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(回答先: 「影のFF金利」300ベーシス上昇、思った以上の引き締め S&P500種に不吉なシグナル FOMC 米利上げと英国民投票 投稿者 軽毛 日時 2016 年 5 月 19 日 20:22:33)
6月利上げリスクFRBの警鐘ようやく伝わる
By
MIN ZENG
2016 年 5 月 19 日 11:25 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)関係者らはここ数週間、6月に再び利上げする可能性があることを投資家に気づかせようと警鐘を鳴らしてきた。
今週になってようやく投資家に意図が伝わった。
FRBが18日に発表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(4月26・27日分)では、経済成長の加速が続けば6月に利上げする可能性について意見が交わされたことが明らかになった。これを受け、同日の米国市場では株式や債券、多くのコモディティー(国際商品)が売り込まれた。ダウ工業株30種平均は取引序盤の上昇分を解消し、2年物と10年物の米国債利回りは1営業日の上昇幅としては年初来最大を記録した。
10年物米国債利回り
17日にも、サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁とアトランタ地区連銀のロックハート総裁が6月利上げの可能性を示唆したことで、相場は大きく動いていた。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のデータによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む6月の利上げ確率は18日、34%に上昇した。17日時点では15%、1カ月前はゼロをわずかに上回る水準だった。
こうした市場の動きは、投資家がようやくFRB関係者らの警告に耳を傾け始めたことを示している。だが、投資家やアナリストは、債券利回りとドル相場の上昇が続けば、金融環境の引き締まりや株買い意欲の減退につながる可能性が大きく、そうなれば当局は利上げをいっそう正当化しづらくなると警鐘を鳴らす。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのグローバル債券ポートフォリオマネジャー、ジム・キャロン氏は「FRBにとって、言うは易し行うは難しだ」と述べた。
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米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長PHOTO: ZUMA PRESS
イートン・バンス・マネジメントのグローバル債券部門共同ディレクター、エリック・スタイン氏は「市場が織り込む利上げ確率をこれまでよりも引き上げようと、FRB関係者らが一致団結して動いている」と指摘した。
米経済は4-6月期に勢いを取り戻したようだが、成長ペースは依然不安定だ。また、インフレ加速の兆しはあるものの、物価全般への上昇圧力は抑えられている。
世界の景気見通しも引き続き弱い。中国景気への懸念が再燃しているほか、6月のFOMCの1週間後には英国で欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が実施される。このため、資金運用担当者の間では利上げは時期尚早との声も聞こえる。
利上げ見通しで最も恩恵を受けるセクターの一つは銀行株だ。18日の米株式市場では、シティグループが5%高、バンク・オブ・アメリカが4.9%高、モルガン・スタンレーが4.1%高だった。ただ、年初来ではそれぞれ11%安、13%安、14%安と、世界経済の成長鈍化やトレーディング業務不振などへの懸念で株価は低迷している。
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http://jp.wsj.com/articles/SB12363839694362934444104582075280170755746?mod=wsj_nview_latest
米景気、春到来とともに勢い回復か−冬場の低迷脱却
ガソリンなどの燃料価格の上昇がここ数週間、インフレ指標を押し上げている(写真はガソリン価格が表示された電光掲示板、ミズーリ州モスコーミルズのガソリンスタンド) PHOTO:WHITNEY CURTIS/REUTERS VIA ZUMA PRESS
By
BEN LEUBSDORF
2016 年 5 月 18 日 15:02 JST
