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(立体イラスト/kucci、撮影/写真部・岸本絢)
長時間労働にパタハラ 男性の家庭進出を阻む壁〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160520-00000149-sasahi-soci
AERA 2016年5月30日号
女性が柔軟な働き方を選べるようになる一方で、男性の働き方はどうなっているのか。いまだ「夫が大黒柱」というケースが多く、男性が仕事をセーブし、家事・育児をするのは難しい現実がある。
会社経営者の男性(48)はぼやく。
「妻の年収がもっと高ければ、ここまで働かないですよ」
OECDの13年の調査では、日本は男女の賃金格差が加盟国で3番目に大きい。収入が低い女性のほうが仕事を辞めたりセーブしたりするのが「合理的」な構造のため、「男は仕事、女は家庭」という意識が変わりづらい。
『男が働かない、いいじゃないか!』の著作がある、武蔵大学の田中俊之助教(男性学)は訴える。
「女性向けの施策はすでに出尽くしている。メスを入れるべきは、男性の生き方とセットになっている長時間労働と終身雇用です。『最低一日8時間・週40時間×40年間労働』、ここを変えなければ、抜本的な解決は難しい」
●出世できなくなるから
人材会社に勤める男性(31)は言う。
「夫婦でバランスをとって共働きを維持していくことが最優先。最近ローンで家を買ったので、妻が公務員であることの心強さは手放せません」
保育士の妻(29)が遅番の日は、長女(2)の保育園の迎えから晩ご飯、寝かしつけを男性が担当する。事前に社内のイントラネットに書き込むため業務に支障が出ることはあまりないが、時短勤務をしているのは女性ばかりで、早く帰っている男性は自分だけ。平均年齢29歳の会社なので前例もなく、仕事の「序の口」である午後6時に職場を出ることが今後のキャリアにどう響くのか、不安がよぎる。帰宅後もスマホにメールが入ると、長女の面倒を見ながら気はそぞろ。残業できる日は他の人よりも遅くまで頑張ってしまう。
男性には「滅私奉公」を求める企業も多いなか、女性の職場進出に一歩も二歩も遅れている、「男性の家庭進出」。少数派ゆえの悩みを一人で抱え込む夫は少なくない。
都内の大手マーケティング系企業に勤めていた男性(34)は長男(3)が生まれた後、家事や育児のメイン担当になった。大手出版社に勤める妻(35)は産後4カ月で職場復帰。海外とのやりとりもあって深夜帰宅になることが多かった。
妻の復職当時、男性の職場は得意先の近くにある支社で、徒歩30分かかる保育園に長男を送ってから職場に向かうと大幅に遅刻。迎えに行くには夕方4時頃に退社しなければならなかった。これが職場で問題となり、男性は育休取得を願い出た。ところが上司からこう言われた。
「出世できなくなるから育休は取らないほうがいい」
実際、20年ほど前に取得した男性社員が1人いるが、窓際に追いやられている。本社へ異動すれば通勤時間は短縮できるが、子育て中の女性社員を見る限り昇進の道は閉ざされているようだった。キャリアアップとは程遠い「マミートラック」ならぬ「パピートラック」に陥るのは明らかだった。
●パタハラ降格23%
改めて現職場での時短勤務を希望したが「周りに示しがつかない」と却下された。会社に見切りをつけ、専業主夫になることにした。
男性が育児をする権利や機会を職場の上司や同僚などが侵害する言動は「パタハラ(パタニティー・ハラスメント)」と呼ばれる。昨年発足したパタハラ対策プロジェクトの調査によると、育休や時短・フレックスを申請した男性のうち、降格や左遷などの不利益な待遇をされたことがある人は23%、同僚や上司から否定的な発言をされたことのある人が45%に上った。
「奥さん働かせて自分が休むの?」
「君だけが毎日早く帰って、チームの和を乱している」
といった言葉が夫たちにぶつけられていたと、共同代表の佐藤士文さんは説明する。仕事にフルコミットする価値観から抜け出せず、弱音を吐けない上司たちの苦しみが、パタハラという形で下の世代に連鎖しているようだ。
「男は仕事、女は家庭」の性別役割分業は高度経済成長期に確立し、機能してきたものだ。しかし、片方が仕事でめいっぱい疲弊し、片方は家事や育児を一手に引き受けて追いつめられるような「分業」は、これからの時代にはリスクが高い。
●生活体験を「武器」に
前出の専業主夫になった男性には、夫婦共通の考えがある。会社員であることにこだわらず、片方がキャリアを降りるときはもう片方が支え、逆もある。長く働き続けるために、夫婦で支え合っていくということだ。
男性は専業主夫になってから、毎日晩酌しながら子どもと晩ご飯を食べる時間が至福のひとときになった。保育園のママ友たちとお茶を飲み、スーパーで財布のひもが緩む瞬間も実体験した。食品のマーケティング関連の仕事をしていたことから、この生活体験がキャリアの「武器」になると考えた。
退職から1年後、フリーのプランナーとして独立を宣言すると、さっそく古巣から仕事が入った。
「転職市場に『育休経験者、主夫経験者求む』といった求人が出るようになれば、男性もキャリアを柔軟に考えられるようになるはずです」
結婚、出産、育児、介護など人生のステージごとに、男女ともに仕事の質・量を柔軟に変えることができたら、もっと人生は豊かになる。共働きという後ろ盾が、その「挑戦」を可能にするのだ。(AERA編集部・小林明子、石田かおる)
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