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苦境の三菱自ならではのウルトラC、クルマを売らないカーディーラーへの大変身!?
http://autoc-one.jp/mitsubishi/special-2712129/
2016年5月17日 オートックワン
■三菱自ディーラー離れを食い止める、唯一の策かも?
あくまでも、これは私見である。だが、一連の三菱自「燃費不正問題」の現場取材を続けるなかで、「いまこそ、この手があるのでは」と自然に考えるようになった。
「燃費不正問題」はいま、全国の三菱自ディーラーを直撃している。
各ディーラーの売上の3〜4割を占める軽自動車は、当面の間、生産中止に。また、販売を継続している9車種についても、影響が広がっている。5月11日の記者会見では「RVRで燃費不正の疑いあり」と、三菱自が発表。
さらに、本稿を執筆している5月16日、一部の新聞が「アウトランダーPHEVでも燃費不正が明らかになった」と報じた。
12日の緊急会見で、日産の傘下になることが決まった三菱自だが、「燃費不正問題」によって同社のブランドイメージは「地に落ちた」と言ってよい状況で、三菱自ディーラー各社は緊急事態に陥っている。
そんな三菱自ディーラーを再生させるために、筆者が最良策と考えるのが「クルマを売らないで儲ける商売への転換」だと思う。
■これを機に、売り切り型ビジネスから脱却すべき
「1000万台は結果であり、目的ではない」。
日産のゴーンCEOは、12日の緊急会見や、その後に出演したNHKなどの報道番組で、三菱自を加えたルノー日産グループの年間売上台数に対する記者からの質問に、そう回答した。
これは、トヨタやフォルクスワーゲンとの「販売台数世界一争い」に対して、冷静な目を持っている発言に感じる。言い方を変えると、ゴーンCEOの胸の内には「三菱自は、クルマの数を多く売る企業になる必要はない」との想いがあるのかもしれない。
換言すれば、自動車産業が大きな変革期を迎えた今、日産にとって三菱自は「大規模な実験の場」になるのかもしれない。あくまでも筆者の私見だが、それは「カーディーラー改革」だと考える。
「少子高齢化」「若者のクルマ離れ」など、日本の社会背景は大きく変化している。にもかかわらず、家計の収入が伸び悩むなか、新車の価格はドンドン上昇。一般家庭にとって、クルマは「相当高い買い物」になってしまった。
高度経済成長期の頃も、庶民にとってクルマは高い買い物であったが、クルマはステータスシンボルであり、生きていくための「夢」だった。
そうした昔と比べて、時代は大きく変わったが、カーディーラーのあり方は昔のままだ。だからこそ、いま、カーディーラーの大規模な改革が必要なのだ。
とはいえ、既存のディーラーにメスを入れるのは至難の業だ。なぜなら、フランチャイズ方式による独立系ディーラーも多く、メーカーがディーラーに対する各種の「遠慮」があるからだ。
だが、現状の三菱自の状況を考えれば、ディーラー再編に向けた大規模改革が可能であり、ディーラー側も事業存続が補償されるなら、それを望むかもしれない。
■目指すのは「ライフスタイル・コンシェルジュ」
では、実際にどのようなディーラー改革を行なうのか。
目指すべき方向は、クルマを含む交通機関全般のなかで、顧客のライフスタイルにあった「移動」や「娯楽」のあり方を「提案」することだ。
これまでの、新車や中古車の「売り切り型」だけではなく、電車・バスなどの公共機関、さらに「いわゆる白タク」と呼ばれるライドシェアリングも含めて、相手の生活のなかに大きく踏み込んだ「パッケージプラン」を提供するのだ。
そのなかには、EVやプラグインハイブリッド車などの電動車に対応した「電力」の販売。コネクテッドカーの観点から、電話やネット通信の販売を含めるのだ。そうなれば、ネット通販や映像コンテンツプロバイダーなどとも絡んでくる。さらには、学資保険や年金などの金融商品との連動も考えられる。
当然、こうした幅広い事業をクルマディーラー単体で構築することは不可能だ。そのため、三菱自は、ソフトバンク、NTTドコモ、楽天、ソニー損保、hulu、日本交通、ウーバー、JTB、JRなど、多様な企業と強靭な連携を結ぶことになる。
こうした「大実験」が成功すれば、そこにルノー日産が乗っかれば良い。
世界人口は70億人強。世界の自動車保有台数は、12億3627台。一方、日本は人口1億2500万人に対して、自動車保有台数が7766万台で、「1.6人に1台」の割合。その数値は今後、減少の一途を辿る。
そんな日本市場において、カーディーラー改革は必須だ。「燃費不正問題」という負の動きを逆手にとって、日産が三菱自を使ったウルトラCを仕掛ける。その可能性は十分にあると思う。
[Text:桃田健史]
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