米景気は今年も冬場に低迷したものの、春の到来とともに安定しつつあり、リセッション(景気後退)入りやさらなる景気減速への懸念は後退した。
17日に発表された4月の米経済指標は、鉱工業生産と住宅着工件数が前月比で増加に転じ、消費者物価指数(CPI)の伸びが加速するなどいずれも、4-6月期の経済成長率が、素晴らしいとはいかないまでも1-3月期を上回る水準が期待できることを示唆した。このほか、直近では4月の小売売上高が約1年ぶりの大幅増、5月のミシガン大学消費者信頼感指数も約1年ぶりの高水準に上昇、そして雇用拡大が続くなど、好調な指標が相次いでいる。
DSエコノミクスを創設したエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「今年初めに広がっていたリセッションやデフレへの懸念が拭い去られたことが確認できた」と述べた。
https://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CK205_ECONOM_16U_20160517184509.jpg
【左上】消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率(青=総合指数、水色=食料品・エネルギー品目を除くコア指数)、【右上】鉱工業生産指数の前年比上昇率、【左下】レギュラーガソリン店頭価格、【右下】原油価格
1-3月期の米国内総生産(GDP)は前期比年率0.5%増にとどまったが、成長は加速する見通しだ。マクロエコノミック・アドバイザーズは17日、4-6月期のGDP成長率を2.3%と予想した。17日の一連の指標発表を受け、アトランタ地区連銀は独自のGDP予測モデル「GDPナウ」から算出した4-6月期の予想成長率を2.5%に更新した。
直近のリセッション終了以降、GDP成長率は1-3月期に低迷し、4-6月期に上向くというパターンを繰り返してきた。今年も例外ではなかった可能性があり、17日に発表された指標は経済全般が再び緩やかに拡大し始めたことを裏付けた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が17日発表した4月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は前月比0.7%上昇し、1カ月の伸び率としては2014年11月以来の大きさとなった。
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住宅部門の回復がここ数四半期の経済成長に大きく寄与している(写真はケンタッキー州ルイビルの住宅建築現場) PHOTO: LUKE SHARRETT/BLOOMBERG NEWS
また、住宅部門の改善はここ2年間、安定的にGDPの押し上げに貢献してきたが、この春も住宅建設は順調に回復軌道をたどっているようだ。米商務省が17日公表した4月の住宅着工件数(年率換算、季節調整済み)は前月比6.6増、建設許可件数は同3.6%増。1月から4月で見ると、前年同期比で着工件数は10.2%増、建設許可件数は2.9%増だった。
さらに、長らく低迷が続くインフレは、雇用市場の引き締まりやドル安、原油価格の持ち直しに伴い加速の兆しを見せている。米労働省が17日発表した4月のCPI(季節調整済み)は前月比0.4%上昇し、2013年2月以来の大幅な伸びとなった。
バークレイズのチーフ米国エコノミスト、マイケル・ゲーペン氏は「今回(4月)のインフレ率の上昇は、米経済におけるスラックの減少が今後も物価に上昇圧力を加えるだろうという当行の見方と矛盾していない」と述べた。
相次ぐ経済指標の改善をよそに、エコノミストの多くは経済全般の健全性について慎重姿勢を崩していない。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が今月行ったエコノミスト調査では、米国が1年以内にリセッション入りする確率予想は平均で20%となった。この確率は数カ月前の調査から少ししか下がっていない。
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FRB、金融危機の回避策で抱く懸念とは
FRB本部(ワシントン)
By RYAN TRACY
2016 年 5 月 19 日 12:49 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)の政策当局者らが表明していたのは、金融バブルの芽を摘み取り、金融危機を回避できる政策手段が自分たちにはあるのか、という懸念だった。
