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海外に移転される金融資産の動きは、課税当局によってますます透明化されている pixta_13457595
これが課税当局の「海外資産包囲網」だ!
http://diamond.jp/articles/-/91914
2016年5月27日 KaikeiZine :ダイヤモンド・オンライン
「パナマ文書」が流出し、タックスヘイブンを利用する個人と企業が明らかになったことは各方面に大きな衝撃を与えた。実際、資産は海外に移転してしまうと実態がつかみにくくなるようだが、日本の課税当局は、「富裕層」の海外保有資産情報の収集に相当の力を入れている。第1回で紹介した「国外財産調書」の他にも、さまざまな“包囲網”を張り巡らせている実態を紹介しよう。
■「富裕層」の何割くらいが
国外財産調書を提出した?
世界の名だたる政治家や富豪、有名企業などがタックスヘイブンに資産を移転していたことが明るみに出た「パナマ文書」には、約400件の日本の個人や法人の情報も含まれていることも判明。
恐らく、課税当局が把握できていないお金の流れもかなりあったのではないかと推察される。
というのも、税法の効力が及ぶのは国内のみ。資産が一旦海外に移転されてしまったら簡単には課税できないことから、「究極の課税逃れ」と思われる向きもある。しかし、課税当局も黙って見ているだけではない。
ここ数年は、「富裕層」の国外保有財産の把握や金融資産の動きの監視に特に力を入れている。
その中心的施策が、第1回でも紹介した「国外財産調書」の申告制度だ。
「国外財産調書」は、その年の12月31日時点で5000万円を超える国外財産を保有している「居住者」(注1)と、「非永住者(注2)を除く外国人居住者」に、自主的な申告による提出が義務付けられている。
もし、提出しなかったり虚偽記載がある場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるほか、国外財産から生じた所得などに申告漏れや無申告が発覚した場合は、さらに罰金が加算されるなど厳しい内容だ。
国税庁の発表によれば、2014年分の「国外財産調書」総提出件数は8184件で、2013年分よりも2645件(47.8%)増えている。とはいえ、これはあくまで自主申告の範囲。申告されない国外保有財産は、基本的には把握が困難だ。
8184件という総提出件数をどう見るかはさまざま意見のあるところだが、第1回で紹介した「富裕層」の数の推計(注3)などと比較すると、「国外財産調書」はまだ浸透の途上にあるのでは、という推測もできるのではないだろうか。
注1 居住者:所得税法の定義で、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいう
注2 非永住者:所得税法の定義で、居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去10年以内の間に日本国内に住所、または居所を有する期間の合計が5年以下である個人をいう
注3 :野村総合研究所「日本の富裕層は101万世帯、純金融資産総額は241兆円」(2014年11月18日)による
https://www.nri.com/jp/news/2014/141118.aspx
■100万円超の海外送金は
税務署に自動登録!?
では、「国外財産調書」で申告せずに金融資産を国外に移してしまえば、それで税金を納める必要がなくなるのだろうか。
どうやら、そうもいかないらしい。金融機関経由で100万円を超える国外送金を行った場合、扱った金融機関から税務署へ「国外送金等調書」が提出されているからだ。
これは、「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」によって定められている手続きで、当初は200万円超の国外送金が対象だったが、2009年より「100万円超」にバーが引き下げられた。
銀行が税務署に報告する内容は、送金者、または受領者の氏名、住所、送金等年月日、相手国、本人口座の種類、口座番号、金額など。送金者情報を受け取った税務署は、「国外送金等に関するお尋ね」を作成し納税者に送付する。
「お尋ね」では、確定申告の有無や具体的な取引内容が確認される。また、送金明細や取引内容の分かる書類の写しの添付が要求されることもある。
一方で、有価証券の国外への移管は「国外送金等調書」の対象外だった。しかし、2014年度の税制改正で、国境を越えて有価証券の証券口座間移管を行った場合、「国外証券移管等調書」を提出することが義務付けられた。
これは、国内証券口座から国外証券口座への有価証券の移管と、国外証券口座から国内証券口座への有価証券受け入れ双方に適用され、その国内の証券会社などから税務署へ調書が提出される。
■海外資産は租税条約と
出国税で「包囲網」完成
ともあれ、「国外財産調書」「海外送金等調書」「国外証券移管等調書」によって、課税当局は国外へのお金の流れを相当程度まで監視できるようになったといわれる。
しかし、これらの制度ができる以前に海外に移転されている金融資産で、かつ、自主的な申告のないものは、やはり把握が難しい。「有名人やお金使いの派手な社長でもなければ、今のところ把握は困難」(国税OB税理士)という。
それを補う目的もあるのか、今は日本と「租税条約」(注4)を結ぶ国との間で、税務当局同士が情報交換を行うようになった。財務省は、現在日本と「租税条約」を結んでいる65か国・地域、および、「情報交換協定」(注5)を結ぶ10カ国・地域をサイト上(注6)で公表している。
タックスヘイブンで有名なスイスやケイマンなども、日本との「租税条約」締結国だ。怪しいと思われる情報が入手できれば、ほぼ情報収集に動ける状況にはなっている。
さらにはここ数年、国外に転出する資産家が増えていることを背景に、2015年、資産の含み益に対して所得税を課税する「国外転出時課税制度」、いわゆる「出国税」が創設された。
「出国税」の目的は、株式はもちろん、投資信託や公社債などのキャピタルゲインを得るために税率の低い国に移住し、そこで売却益を得ることによる課税逃れを防止することだ。これによって、資産を海外に移転し課税を回避する方法は、ほぼシャットアウトされたと言っていいだろう。
※参考:「出国税」について(KaikeiZineの記事https://kaikeizine.jp/article/701/)
経済のグローバル化とも相まって、国境をまたぐお金のやり取りは、ますます頻繁になっていく。特に「富裕層」のお金の動きへの監視は強化されるばかりだ。まさに今、課税当局による「国際的な課税逃れ包囲網」が築かれつつある。
注4 租税条約:正式には「二重課税の回避、脱税及び租税回避等への対応を主たる内容とする条約」
注5 情報交換協定:正式には「租税に関する情報交換を主たる内容とする条約」
注6:「我が国の租税条約ネットワーク」(財務省)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/182.htm
■著者:宮口貴志公認会計士・税理士などプロ会計人のためのニュースサイト「KaikeiZine」編集長。税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の編集長などを経て現職。一般社団法人租税調査研究会の運営にも携わる。
●KaikeiZine https://kaikeizine.jp/
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