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三菱・eKワゴン(「Wikipedia」より/Tokumeigakarinoaoshima)
三菱自、早くも軽の販売再開…下請け連鎖倒産の兆候、情けない国交省の機能不全
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15308.html
2016.05.31 文=河村靖史/ジャーナリスト Business Journal
燃費データ偽装の影響で軽自動車の生産・販売を停止している三菱自動車工業が、早ければ7月にも再開する方向で動きだした。当初、国土交通省が燃費データを偽装していた軽4車種の型式指定を取り消す方針を示し、生産・販売の再開は今秋頃にまでずれ込むとの見通しもあった。しかし、生産停止による経済的な打撃も大きいことから、これまで強気な姿勢を貫いてきた国交省も高まる圧力に屈せざるを得なくなっており、関係者の思惑が入り乱れている。
三菱自は4月20日に「eKワゴン」「eKスペース」、日産自動車にOEM(相手先ブランドによる生産)供給している「デイズ」「デイズルークス」の4モデルの燃費データで不正を行っていたことを公表するとともに、これらの生産と販売を停止した。全国の三菱系ディーラーと日産系ディーラーは、ショールームから軽の展示を撤去した。
自動車の燃費は、タイヤの下にある巨大なローラーが回転する「シャシーダイナモ」と呼ばれる機器を使って、国の機関が台上で測定する。実際の走行では風の抵抗やタイヤの転がり抵抗がある。このため、自動車メーカーは新型車を販売するために取得する型式指定の申請の際、モデルごとに走行抵抗データを提出、この数値を加えて燃費を算出する。三菱自はこの制度を利用し、軽自動車の燃費をクラストップにするため、走行抵抗データについて恣意的に低い数値を使って燃費を偽装していた。
偽装が発覚してから、石井啓一国土交通大臣は記者会見で「日本の自動車産業への信頼を傷つけ、ユーザーにも大きな不信感を与え、極めて由々しき事態で誠に遺憾だ」と述べ、三菱自を強く批判。国交省の担当部署も「自動車メーカーとの信頼関係で成り立っている検査制度の信頼を損なうもので誠に遺憾」と述べ、型式指定の取り消し処分を検討している方針を示していた。
取り消された場合、そのモデルは販売できなくなる。こうした燃費データの偽装は前例がなく、国交省も対応に困惑していたが、過去2度にわたるリコール隠しを加えて、3度目の不祥事となった三菱自に対しては厳しい態度を保ち続けていた。
■下請けが相次ぎ操業停止
型式指定が取り消されるなどしない限り、現行モデルの生産・販売を継続することは可能だが、三菱自ではカタログに表示された燃費を偽っていたことから、「自主的」に軽の販売を停止、日産も追随していた。国交省も軽自動車の販売停止は「三菱自が自主的に行っているもので、指導したことは一度もない」としていた。それでも仮に正しい燃費データを計測して型式指定を取り直すとなると、時間がかかる。
まず、正確な走行抵抗データを取得するのに1カ月ほど要する。原則、型式指定の取得は申請した順になっており、型式指定を取り直す場合でも、申請した時点で最後にまわされる。さらに、型式指定には通常、申請から2カ月を要する。しかも、国交省は型式指定を取り消して再申請しても「全容解明と再発防止策が先」との姿勢で、三菱自の軽の生産・販売再開は、早くても秋頃にまでずれ込むとの見方が有力だった。
ただ、5月の連休明け頃から風向きが少し変わり始めた。三菱自は、軽を生産している水島製作所で従業員1300人を自宅待機とした。さらに、軽生産停止の影響は下請けにも広がっている。水島製作所の周辺には、体力の弱い中小・零細規模の2次・3次のサプライヤーが多い。岡山県が4月末に調べたところ、県内のサプライヤー15社が操業停止に追い込まれている。三菱自の生産停止が長引けば、これらサプライヤーが「バタバタと倒産する」可能性もある。
国内の新車販売にも大きく影響している。軽の販売が停止となった影響で、日産の4月の新車販売は前年同月比22.3%減、三菱自が14.9%減と大幅に落ち込んでいる。5月はさらに低迷する見通し。
■政界の意向
これに敏感に反応したのが政界だ。日本全体の経済から見れば、水島製作所の軽生産停止の影響は大きくはない。ただ、デフレ脱却による経済成長を重視する安倍政権にとって、自宅待機や倒産が増えるなど、経済にマイナスの影響が出る問題は無視できない。しかも、今夏には参院選も控えている。業界関係者によると中国地方の議員を中心に、経済産業省に対して、軽自動車の早期生産再開を働きかけるよう要請しているという。
「三菱自は自主的に生産を停止している。指導したことは一度もない」と訴える国交省だが、外から見れば国交省が軽の生産・販売停止を認めないのは明らかだ。国交省には、永田町や経産省からの圧力が日に日に高まっていた。しかも、その後にスズキも燃費データの取得で不正を行っていたことが発覚すると、「国交省の目は節穴か」と長年にわたる不正を見抜けなかった国交省に対する批判も高まってきた。
追い詰められた国交省は、軽自動車の型式指定を取り消さずに、データの修正で事態の収拾を図ろうと調整に乗り出した模様だ。三菱自に対しては、国交省の機関が測定した走行抵抗データを示した。三菱自は自社の試験で、このデータと整合がとれれば燃費の修正を申請する。これによって早ければ7月にも軽自動車の生産・販売が再開される見通しとなった。
強気の姿勢を貫いてきた国交省だったが、四面楚歌の状況に追いやられ、批判の矛先が自らに及ぶに至って落としどころを探るしか道がなかったようだ。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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