FRBは18日公表した4月26・27日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、マクロプルデンシャルな(金融市場全体の安定性を維持する)政策手段に関する議論に多くの時間を割いたことが明らかになった。
議事録によると、「米国の金融規制当局が利用できるマクロプルデンシャルな手段は比較的少なく、そうした手段の大部分はまだ試されていない」。
4月のFOMCでは、金融政策と金融システム全般の安定との相互作用を検証した経済モデルによる「シミュレーション結果の実例」をはじめ、この議題に関してFRB職員がプレゼンテーションをいくつか行ったという。
FOMCがこの問題に注目したことは、政策当局が金融混乱を回避する能力に懸念を抱いていることを改めて浮き彫りにしている。
2010年に成立した米金融規制改革法(ドッド・フランク法)により、FRBなどの規制当局には銀行部門やシステム上重要とみなされる大手金融機関を監督する権限が新たに与えられた。だが当局者らは、大手金融機関に重点をおけば、FRBの監督対象ではない企業にとってリスクが高まると懸念している。
FOMC委員らは特に、市場のバブルに直面した場合に金利政策を変更することがFRBにとって適切なのかという懸念を抱いている。議事録によれば、委員らはそうした方法で金融政策を用いる際のハードルを高く設定すべきだと指摘した。ただ、その可能性については否定していない。
一部のFRB当局者は昨年、「戦争ゲーム」と呼ばれる討論会を開き、商業用不動産バブルが発生した場合の対処方法について議論した。そして4月のFOMC議事録と同じように、まだ試されていないマクロプルデンシャルな手段を少し持ち合わせているだけだと結論付けた。
マクロプルデンシャルという言葉は、個別の金融機関のリスクを対象とするミクロプルデンシャルの反対語として用いられる。マクロプルデンシャルな政策の例としては、特定の種類の融資や金融取引の制限などが挙げられる。
FRBはすでにこうした手段強化の一環として、レポ取引の証拠金について検討している。
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6月利上げリスク、FRBの警鐘ようやく伝わる
FRB、6月利上げを選択肢に残す=FOMC議事録
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FRB対話戦略、発言多すぎて真意伝わりにくい=ダラス連銀論文
ニューヨーク証券取引所のトレーダー(18日)
By MICHAEL S. DERBY
2016 年 5 月 19 日 15:44 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)関係者らが発言にもっと慎重になれば、政策効果は増すかもしれない。
ダラス地区連銀が18日に発表した新たな論文は、FRB関係者らの公の場での発言について、すでに情報過多に陥っている人々に対し怒濤(どとう)のごとく言葉のシャワーを浴びせているようなもので、伝えようとしているメッセージがそのせいで曖昧になってしまっていると警告した。
同連銀のエコノミスト、アントネーラ・トゥティノ氏はこの論文で、「中央銀行にとってより効果的なコミュニケーション戦略とは、発言の頻度を少なくし、もっと的を絞った短く簡潔なメッセージを伝えることで一つ一つの発言に重要性を持たせることだろう」と指摘する。
同氏によると、金融危機後に透明性向上を進める中で、FRB関係者らの発言は論題にかかわらず頻度が増え時間も長くなったという。また、報道機関の取材も以前より受け入れるようになり、公に伝わる発言がいっそう増えた。だが、過ぎたるは及ばざるがごとしだ。中銀関係者らが使う言葉が金利政策の変更と同じくらい大きな影響力を持ち得る場面ではなおさらだ。
「人々の注意や情報処理能力が限られていれば、これらの発言を受けて危険な行動に出る可能性がある。時として実際の発言内容よりも言葉の変化に反応する場合もあるだろう」と同氏は言う。
論文によると、発言が頻繁過ぎれば「民間部門を(情報量で)圧倒する」恐れがあるということを中銀関係者らは認識する必要がある。民間部門は入ってくる情報に対し、当局者らほど注意を払うことはできないしそうしたいとも思っていないという。過剰なまでの発言を浴びた場合、「人々は完全に集中しているわけではないため、発言を誤解しかねず、意図せぬ逆効果の反応につながる可能性がある」。
トゥティノ氏はさらに、FRB関係者らがどうすればメッセージの影響を最大にできるか説明している。物価と雇用市場の両方を責務とする中銀は結局のところ、一つの責務しか持たない中銀よりもメッセージは長くなるという。だがそうだとしても、関係者らは発言を経済の特定の側面に絞れるはずだ。そうすれば、人々や経済に影響を与えて目指す方向へ導く上で有益かもしれない。
