシュに進出した中国の衣料メーカーの奮闘記を掲載した。経営者は2012年にバングラデシュへの進出を決意し、縫製工場を建設した。しかしその後の4年間は赤字の垂れ流しだったという。
?記事はその間の苦労を伝える。「営業許可書をもらうのに2年かかった。中国ならたった2か月で済む」「せっかく押さえた工場用地は、半年後に退去を求められた」――。
?当初、中国人経営者はバングラデシュに住む華僑を工場長として採用した。だが、これが失敗だった。工場長はことあるごとに本社と対立し、最後は「華僑といえども、現地の者には任せられない」として工場長の座を外された。経営者は中国から人材を派遣して、どうにかこうにか操業を維持したという顛末である。
?中国商務部が編纂するバングラデシュの投資指南書からも、バングラデシュにおけるビジネスの厳しさが伝わってくる。ページをめくると、「進出は慎重に」「十分な事前調査を」との呼びかけがある。中国商務部もバングラデシュへの進出や投資の難しさを認識しているのだ。
「中国企業が、利益が見込めなくなった時点で契約を反故にし、途中で事業を投げ出してしまうという話もしょっちゅうある」(日本人経営者)という。中国企業が土木工事を破格で落札したものの、結局資金ショートで行き詰まり、工期が大幅に遅れてしまうことも少なくない。
?中国以上に「生き馬の目を抜く」バングラデシュでのビジネスだが、日本への期待は極めて大きい。日本企業が出遅れていることを歯がゆく思う地元経済界のトップリーダーたちは決して少なくない。かつて日本企業がODAの事業で現地の土木工事を集中的に請け負った時期があったが、その安全重視のやり方に「多くを学んだ」の声はいまだに聞く。中国企業が苦手とする部分にこそ日本勢の突破口があるのかもしれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46962
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