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ドコモに異常な兆候…キャリア間の熾烈競争が終焉か、「非スマホ」重視へ転換
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15237.html
2016.05.26 文=佐野正弘/ITライター Business Journal
ショップジャパンのヘルシーフード新製品「Hill's Epicure」が発表されるなど、ドコモの発表会とは思えない内容の発表会となっていた
5月11日に夏商戦に向けた発表会を実施したNTTドコモは、スマートフォン(スマホ)よりもサービスに重点を置き、傘下のショップジャパンや、らでぃっしゅぼーやの製品を紹介。大手携帯電話会社(キャリア)の発表会としては異例の内容となった。だがこうしたドコモの取り組みは、他のキャリアにも共通する流れとなりつつあるようだ。
■スマホよりも暮らし関連のサービスに重点
今年も夏のボーナス商戦が近づくなか、大手キャリアも新製品やサービスを次々と発表している。なかでも先陣を切って5月11日に発表会を実施したのが、ドコモだ。
夏・冬の商戦期における各社の新製品発表会は、従来スマホの新機種を大きくアピールするなど、ハードに注目が集まる傾向が強い。だが今回の同社の発表内容を振り返ると、その内容は従来とは大きく異なるものだったといえる。
というのも、今回の新機種は、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia X Performance」やサムスン電子の「Galaxy S7 edge」などハイエンドモデルの要所を押さえているものの、端末数はスマホが5機種、全体でも7機種にとどまっている。昨年の夏モデルはスマホだけで10機種を投入していたことを考えると、いかに新機種の数が減少しているかがわかる。
一方で、今回の発表会で重点が置かれていたのは、「暮らしの快適さ」に重点を置いたサービスであった。新サービスの内容を見ても、VoLTEの音質を大幅に強化し、FMラジオ並みの品質で通話ができるようになった「VoLTE(HD+)」のほか、スマホのディスプレイに触れることなく通話の発着信ができる「スグ電」、必要な時に使い方のヒントが現れる「おすすめ使い方ヒント」など、先進性を感じさせるものというよりも、スマホに不慣れな人をサポートする取り組みを拡大している。
そしてもうひとつ、今回の発表会では、通信販売サービスのショップジャパンを展開するオークローンマーケティングや、食品の通信販売を手掛けるらでぃっしゅぼーや、料理教室を展開するABC Cooking Studioなど、ドコモ子会社の新製品と、自社サービスを連携させ、暮らしの快適に関するサービスを実現する取り組みを前面に打ち出していた。こうした点からも、ドコモの新製品発表内容が、大きく変化していることを見て取ることができるだろう。
■スマホの販売サイクルは半年から1年に
しかしなぜ、ドコモは従来力を入れていたスマホの端末ではなく、それと直接関係するわけではない、暮らしの充実に関するサービスを中心に据えた発表会を実施するに至ったのだろうか。その理由を考えていくと、携帯電話市場が大きな曲がり角を迎えていることが見えてくる。
今回、ドコモは新機種の数を大幅に減らしただけでなく、端末に関して新たな方針を打ち出している。それは、従来半年毎に投入してきた端末のサイクルを、1年に伸ばすということ。従来、各メーカーがハイエンドモデルやミドルクラスのモデルを夏と冬の両商戦期に合わせて投入していた。しかし、今後はハイエンドモデルは夏だけ、ミドルクラスは冬だけといったように端末投入の回数を減らし、それら端末を半年でモデルチェンジせず、1年を通して販売する方針を打ち出したのである。
ドコモのスマホ新製品は5機種と昨年から半減。加えて今後は投入サイクルが半年から1年単位に伸びるとのことだ
同じ端末を年間を通して販売するということは、端末メーカーに対して非常に大きな影響を与えると同時に、新しい端末の投入数が減少し、ユーザーにとっては選択肢が少なくなることにもつながってくる。にもかかわらず、こうした方針転換を実施したのには、スマホの進化停滞と市場の飽和が考えられる。
米国時間の5月19日に、グーグルは開発者向けイベント「Google I/O」で、Androidの次世代版「Android N」に関する発表を実施したが、その内容を見ると、大きな変化となるのは仮想現実(VR)用のプラットフォーム「Daydream」が新たに提供されることであり、スマホとして見た場合の進化には乏しい印象を受けた。グーグルやアップルといったスマホのOSを開発する企業自体、最近ではスマホ単体での進化に限界を感じており、VRのように周辺機器を活用するなどして進化の方向性を模索しているのが現状なのだ。
すでに多くの人たちがスマホを手にしており、しかもその進化が停滞している現状、数を増やしてバリエーションを強化しても販売拡大には結びつかない。しかも4月には、総務省が「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を適用したことで、実質0円など端末を大幅に値引いて消費を刺激することも難しくなってしまった。端末数の減少とサイクルの長期化には、そうした市場の変化が大きく影響しているのだ。
■キャリアは総合商社に変貌を遂げるか
ではなぜ、その一方でドコモはスマホとは一見無関係に見える暮らしに関するサービスの拡大を進めているのだろうか。そこにもやはり、市場の変化が大きく影響していると考えられる。
先に触れた通り、国内でもすでに多くの人がスマホを手にしているし、手にしていない人はシニアを主体とした、スマホの利用に積極的ではない人達だ。加えて実質0円販売が事実上できなくなったことにより、買い替えによるキャリア間の競争も沈静化。今後は高額な通信料を嫌うユーザーが、格安SIMなどと呼ばれるMVNO(仮想移動体通信事業者)など低価格のサービスへと徐々に流れる以外、大きな競争は起きにくくなるものと考えられる。
そこで今後、キャリアにとって重要となるのは、キャリアを変えることなく、継続的にサービスを使い続けている既存の顧客に対して、どのようなサービスを提供し、通信料以外の収入を拡大していくかということ。KDDIが電子マネーによる決済サービス「au WALLET」や、保険やローンなどをまとめて契約できる「auライフデザイン」などに力を入れているのも、自社ユーザーに対して多くの付加価値を提供し、ひとり当たりの単価を上げるためなのだ。
ドコモもここ数年、らでぃっしゅぼーややABCクッキングスタジオなどといった子会社の事業や、総合マーケットサービスの「dマーケット」など、通信以外のスマートライフ領域の事業を拡大しており、それが現在の成長エンジンとなっている。それだけにドコモは、今回の発表会でも成長著しいスマートライフ事業の拡大を明確に打ち出すべく、暮らしに関連する新しいサービスを中心に据えた発表会を実施したと見ることができそうだ。
通信以外のスマートライフ領域の事業が大きく拡大したことが、ドコモの業績を大きく伸ばす一因となっている
これまでスマホに高い関心を示してきた先進層は不満が募るだろうが、キャリアはより大きなマスとなるユーザーに対して、生活に関連するさまざまなサービスを提供する取り組みを積極的に進めてくるだろう。VRが劇的な普及を遂げるなど大きなパラダイムシフトが起きない限り、キャリアは今後通信事業者から、総合商社へとビジネススタイルを大きく変えていくことになるかもしれない。
(文=佐野正弘/ITライター)
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