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東京ディズニーリゾート(「Wikipedia」より/mekarabeam)
ディズニーR、深刻な客離れとブランド毀損の非常事態…4年連続値上がりが失敗か
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15267.html
2016.05.28 文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役 Business Journal
東京ディズニーリゾート(TDR)の1日入場料の推移を見てみると、以下のように4年連続で値上がりしている(2015年は消費増税が要因)。
・13年:6,200円
・14年:6,400円
・15年:6,900円
・16年:7,400円
この値上げ幅はさておき、4年間も連続して値上がりすることにより、TDRのイメージダウンを引き起こしていると考えられる。毎年少しずつ値上げをするたびにニュースとなり、マイナスの話題となってしまい情報が拡散していく。そんなデメリットが大きい価格設定戦略をなぜとっているのか、不思議でならない。ブランド自体ではなくパークが全て上から目線での戦略だからだと感じる。
入場者数をみると14年は上昇しているものの、公式発表資料によると今年はわずか2%、8万人程度しか伸びていない。注目すべきは昨年15年度の入場者数だ。前年比3.8%減の3,019万人と100万人以上の減少と危機的な状況で、開業以来30年もかかって4年前にやっと2013年に達成した3,000万人の壁をかろうじて死守した。公式発表目標予測である3,040万人をも割り込む結果となっている。
このような非常事態的な状況ゆえに、値上げは2年ごとにするなど間隔を空けなければ「金儲け主義」と消費者には映ってしまうだろう。通常のマーケティング戦略ではほとんど使われない駄目な方法といえる。
■値上げによるメリットとデメリット
メリットとしては、顧客に急激な価格変化を感じさせないことくらいだろう。値上げで新アトラクションが素晴らしくなったと思う顧客がいるかもしれないが少数だ。デメリットのほうは大きく、毎年少しずつ値上げをすることによりニュースとなり、ブランド価値を落としてしまう。旗艦ブランドの価値を毀損してしまうマーケティング戦略は、通常ではありえない。
もちろん、物価など経済情勢により仕方なく値上げしなければならないこともあるだろう。しかし、15年10-12月期GDPがマイナスとなっている状況で値上げに踏み切るとは大胆だ。これでは、リピート客の減少を懸念する必要に迫られるだろう。ブランドイメージという重大な要素を下げることなど、通常ではしてはならない。ホテル事業やショッピングモール事業にも影響が及ぶ可能性が高い。
■競合USJの動きを意識しての便乗値上げなのか
大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、一種の“カオス的なやり方”で良い方向の大胆な戦略を打ち出し成功している。今年15周年を記念してリボーン(生まれ変わり)戦略を打ち出し、映画の世界にとらわれず、顧客の喜ぶ世界を取り入れているからだ。その結果、入場者数は前年同期比約18%増と絶好調だ。TDL1,300万人に対して今年は1,500万人を目指しているという。
昨年話題になった『ハリー・ポッター』エリアやマンガ『進撃の巨人』『エヴァンゲリオン』をテーマに取り入れた期間限定アトラクションを開催し、吊り下げ型のコースター「ザ・フライング・ダイナソー」を新設して魅力を高めた。さらに、重要なターゲットであるファミリー層を取り込むために、「世界イチの親子になろう!」というキャッチコピーで「ユニバーサル・ワンダーランド」にてスヌーピーやセサミストリートを起用したアトラクションを充実させるなど、目下快進撃中である。
TDRは15年の入場者数を3,040 万人と強気な予測をしていたが、結果それさえもクリアできなかった。公式発表によると7月〜12月の入場者数が減少している。しかし、比較的に裕福で開業時に訪れたことのある子持ち世帯40歳以上の入場者の割合は20%と増えているため500円くらい値上げしても大丈夫と考えているのか、もしくはUSJはすでに7,400円に値上げしているから同じ価格に設定にしようなどと思っているのかもしれない。
TDRの運営会社オリエンタルランドの15年10〜12月の報告書は、次の通り23億円の売上増になっているとしている。
「テーマパーク入園者数が前年同期を下回ったものの、ゲスト1人当たり売上高がチケット価格改定に伴い増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高354,452百万円(前年同期比0.7%増)」
■開業から33年という歴史年月が、顧客に古さを感じさせているのか
TDLは1983年開業だが、USJは01年開業とまだ15年と新しい。オリエンタルランドの有価証券報告書には以下のように記載されている。
「ゲストの皆様に十分満足していただくために必要な要員や資金を投入し、高いレベルのサービスを提供し続けること、そのための従業員教育に投資を惜しまないこと、安全や清潔さ、魅力的なデザインなど施設のクオリティを決して落とさないこと、そして、新たなアトラクションを適時に導入することをはじめとして継続的かつ資産効率を加味した設備投資を行っていくことが必要不可欠であると考え、これらの施策を実行してまいります」
しかし、具体的に何をどうするのかを示さなければ顧客はわからないし、単なる値上げでしか感じない。23年の目指すべき姿として「世代を超え、親子や夫婦など、あらゆる形態のファミリー」をターゲットにするとしているので、高いレベルのサービスと安全清潔、魅力的なデザイン、17年に開設される新アトラクションに期待したい。
■キャスト(従業員)質の低下は顧客離れにつながるか
キャストの質がとてもブランド価値満足度において重要な要素であることは間違いない。長崎のハウステンボスでも、従業員の意識など質を向上させてさまざまな新しい試みを実行して成功した例からもわかるが、キャストの質を向上させる施策を打ち、若者が活躍する仕組みをつくり、キャストも顧客もワクワクするようにしなければ、ディズニーブランドの向上は見込めないだろう。
筆者が最も気になるのは、オリエンタルランドが米ディズニー本社と資本・人的関係はないという点だ。フランチャイズ(委託)システムだと両社の意識の違いが起こる懸念がある。たとえば筆者が勤務していた日本コカ・コーラであれば、全世界のブランドマネージャーは米コカ・コーラ本社の方針を徹底的にマスターして、毎年全世界戦略に基づいて行動する。
■お土産儲けビジネスでは、もう限界なのか?
TDLにおける一人当たりの物品購入額は4,043円(14年度)となっているが、直近の報告書では若干これを下回ったという表現になっている。売上構成比では少ないものの、ディズニーの物品売上が少なくなっているのは、ブランド価値が下がっている予兆と考えても良い。
オリエンタルランドグループは、企業使命として「自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供する」を掲げているが、今後のさらなる成長に期待したい。
(文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役)
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