このアフトワズだが、2009年の経済危機で大きな打撃を受け、ルノー・日産の技術を導入した新型車を投入するものの、期待を大きく下回る販売が続いている。品質が悪く、故障も多い同社製品は、輸出に活路を見出すことも不可能と見られる。

アフトワズは昨年、1,200億円にも上る巨額の赤字を出した。これに危機感を強めるルノー・日産アライアンスは、アフトワズのCEOをスウェーデン人のポール・アンダーソン氏から、フランス人のニコラ・モール氏に交代させた。

品質の低さや故障の多さを本気で解決しようとしていたアンダーソン氏だが、既存の部品メーカーなどの抵抗にあい、挫折してしまった。このため、ルノー・日産アライアンスは、ルーマニアのダチアのCEOを努め、同ブランドの躍進に貢献したモール氏を投入したものと見られる。だが、彼の力を持ってしても、アフトワズの再建は、容易ではないことは明らかだ。

外資に6割を売り渡したとは言え、それでも事実上のロシア連邦の国営企業が4割を所有するアフトワズ。当然、ロシア連邦政府の影響下にあるが、このまま経営再建できないようでは、トラック・バス部門を残して、乗用車部門を閉鎖するかも知れない。肝心のロシア国民が、アフトワズの乗用車ラーダを買いたがらないのだ。

プーチン大統領が、ラーダの新型車が出るたびに、公開試乗してマスメディアに取材させて、自ら広告に出ても、国民がそっぽを向いてしまっては意味がない。ロシア連邦では南朝鮮の現代自動車も現地生産しているが、そちらの人気は高い。アフトワズを生かすも殺すも、ロシア連邦政府次第なのだが、あれだけ赤字が出たら、経済が低迷するロシア連邦としては、維持するのを再検討しなければならない。その鍵を握るのが、今回の記事で取り上げられたクドリン氏だ。その意味で、このニュースは、かなり大きな意味を持つと思う。