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仏西部サンナゼールの造船所で撮影された世界最大の客船「ハーモニー・オブ・ザ・シーズ」の上部デッキ(2016年5月12日撮影)。(c)AFP/JEAN-SEBASTIEN EVRARD
巨額赤字のサムスン重工、再建案に銀行は『不十分」 グループ支援要請、電子に支援と言われても・・・
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46896
2016.5.20 玉置 直司 JBpress
韓国最大最強の財閥と言えばもちろんサムスングループだ。「危機管理」と「準備経営」で好業績を維持してきたが、うまくいかない企業もある。造船大手のサムスン重工業だ。
造船不況に海洋プラント事業の不振が加わり、巨額の赤字に陥った。銀行から再建案提出を求められる屈辱も味わっている。
「産業銀行“サムスン重工業自救案では不足”グループが支援しろという意味?」
2016年5月19日付の「朝鮮日報」はこんな大きな見出しの記事を掲載した。
■サムスン重工業、「自救案」作成の屈辱
サムスン重工業は5月17日夜、主取引銀行である国策銀行の韓国産業銀行(KDB)に「自救案」すなわち「経営再建策」を提出した。これに対して、KDBが「これでは十分ではない」という姿勢を示したという内容だ。
サムスン電子などサムスングループの企業は業績が良く、「銀行がお金を借りてくれるように頼む」という関係で知られる。
それが、取引銀行から「自救案」の作成を求められていた。これ事態が異例中の異例の出来事。「自救案」を出すということは、銀行の監督、支援を受けるということだからだ。
韓国メディアによると、サムスングループの企業が「自救案」を作成する羽目になったのは、IMF(国際通貨基金)危機と呼ばれた通過経済危機の際に当時のサムスン自動車が経営難に陥って以来17年ぶりのことだという。
サムスン重工業の業績はそれほど悪化しているのだ。造船業界の中でも堅実経営で知られたサムスン重工業だが、ここ数年急速に業績が悪化した。2015年には、1兆5019億ウォン(1円=10ウォン)もの営業赤字になった。赤字になったのは11年ぶりのことだった。
サムスン重工業は3兆ウォンもの内部留保があり、すぐに経営がどうこうなると見る関係者はいない。
■造船受注、半年間ゼロ
それでも、先行きは決して甘くない。
1つは、世界的な造船不況の直撃を受け2015年11月から2016年4月まで6か月間船舶建造の新規受注がないのだ。造船事業について言えば、「受注残」で何とかしのいでいる状態なのだ。
さらに、数年前から造船不況を乗り切ろうとして急拡大させた海洋プラン事業が逆風にさらされている。
海洋プラントの発注先は産油国が多い。原油高の時代に発注したものの、その後、キャンセルや事業縮小になる例も少なくない。無理に受注したため、建設費が膨らみ、プロジェクトで大規模な赤字が発生する事態も続出している。
韓国の造船大手は、こぞって「ポスト造船事業」として海洋プラント事業を強化したが、どこもこの事業が収益をさらに悪化させているのだ。
■挽回策の海洋プラントが足引っ張る
大宇造船海洋や現代重工業の場合、造船と海洋プラントの比率は6対4だが、サムスン重工業の場合海洋プラント事業が65%に達している。それだけ事業を好転させるのが簡単ではないということだ。
大型プロジェクトの場合、兆ウォンの単位で赤字が発生することもあり、まったく楽観視できないのだ。
サムスン重工業も今後の事態に備えて、2017年前半に満期が来る2兆ウォン以上の借入金の返済期間の調整などを銀行に打診したと言われている。銀行との立場が完全に逆転してしまったのだ。
■アパート、ホテル売却も・・・
KDBの要請を受けてサムスン重工業は、一部事業場や造船所がある慶尚南道巨済島(コジェド)にあるアパートやホテルなどを売却して3000億ウォン以上の資金を確保する計画をまとめた。
サムスン重工業の「自救案」については肯定的に受け止める声も少なくない。
韓国では、大宇造船海洋、現代重工業、サムスン重工業の3社が経営悪化に陥っているが、この中でサムスン重工業の「深刻度」が最も低い。手元資金もある。
海洋プラント事業で今後追加損失が出るかどうかなど、不透明な点はあるが、今の段階では「銀行と協力すれば、十分自力再建は可能」(韓国紙デスク)との指摘もある。
それでも、「サムスン」となると話が変わってくるようだ。
KDBは、「グループ次元の支援」を求めている。
その理由の1つは、「海洋プラント事業で巨額の追加損失が出ればサムスンというブランドが失墜する」ということだ。
サムスン重工業の筆頭株主はサムスン電子(出資比率17.62%)だ。以下、サムスン生命保険(同3.38%)、サムスン電機(同2.39%)、サムスンSDS(0.42%)などサムスングループ企業が大株主に並ぶ。
■グループの支援を求める
サムスン重工業の業績がさらに悪化すれば、確かに他の企業へイメージダウンになる恐れがないわけではない。
もう1つは、国策銀行であるKDBが、「サムスン」を支援することへのためらいがある。韓国最大最強の財閥のグループ企業を国策銀行、つまり政府が支援することへの抵抗感だ。
すでに、一部野党議員からも、「サムスングループが責任を取るべきだ」という主張も出ている。
だが、いったい、どうしろというのか?
サムスン重工業の大株主はサムスン電子だ。グループの中でも資金的に余裕があるのはサムスン電子だ。「グループが支援しろ」ということは、結局は、サムスン電子に支援をしろという意味だ。
半導体、スマートフォンが主力のサムスン電子に、造船、海洋プラント事業が主力のサムスン重工業を支援しろということだ。これはどういうことなのか。
サムスン電子の株主が、サムスン重工業の支援に賛成する理由など何もないだろう。むしろ、圧倒的な株主は反対であるはずだ。グループ企業の支援というのは難しい問題だ。
■サムスンの場合、ミツビシの場合
日本で、三菱自動車を三菱グループが支援した時にもいろいろな議論があった。今回、再び三菱自動車が問題を起こした時も同じような話が一度は浮上した。
「ミツビシ」のブランドを守るということで、三菱重工業や商事、銀行が一度は支援したが、当時の支援が正当化できたのか。
サムスングループと三菱グループの根本的な差もある。サムスングループは、独立経営ではあるが、今もオーナーを中心としたグループ経営の色彩も強く残る。人事権など完全に独立経営とは言えない。
だから、サムスン自動車が事実上経営破綻したとき、サムスングループはオーナーだった李健熙(イゴンヒ=1942年生)会長が巨額の私財を投入した。
だが、あれから17年間。サムスン電子の外国人持ち株非率も50%を超えている。韓国内の事情だけで、グループ企業支援を決めることができる状態でもない。
それでも、支援しなければならないのか。
■サムスングループに痛恨事
サムスングループにとってはサムスン重工業の経営悪化は痛恨事だ。サムスングループはことあるごとに「危機管理」や「準備経営」を強調してきた。
グループ企業に対する監査機能も強く、「事前に危機を察知して素早く対応する」ことが強みだった。
ところが、大宇造船海洋や現代重工業に比べると状況はましだとは言え、サムスン重工業も、造船業界全体の苦境が、もう何年も前から指摘されながら、結果的に対応が後手後手に回ってしまった。
経営判断のミスがなかったとも言えまい。
「屈辱の自救案作成」で、サムスン重工業の再建に向けた本格的な作業が始まる。経済合理性だけでなく、「サムスンだから」という理由で物事が決まることをサムスングループは最も警戒している。
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