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金融経済政策を推す李克強首相(左)と対立する習主席は経済失速に対応できるのか(共同)
【断末魔の中韓経済】習主席VS李首相、経済政策めぐり“内紛”勃発 中国経済“大失速”
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160517/frn1605171140001-n1.htm
2016.05.17 夕刊フジ
★(1)
中国経済の失速は、底なしの様相をみせている。昨年通年のGDP(国内総生産)の伸び率は25年ぶりの低水準に落ち込み、雇用問題などを発火点に、年間数万〜20万件もの暴動が起きている。共産党機関紙が報じた「高官」の衝撃証言と、ささやかれる、習近平国家主席派と李克強首相派による経済政策での路線対立とは。これは、中国版「失われた20年」の始まりなのか。経済評論家の三橋貴明氏が緊急連載する。
中国共産党機関紙である人民日報は9日、今後数年間の中国経済について「L字型曲線」を描くとの見通しを示した。
かつての高成長路線に戻ることはなく、現在の成長率が継続するという意味である(=そもそも、共産党政府が発表する経済成長率を信じる人は、ほぼいなくなったが)。
人民日報は上記の記事において、「信頼できる高官」のインタビューという形式で、「微弱な需要と供給過剰現象は当分続くために中国経済の急な反騰を期待するのは現実的ではない」「中国の経済成長率は今後数年間で『L字型曲線』を描くだろう」と書いている。
同紙は共産党のプロパガンダ紙だ。「信頼できる高官」のインタビューとは、要するに共産党トップの見解という意味を持つ。
興味深いのは、「高官」が中国経済について、供給サイドの改革、つまりは構造改革の加速が必要であり、システミックリスク(=金融機関の破綻やシステムダウンなどが次々と広がって世の中に混乱を及ぼす危険性のこと)がある信用拡大(銀行融資の拡大)に頼ってはいけない−と述べている点だ。
銀行融資の拡大に依存した景気浮揚とは、まさしく最近の李首相が主導している経済政策そのものである。
現在の中国では、金融政策依存の李首相派と、恐らくは習主席が主導する構造改革派との間で、路線対立が起きていると思われる。
夕刊フジGW特別版「断末魔の中韓経済」で、「過剰投資が失速の原因である中国経済はすでに詰んでいる」と書いたが、中国はGDPかさ上げのために市場を無視した設備投資にのめり込んだ。結果的に、多くの産業が完全にデフレギャップ(供給能力過剰、需要過小)に陥っている。
日本の経験からも分かるが、デフレギャップは「需要創出」で埋めるしかない。そういう意味で、金融政策により信用創造を拡大し、景気を浮揚させようという李克強路線は、少なくとも方向としては正しい。
とはいえ、まさに過去20年間の日本が犯したミスだが、デフレ期の政府はデフレギャップ解消のために「供給能力」の方を削るという政策を採りがちになる。
習主席は3月の共産党大会で、「生産過剰の問題を解消していく。鉄鋼、石炭などの業種は、新規参入を食い止め、淘汰(とうた)を推進する。そして、『僵屍企業』(=いわゆる、ゾンビ企業)を積極的に処理していく」と、リストラクチャリングを推奨。供給能力を削減することでデフレギャップを解消する構造改革を宣言した。
企業を淘汰し、過剰供給能力の解消を図ると、当たり前の話として失業者が増える。失業者は消費を減らすため、さらなる需要縮小を引き起こし、デフレギャップが延々と埋まらない悪循環に陥る。これが、わが日本の国民をひたすら貧困化させ、国力をそぎ落とした「失われた20年」の真実だ。
デフレ下の構造改革は、需要不足を促進し、経済成長率をそれこそ「L字型」へと追い込む。「それでも構わない」と、中国共産党の「信頼できる高官」は断言したわけである。
今後の中国は、供給能力の過剰を「供給能力削減」で解決しようと図り、需要が縮小し、またもや供給能力が過剰に陥るという「日本病」に苦しめられることになるだろう。
5月9日の人民日報は、中国の「失われた20年」の始まりを告げるファンファーレなのだ。
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『中国崩壊後の世界』(小学館新書)、『2016年 中国・ユーロ同時破綻で瓦解する世界経済 勝ち抜ける日本』(徳間書店)など多数。
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