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家を貸して月収70万円!エアビーブーム、一瞬で終了の兆候…利用者の不満噴出
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15245.html
2016.05.26 文=椎名民生 Business Journal
政府は、一般住宅に旅行者らを有料で宿泊させる「民泊」の全面解禁に向け、旅館業法上の許可なしで誰でも部屋を貸し出せるようにする制度案をまとめた。
5月末に閣議決定する政府の規制改革実施計画に盛り込む方針で、マンションなどを所有する貸主が、インターネットを通じて都道府県に必要な書類を提出すれば、だれでも民泊に参入できるようになるという。
2016年は「民泊元年」といわれ、20年に開催される東京オリンピックに向けて、民泊が本格的に始まったようにみえる。ただし、民泊には年間の営業日数に制限がつけられる。旅館業界の反発から、年間30日または60日を上限とし、それを超えては民泊営業をできないとする予定で、早くも「このような制限があってはビジネスとして成り立たない」との不満が出ている。
「自分がたまたま持っている物件で小遣い稼ぎをする程度ならいいかもしれませんが、ビジネスとして成立させるのは無理です。6泊7日の制限を設けたことにより、特区民泊がまったく機能していないのと同じ結果になりかねない」と、ある不動産業者は話す。
■「簡易宿所営業」の許可取得がオススメ!
「民泊先生」という異名を持つ、簡易宿所コンサルタントの三浦剛士氏は、民泊を運営しようとする人に、リスクを少なくするために、「旅館業法で定める『(洋式の)ホテル営業』『(和式の)旅館営業』に次ぐ第3の営業形態である、『簡易宿所営業』(カプセルホテルと同様の分類)の許可」の取得を勧める。
「この全面解禁でAirbnb(エアビーアンドビー/通称:エアビー)を利用して貸そうという投資家が増えるでしょうが、すでにエアビーは人気エリアでは飽和状態で、低価格競争が始まっており、思ったような利益が上がらない。コスト削減のためにメンテナンスが不十分になり、その結果、利用者からの不満が増大するといった悪循環が加速します。やはり、差別化を図る意味でも、旅館業(簡易宿所)取得型の民泊を運営することをオススメします」
法律上の許可を取得することで、近隣からの理解も得やすく、ホテルサイトにも登録できるため、予約も埋まりやすくなる。つまり、競争相手がホテルになるので、相応のサービスを求められるが、高いリターンが期待できる。
たとえば、今春に三浦氏がコンサルティングした物件は、東京・浅草駅徒歩3分の貸家だが、「利用客は外国人ファミリーで、常に予約がいっぱい。ほとんどの客が3泊以上利用するため、月に60〜70万円の売り上げがある状況」だという。ただし、浅草エリアはすでに成熟市場になりつつあり、新規参入は難しい。
「4月より台東区は『営業時間中は帳場に管理者がいないといけない』などと旅館要綱を改正しており、運営者には厳格さを求めています。さらに、物件相場も高止まりし、お宝物件が出てくることはなくなりました。民泊撤退をアドバイスする“撤退コンサルタント”が現れているほどです」(三浦氏)
■実は京都が穴場
民泊を運営するなら、三浦氏がオススメするのは京都だ。浅草と並んで外国人に圧倒的な人気があるため、安定した需要が望める。
「京都はエリアによりますが、土地代が抑えられます。最近でも物件980万円、簡易宿所用リフォーム1000万円と、合計2000万円を切るケースもあります。そもそも古い建物であれば、出口戦略も考えて2世帯住宅を再建築してしまうのも手です」(同)
しかも、京都人の独特ないやらしさを暴いた『京都ぎらい』(井上章一/朝日新聞出版)が話題になっているように、排他的な慣習が京都には存在する。ただし、これが思わぬ掘り出し物を生むこともある。
「平安京の都を基盤につくられている京都の街ですが、当時の都の北端一条から、南側に二条、三条、四条と数字が増えていきます。京都駅周辺は八条。数字が少ないほどブランド価値は高く、京都駅の南側である九条や十条になると価格が安くなるというのが京都の慣習です。しかし、外国人にとっては『主要駅徒歩何分』などの利便性を重視します。このため、入手価格が安いが外国人に人気になりそうなお宝物件が出てくるのです」(同)
不動産取引にも“京都ルール”があり、なんとレインズ(西日本不動産流通機構)にも掲載しないケースも多く、やはり一見さんには不動産業者から掘り出し物も紹介してもらえないのが現実なのだ。
(文=椎名民生)
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