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要介護者の見守りシステム「ネオスケア」
苛酷さ増す介護現場、一気に改善する技術が登場…要介護者の転倒半減、作業時間激減
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15255.html
2016.05.27 文=星野達也/ナインシグマ・ジャパン取締役 ヴァイスプレジデント Business Journal
和歌山県というと、どんな印象を持つだろうか。近畿地方、しかも大阪の隣にありながらこれといった印象のない、九州でいうところの佐賀、関東でいうところの栃木のようなマイナー県のひとつではなかろうか。中学校の社会の時間に梅の生産量は日本一と習いはするものの、梅に興味がない中学生にとっては今ひとつピンとこない。
我々お父さん世代にとっては、高校野球で有名な智弁和歌山高校(もう少し上の世代では尾藤公監督で有名な箕島高校)があるため、一部の高校野球ファンには野球のメッカとして知られているかもしれない。
今年は和歌山(紀州藩)出身で暴れん坊将軍のモデルにもなった8代将軍徳川吉宗の将軍就任300年ということで、地元では盛り上がりを見せているが、和歌山以外でそれを知る人も少ないし、2015年には世界遺産にも指定されている高野山(こうやさん)の開創1200年記念イベントで一瞬賑わいを見せたが、その効果も今ひとつ。
そんなマイナー県の雄・和歌山であるが、今、和歌山発のある技術が深刻な社会問題となっている介護問題解決の“救世主”として注目を浴びている。
その技術というのが、和歌山市に本社を置くノーリツプレシジョン社【注1】が開発した、要介護者の見守りシステム「ネオスケア」だ。15年には、経済産業省ロボット介護機器開発・導入促進事業のなかで、優秀機器認定を受けている。また、5月26〜27日に三重県伊勢市で開催中の「G7伊勢志摩サミット2016」でも展示されている。
■介護現場の過酷な労働環境
昨今、過酷な介護現場のニュースを頻繁に耳にするが、介護職員の負担は想像以上に深刻だ。自分で起き上がろうとして転倒する、あるいは寝返りを打った際にベッドから落ちるなどは、高齢者にとっては致命傷になりかねない。そのため、職員はこまめに見回りをするなど常にきめ細やかな対応が求められ、神経は磨り減るばかりだ。
そんな過酷な労働環境が、結果として介護職員の採用を困難にし、さらには離職率を高める原因のひとつとなっている。今後ますます高齢化が進み、介護の必要な高齢者が増加の一途をたどるなかで、介護職員の人材不足は年々深刻化している。
政府は将来の労働力不足の対策として、中長期的に外国人労働者の受け入れも検討しているが、高齢者に直接接する介護現場における外国人労働者の活用の余地は当面は限定的と考えられている。
つまり、介護現場における問題は年々深刻化しているにもかかわらず、決定的な解決策が見いだされていないのだ。厚生労働省は、わずか9年後の2025年には国内で介護職員の数が40万人不足すると発表している。
■リアルタイムで介護現場の見える化
そんななか、このネオスケアは画期的な技術で、介護現場の改善に大きく貢献できると期待されている。
画期的な技術とは、独自のセンシングテクノロジーにより24時間要介護者を“見守る”技術である。複数のセンシング技術を組み合わせることで、夜間でも正確に現場を“見える化”することができる。
カメラが監視しているようにも受け取られ、プライバシーへの配慮が気になるが、そこにもユニークさがある。
撮るのはシルエット画像のためプライバシーは守られるし、ベッドからの起き上がりなど、転倒などにつながる可能性のある動きをいち早く検知し、それを素早く介護職員の携帯電話に知らせることができる。職員は、連絡を受けてから現場に移動すればよい。
精度も高く、これまでの機器のような誤検知が非常に少ないのもこの技術の強みだ。
つまり、プライバシーを保護しながら、リアルタイムで介護現場の見える化を可能にし、危険を予測して職員に通知できる画期的な技術なのだ。3カ月かけて実施した実証実験では、要介護者の転倒回数は半減し、介護スタッフの作業時間は30%低減したというから驚きだ。
もちろん介護施設だけでなく、個人宅に設置することも可能だ。また、撮影の記録がとれるので虐待対策にもなるし、看取り介護(終末期医療)にも有効だ。この技術は、今の介護現場の課題を一気に解決する可能性を秘めているのだ。
優れたテクノロジーを導入することで介護職員の作業時間を短縮し、トータルコストの低減ができれば、施設にとってのメリットは大きい。これがうまくいけば、日本の労働者人口減少問題を解決するモデルケースのひとつとして、他の業界への波及効果も期待できる。
安倍政権はしきりに地方活性化をうたっているが、モノづくりの国・日本には、全国各地に元気なモノづくり企業が存在し、高度な技術を保有している。和歌山という地から生まれたネオスケアは、地方企業の底力を見せつけたひとつの成功事例としても、今後注目されることになるだろう。
将来、「インテル ハイッテル」ならぬ「ネオス ハイッテル」のようなブランドが、和歌山から世界に広がる時代がくるかもしれない。
故郷に親を残して都会で働く我々お父さん世代にとっては、介護現場を改善するテクノロジーは常に関心の対象であり、ネオスケアの今後のさらなる発展には期待大だ。
(文=星野達也/ナインシグマ・ジャパン取締役 ヴァイスプレジデント)
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