例えば、経済成長ペースが安定している場合、中銀はこの問題に言及する必要はなく、経済成長とインフレが中銀目標に合致しているときにも多言は不要、というのが同氏の主張だ。
同氏の提言が重く受け止められるかどうかは分からない。中銀関係者らはこのところ発言の頻度が増えており、時には金融政策や景気情勢の見通しに関して意見が分かれることもあった。
今でさえ、カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁などがインフレは2%の目標に近づきつつあると述べる一方で、大半の関係者らはまだ目標に程遠いとの見解を示している。
昨年退任したダラス地区連銀のフィッシャー前総裁は、当局者として避けるべきとトゥティノ氏が考えるコミュニケーション戦略を展開した代表格だった。フィッシャー前総裁は、金利政策を巡って常にFOMCの中心メンバーと意見が対立し、発言頻度も多かった。
一方、FRB内の意見が割れていても、お決まりの対応策がない複数の難しい選択肢を前に当局が判断に困っていることが伝わるという点で、公の発言が多いことは良いことだと指摘する関係者もいる。
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6月利上げリスク、FRBの警鐘ようやく伝わる
FRB、6月利上げを選択肢に残す=FOMC議事録
FRB、金融危機の回避策で抱く懸念とは
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ECB量的緩和提訴、原告側が法的「サプライズ」警告
ユーロの通貨記号が投影されたECB本部(フランクフルト、3月)
By TOM FAIRLESS
2016 年 5 月 19 日 15:41 JST
【フランクフルト】ドイツ人の実業家4人が欧州中央銀行(ECB)の債券買い入れ策を巡りドイツ憲法裁判所に異議申し立てを行った件で、原告弁護士のマルクス・ケルバー氏がECBに対し、数週間後に法的な「サプライズ」が生じる事態に備えるよう警告した。
原告は1兆8000億ユーロ(約223兆円)規模の債券買い入れ策を来年3月の期限切れ前に中止に追い込みたい構え。ベルリン工科大学の教授(財政学)でもあるケルバー氏は先週、原告を代表して憲法裁にECBの債券買い入れ策に対する異議申し立てを行った。
ケルバー氏はインタビューで、「数週間後には多くのサプライズがあるだろう」とし、「来年3月までただ待っているつもりはない。その時点でパーティーが終わるからだ」と述べた。
憲法裁の報道官は18日、この申し立てを受理したことを確認したが、審理を開始するかどうかはまだ決まっていないと述べた。ECBはコメントを控えた。
ECBは2015年3月に導入した量的緩和のもと、国債を中心とする債券の買い入れを開始した(現在は月額およそ800億ユーロ)。その狙いは極端に低いインフレ率の押し上げにある。
17年3月に期限が切れるこの買い入れを巡っては、EU法に違反するとしてドイツ連邦銀行(中央銀行)が強く反対している。
ケルバー氏は、ECBが16年3月に債券買い入れ策の対象を社債にまで拡大したことが法的に問題であると示唆した。
「もう十分だ。何とかしてECBを止めなければならない」とし、「ECBは制御不能で、規則に基づく機関ではなく独裁者のように振る舞っている」と述べた。
ケルバー氏によると、原告は憲法裁がドイツ連銀による量的緩和プログラム参加を禁じるよう期待している。
同氏はECBが決定した社債買い入れは同プログラムの「恐らく最も危険な点」と指摘。社債の買い入れ自体は違法ではないものの、企業が市場実勢以下の金利で資金を調達できるようにすることでEU内の競争をゆがめていると語った。
また、今回の異議申し立てに関してはドイツ以外のユーロ圏諸国にも多くの支援者がいると述べた。ECBは米連邦準備制度理事会(FRB)や日本銀行など世界中の中央銀行と同じ政策を採用しているにすぎないとの見方は否定した。
「日銀の10年にわたる政策は全く効果がなかったことが判明済み」とし、「問題は、憲法裁にドイツ連銀の(量的緩和)プログラム実施を禁じる度胸があるかどうかだ」と述べた。
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欧州社債ブーム、投資家への見返りは低下
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市場とFRBの利上げ予想、接近の可能性
米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁
By MICHAEL S. DERBY
2016 年 5 月 19 日 15:04 JST
