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「忸怩たる思い」と謝罪した三菱自動車の相川哲郎社長〔PHOTO〕gettyimages
【やっぱり役人に甘い国】三菱自動車「燃費不正」問題 国交省には責任ナシって、おかしくないですか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48700
2016年05月24日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
■「裏切られた」はおかしくないですか?
三菱自動車が燃費不正に手を染めていたことが発覚してから間もなく1ヵ月が経つ。
「不正は20年以上にわたっていた」「軽自動車だけでなく、乗用車でも不正をしていた」など、信じられない事実が次々と明らかになっていく中で、いま新たに所管官庁である国土交通省の「大罪」が浮かび上がってきていることをご存じだろうか。
自動車メーカーが新車を発売する場合、メーカーは事前に排ガスや燃費性能などの試験を受け、これに合格して初めて国土交通省から型式が与えられる。しかし、この燃費試験は国交省の怠慢で「有名無実化」していて、メーカーがやりたい放題の野放し状態になっているというのだ。
まず、モノづくり経営研究所イマジン所長の日野三十四氏が指摘する。
「燃費試験ではローラーの上で自動車を走行させて燃費値などを算出するのですが、試験では車が実際の路上を走った時と同じ状態に近づけるために、タイヤと路面の間で生じる抵抗値や空気抵抗値を負荷としてローラーにかけることになっています。実は、この抵抗値はメーカーが自己申告するものが試験でそのまま使用されていて、メーカーがその気になればいくらでも数値を誤魔化せる。
言い方を換えれば、試験は完全にメーカー任せ。実際、三菱自動車の不正ではこの抵抗値を意図的に小さく偽装することで、燃費を実際よりよく見せていた」
自動車のカタログには必ず「国土交通省審査値」と表記された燃費が記載されていて、われわれはその「国のお墨付き」を信頼して購入している。しかし、その審査自体がまったくのデタラメだったということである。
「事件発覚後、国交省は『メーカーに裏切られた』とまるで被害者のように語っていましたが、今回の不正の背景には国交省の責任があるのは明らかです。米国では環境保護庁がすべて自前で試験を実施しているのに、日本では国交省がメーカーに依存して試験を行ってきたから不正が起きるのは当然。この体質を変えない限り、どのメーカーでも不正をやろうと思えばできてしまう」(前出・日野氏)
実際、すでに業界内外では三菱の不正は「氷山の一角」という声が出始めている。自動車産業に詳しい桜美林大学教授の井上隆一郎氏は言う。
「どこの会社とは言いませんが、抵抗値を下げるために重量の軽い車で試験に臨んだ例もあったと聞いています。そもそも以前から、試験で出る燃費性能と実際の燃費の間に乖離があることは業界内では有名で、カタログ上の燃費が『作られたデータ』であることは暗黙の了解とされていた」
こうした事態を受けて、ある大手メーカーでは、「幹部が、『内部告発が出たらどうしようか』と慌て出した」(業界関係者)。
■非は認めない
現在、国交省は三菱自動車の車を試験し直しているが、本来であればトヨタや日産、ホンダといった主力メーカーすべての車を試験し直すべきではないのか。国交省傘下で燃費試験を行う「交通安全環境研究所」に質すと、次のような回答が返ってきた。以下、担当者との一問一答である。
—そもそもなぜ不正を見抜けなかったのか。
「不正を適切にチェックできるような審査ができていなかったということに尽きます。私どもの認識が甘かったと言わざるを得ない」
—これまでそうした内部体制が問題視されたことはなかったのか。
「なかったことを否定はしませんが、審査そのものを合理化していくという流れがあったのも事実です。その合理化の中で、審査官が100%完全には見ないという状況が出てきて、今回のような事案では裏目に出てしまった」
—三菱自動車の車を試験し直すとのことだが、ほかのメーカーについては調べないのか。
「国交省のほうでほかのメーカーにも不正がなかったかどうか『自己申告』という形で調査をしていて、問題があればここで再試験などをしていくと思います」
しかし、自己申告で「不正がありました」と答えるメーカーが出てくるわけがない。
石井啓一国交大臣も「不正行為の全容を解明し、責任を明確にする」「今後このような不正行為が二度と行われることがないよう、厳正に対処していく」などと威勢のいいことを語っているが、それは口だけ。本気で実態解明に動けばみずからの責任論に飛び火することがわかりきっているから、国交省は被害者面でやり過ごそうとしているのが実情なのだ。
こうした国交省の欺瞞ぶりは、昨年世間を大きく騒がせた傾きマンションの「杭打ちデータ不正」問題でも露呈したばかりである。
「国交省は旭化成建材による不正が明らかになった当初こそ民間の問題として静観していたが、世間の批判の声が大きくなると急に出しゃばってきて、旭化成側に『きちんと調査をしろ』などと命じ出した。さらに、世間が早く調査結果を出せと騒ぎだすと『×月×日までに結果を報告しろ』と言い出すなど、完全に世論に迎合する場当たり的な対応を繰り返した」(杭データ問題の取材を続けるジャーナリスト)
おのずと肝心の調査は杜撰そのものに。本誌4月30日号で既報の通り、国交省が命じた期日を守るために業者は超短期間での簡素な調査で済ませたというのが実態だ。
その結果、「データ不正なし」とされたマンションの中には、住民独自の調査で「不正あり」と改めて判明した物件も出てきている。新たに不正が発覚したマンションの管理組合理事が言う。
「国交省は不正が新たに出てきたことを認識しているのに、これを公表しようともしない。もうこの一件は終わった話にしたいとの魂胆が見え見えなんです。
国交省は今年4月に大半の不正物件の安全を確認済みと早々に結論付けていますが、うちのマンションの安全確認はまだ終わってもいない。その安全性の調査方法について国交省に相談をしても、『それは区の建築主事さんの管轄ですから』とまともに応じない」
そもそも杭のデータ不正は業界に蔓延しており、これを見抜けなかった国交省に重大なミスがあったのは明らかだが、大臣も事務次官も担当者も誰も責任を取っていない。
騒動が起きるといつも「後出しじゃんけん」で出てきて、正義のヒーローのように振る舞う。言うことだけ言って、あとの責任はすべて民間に押し付ける—。
こうした対応は、ここ数年で相次いで起きている高速バス事故時にも見て取れた国交省の「常套手段」である。
かつて耐震偽装問題で騒がれたヒューザー元社長の小嶋進氏も言う。
「耐震偽装問題の時も、国交省は偽造された構造計算書に許可を出してお墨付きを与えた『戦犯』でした。しかし、国交省はわれわれ民間人を刑事被告人に祭り上げることで、みずからの責任を回避した。官僚の仕事というのは、最初から不正を防ごうとするのではなく、問題が起きたら取り繕うように法改正をすればいいというもの。こういう無責任体質が綿々と引き継がれている」
一連の無責任な対応について国交省本体に尋ねると、次のように回答した。
「製造業をはじめとする我が国企業の技術力は国際的にも信頼を有している中、一部の企業が不正行為を行ったり、安全・安心を揺るがす事態を招くことは極めて遺憾。法令に基づき、あらゆる手段を講じて厳正に対処してまいります」
自分たちが悪いとは絶対に認めない。これもまた国交官僚たちの「仕事」の実態である。
「週刊現代」5月28日号より
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