金融市場が織り込む米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ確率が18日に高まったことを受け、一部の当局者の悩みは薄れるかもしれない。
こうした市場の動きを後押ししたのは、FRBが18日公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(4月26・27日分)で委員らが6月の利上げについて大方の予想より前向きに検討していたことが明らかとなったことだ。議事録公表に先立ち発言した複数のFRB当局者も、景気動向が予想通りなら年内の利上げを支持すると主張していた。
議事録の発表を受け、債券市場では利回りが上昇し、住宅ローンや自動車ローンなどの借入金利が押し上げられた。株式市場にも影響が及ぶ一方、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む6月ないし7月の利上げ確率は上昇した。
0.25%の利上げを年内に2回想定しているFRBと、これより少ない利上げを見込む市場との食い違いに警告を発してきたFRB関係者の懸念は、こうした市場心理の変化によって和らぐはずだ。FRBの政策は市場を通じて経済全般に影響するため、両者の見方はいずれ一致する必然性があった。それがいま実現しつつあるのかもしれない。
セントルイス地区連銀のブラード総裁は今月初め、経済成長と労働市場に関する統計は、先行きに関するFRBの見解が「ほぼ正しい」可能性を示唆しているとし、市場は現在織り込んでいる「非常に浅い」利上げの経路の見通しを捨て去るべきだと警告した。
市場との食い違いに関する最も厳しい警告は、思いも寄らないところから発せられた。FRB有数の「ハト派」として知られるボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、かねて慎重に利上げすべきだと主張している。だが同総裁でさえ、先月の講演では市場の見方に歩み寄ることができなかった。
ローゼングレン総裁は4月18日、「FF金利の誘導目標を段階的に引き上げることは絶対に正しいと信じているが、現在の金融先物市場が織り込んでいる非常に浅い利上げの経路を正当化するほどリスクが高いとは考えておらず、それほど悲観的な見通しも持っていない」と述べた。総裁は先週の講演でも、さほど強い口調ではなかったがこうした懸念を繰り返した。
ダラス地区連銀のカプラン総裁も、金融大手ゴールドマン・サックスの元副会長という経歴から発言の重みが増す中、市場の見通しとの食い違いに警戒感を示した。総裁はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が5月5日に行ったインタビューで、こうした環境は普通ではないとし、相違を解消する時間は十分にあるとの見方を示した。
「われわれだけでなく市場も経済指標次第で動くようになりそうだ」とした上で、「心理は良くも悪くもすぐに変わり得る」と指摘した。
市場を弁護するために言っておくと、トレーダーや投資家がこれまで直面してきたFRBの利上げ目標は、一定ではなく変化を遂げてきたものだった。FRBが2015年12月に実施した利上げは当初、同年9月の実施が予想されていた。一方、FRBが3月のFOMC後に公表した政策経路見通しでは、今年は0.25%の利上げが2回しか想定されておらず、昨年12月予想の4回を下回った。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiwif_ohebMAhUh2qYKHTZmCMUQqQIIHDAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12363839694362934444104582075583798885096&usg=AFQjCNHU5f4g7GKmLVxGLpYRf_TSlic3sQ
英国の賃金低迷、解消への道遠く
By
RICHARD BARLEY
2016 年 5 月 19 日 14:25 JST
多額の債務を抱え、消費者が支出を続けてくれることに頼っている経済状況では、賃金が大きく伸びれば明るい先行きに自信を深める確かな根拠となる。だが、英国の最新の賃金統計はまたしても期待外れに終わった。
英国統計局(ONS)が18日発表した1〜3月の賞与(ボーナス)除く週平均賃金は、前年同期比2.1%増となった。3月までの6カ月間の伸びとほぼ一致したが、失業率が下げ続ける中でも賃金増加率は2015年半ばの3%近くから大きく鈍化している。失業率は5.1%と、2006年初め以来の水準にある。
確かに、インフレ率が非常に低いため、実質賃金の伸び率はまずまずのように見える。しかし、インフレ率を抑えていた原油安に反転の兆しが見られるため、実質ベースでも苦戦する恐れがある。実質賃金の伸び率は1.8%と、昨年夏から1ポイントも鈍化している。インフレ率が上昇すれば実質賃金の伸びはさらに抑えられかねない。そうなれば家計支出が圧迫される。バークレイズのエコノミストらは2016年に個人消費が減速すると予想している。
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-OB656_oherd0_G_20160518090156.jpg
英国の週平均賃金の前年比増減率(インフレ調整後)
その上、実質賃金は世界的な金融危機前のピークをまだ4.5%下回っている。英国では危機後の賃金低迷が長らく深刻な問題となった。
短期的には、EU残留・離脱を巡る大げさな議論の高まりが英国の経済指標に悪影響をもたらすかもしれないが、一部の世論調査では残留支持が優勢との結果が出始めている。ただ、労働市場が引き締まる中での賃金の伸び悩みが不安材料であることに変わりはない。
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米株価、気になるS&P500の上値重さ
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米国の株価は上値が重くなっている PHOTO: MICHAEL NAGLE/BLOOMBERG NEWS
By
STEVEN RUSSOLILLO
2016 年 5 月 19 日 15:18 JST
米国の株価は現在、横ばいで推移している。
S&P500種指数が最後に高値を更新したのは1年前の今週だった。あれから1年間、相場は大きな変動を強いられた。10%を超える急落場面が2回あり、いずれもその後は反発に転じたからよかったものの、持続的な上昇力は維持できなくなっている。
この低迷相場の中、過去数年間と比べると株価の上値は重い。S&P500種指数は2013年に45回、14年には44回も高値を更新していた。しかし、15年はこれが10回にとどまり、5月21日につけた2131ポイントが最高値のままだ。
7年間続いた株式の強気相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締めに転じたことを受け頭打ちとなっている。また、企業収益の低調と株価の割高感も投資家が二の足を踏んでいる一因だ。
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各年ごとのS&P500指数が高値更新した営業日数THE WALL STREET JOURNAL
過去を振り返ってみると、高値更新が見られないのは珍しいことではない。アドバイザー・インベストメンツの調査部門ディレクター、ジェフリー・デマソ氏によると、1957年以降、S&P500種指数が高値を更新したのは全営業日のわずか6%にすぎない。また、現在のように同指数が最高値から5%以内の水準で推移していた時期は全体の3分の1強だ。現在は昨年の高値を約4%下回っている。
別の見方をすれば、全体の過半の期間において株価は高値を5%超下回っていた、とも言える。
相場が高値を更新していない、というだけならそう心配しなくてもいい。だが、高値での買いが大体うまくいかないのも事実だ。
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米国のドイツ批判は見当違い
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フォルクスワーゲン本社でカリーブルスト(カレーソーセージ)を袋詰めする従業員 PHOTO:JOHN MACDOUGALL/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By
GREG IP
2016 年 5 月 19 日 16:29 JST
米財務省は4月29日に発表した外国為替報告書で、為替操作の疑いのある国々に関する監視リストを新たに設けた。このリストに中国と日本が掲載されたのは驚くに値しない。両国とも輸出を支援するために通貨安を利用しており、共に輸入については友好的でないことで知られている。
ただドイツもリストに加えたのは不可解だ。ドイツは独自の通貨を持たずに通貨管理を欧州中央銀行(ECB)に委ねているので、為替操作はできない。貿易政策は欧州連合(EU)の管轄なので、輸入品をえり好みもできない。
リストに掲載された他の国々と同様に、ドイツは経常収支が大幅に黒字だ。昨年の黒字額は国内総生産(GDP)比8.5%にあたる3000億ドル近くで、中国と並び世界最大だ。
経常収支の定義から考えると、この黒字はドイツ国内の消費量が生産量よりも少ないことを意味する。需要不足は世の中の問題の一つでもある。これを受けてオバマ政権は、ドイツは財政赤字を膨らませず無責任だと結論づけた。米財務省は報告書で、「ドイツには需要に対し追加支援を与える十分な政策余地がある」と指摘した。
だが米国は間違っている。ドイツの問題は公的部門にではなく、民間部門にあるのだ。企業はさらに投資する必要があり、労働者はもっと稼ぐ必要がある。こうした問題は単に財政出動を増やすだけでは解決できない。
中国の黒字は確かに政府の判断が生み出したものだ。同国の政策は不透明で気まぐれで、近隣諸国に害を及ぼすことが多い。工場施設が活用されず安い鉄鋼が国際市場で投げ売りされ始めたことを見れば十分だ。ドイツはこれとは対照的で、規則にこだわり金融支援やECBの債券買い入れ、ギリシャに対する債務減免に反対して、ユーロ圏の同盟諸国をいらだたせている。ECBのドラギ総裁はこれをずばり「何でもノー」だと断じた。
ドラギ総裁はユーロ圏のインフレ率を2%に回復する取り組みの中で、財政出動の助けを心の底から望んでいるだろう。問題は、フランスやイタリア、スペインなど財政面からの支援を一番必要とする国々は、そうするには債務を抱えすぎていることにある。ドイツはそれが可能だが必要としていない。米国でカリフォルニア州民とテキサス州民がやっているように、ユーロ圏加盟国が債務と税に対する責任を共有すれば問題はない。だが、ドイツのメルケル首相が支持している考えだが、ユーロ圏は財政統合にはほど遠い。統合が実現しない限り、ドイツの政治家は単に隣国を助けるためだけに借金することは考えられない。
ドイツは昨年、GDP比0.7%相当の財政黒字を計上した。今年は、難民受け入れ費用の増加と所得減税で黒字が解消する見通しだ。国際通貨基金(IMF)は5月初め、ドイツに対して通常の老朽化に追いついていない公共インフラへの投資を増やすよう繰り返し求めた。これにより将来の成長は拡大するだろう。ただ、こうしたGDP比1%の借り入れ拡大で削られる経常収支の黒字はGDP比0.6%にすぎないことも、IMFは認めている。
実際、財政政策を通じて経常収支の黒字を目に見えて圧縮するには、ドイツが正当化できるよりもはるかに大幅な財政赤字が必要だろう。ドイツの失業率は東西統一後では最低の4.2%で、潜在成長率を上回る成長を続けており、金利がゼロでユーロが弱いことから見ると、財政出動はまったく不要だ。さらに、労働力人口は高齢化で減りつつあり、債務返済力は低下し今後の年金支出は増えている。ドイツ政府の推定では、出生率と移民が一定で年金政策が変わらない場合、現在GDP比71%の公的債務は2060年までに同220%に増加する。
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(左)経常黒字・赤字の対GDP比、(中)投資の対GDP比、(右)単位労働コストの前年比変化率【青:ドイツ、緑:ユーロ圏、黄:日本、赤:中国】
ドイツの問題は公的部門にではなく民間部門にある。ベルリンにあるシンクタンク、ドイツ経済研究所(DIW)の分析によると、1990年から2012年にかけて、ドイツにおける設備投資の伸びは英国や米国、他のユーロ圏諸国のどこよりも低かった。DIWのマルセル・フラッシャー所長は「企業はドイツ国外でそうした投資が可能なのだ」と言う。必要以上の規制とエネルギー政策の転換、熟練労働者の不足、不十分な公共インフラが、国内設備投資を阻んでいる。
2000年代初頭にドイツが労働市場の柔軟性を高めたことが、経常収支の黒字に最も寄与した。これで雇用は拡大したが賃金が抑えられた。ユーロ導入以前であれば、ドイツマルク高で影響が中和されただろう。通貨統合の結果、ユーロ圏内でドイツの競争力がさらに増し、域内の貿易不均衡が拡大した。ユーロ圏の危機を受け、近隣諸国はドイツよりも物価を抑え賃金を引き下げる「内的切り下げ」を通じ、競争力の回復に努めている。だが、生産性で調整したドイツの労働コストは、依然として年率2%未満の伸びにとどまっている。
ユーロ圏諸国が首尾良く内的切り下げを行いECBが2%のインフレ目標を達成するためには、ドイツの物価と諸費用が年率2%超上がる必要がある。この点についてはドイツの政治家らに罪がある。彼らはECBの金融緩和策を繰り返し攻撃し、右派大衆主義の台頭についても非難している。
むしろ労働者に賃上げを求めるよう促し、企業にもそうするよう働きかけることで、ECBを助けることができるだろう。そうすれば輸入消費が伸び、経常収支の黒字が減り、近隣諸国の回復が加速する。米政府からの頼みもしない提言さえも止まる可能性がある。
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