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緊急事態!この円高に「耐えられる企業/耐えられない企業」 黄昏のアベノミクス、結局デフレが続くのか…(週刊現代)
http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/637.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 5 月 16 日 08:45:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

建設機械や自動車、造船、電子部品メーカーなど、輸出企業の多くが巨額の為替差損を計上することになる〔PHOTO〕gettyimages


緊急事態!この円高に「耐えられる企業/耐えられない企業」 黄昏のアベノミクス、結局デフレが続くのか…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48642
2016年05月16日(月) 週刊現代 :現代ビジネス


思えば3年半もの間、ウソみたいな円安と株高に日本中が浮かれてきた。いつか絶対、終わりが来ると分かっていたのに……。逆回転を始めた経済の歯車が、日本企業をどんどん追い詰めていく。

■たった6日間で

最大10連休となった今年のゴールデンウィーク。その裏で、日本経済に決定的な「異変」が起きた。4月28日からのわずか6日間で、円相場が6円も急騰。5月3日、1年半ぶりに1ドル=105円台を付けたのだ。

これは円高の「最終防衛ライン」とされる大台だ。だが、折しも安倍総理はヨーロッパ歴訪中、また麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁は、アジア開発銀行年次総会出席のためドイツにいた。

「投機的、急激な円高を懸念している」「為替の無秩序な動きは、経済の安定に悪影響を与える」「必要なら、しかるべき対応をとる」

多忙の中、三人は夜となく昼となく、公の場でこの「三箇条」を繰り返した。

「安倍総理は、4日に行われたドイツのメルケル首相との会談でも同じことを述べました。しかしメルケル首相は、『競争的な通貨切り下げには勝者はいない』と返した。明らかに、これまで円安誘導政策に終始してきた日本と安倍総理への皮肉でしょう」(全国紙経済部デスク)

世界に「口先介入」と見透かされた安倍総理らの言葉には、一時的な効果しか望めない。

遡れば、すでに1月末のマイナス金利導入発表で、円高のスイッチは入っていたのだ。その流れは、4月28日、黒田総裁の「追加金融緩和見送り」の決断によって確定した。投資家たちの失望は、円高をさらに急加速させた。

流れを読み違えて、悪手に悪手を重ね、景気対策はついに「詰み」に追い込まれた——。

■利益が兆単位で消える

一方、同じくゴールデンウィークの前後、多くの上場企業が'16年3月期の決算発表に臨んだ。だが、その中身は、一言で言って壊滅的だった。

減益、減益、また減益。中には任天堂(連結純利益が前期比6割減)やIHI(営業利益が前期比6割減)といった、大幅な落ち込みを見せた企業もある。その主な原因が、ここ数ヵ月の急激な円高にあることは明らかだ。

「安倍政権下では、黒田日銀の量的緩和政策によって、1ドル=125円という『実態なき円安』が演出されてきた。

しかし、日本経済の実力からみても、1ドル=100円前後が妥当な為替水準です。円が105円を割り込めば、これまでアベノミクスで取り繕ってきたものが剥がれ落ちる。

例えば、5月11日に決算発表を控えたトヨタの場合は、円高が1円進むと400億円の減益となる計算です。トヨタグループの企業では、デンソーや愛知製鋼が1ドル=110円換算で今期決算を出しています。円高に歯止めがきかなければ、グループ全体の損失は数千億円規模になるでしょう。

仮に100円、そして95円と円高が進んでいった場合、自動車業界全体の減益幅は2兆円に達しかねない。アベノミクスの恩恵を受けていた業界ほど、大ダメージを被る」(アセットベストパートナーズ代表の中原圭介氏)

日経平均株価2万円、1ドル=125円。アベノミクスで、ほんのひと時見ることができたこんな景色も、しょせんは夢にすぎなかった。いつか必ず、覚めるのだ。

アベノミクスの下、円安の恩恵を最も享受してきたのが重厚長大・輸出依存型の企業だ。しかし今、円高への「巻き戻し」がついに始まり、収益は目減りしている。

前述したトヨタに限らず、自動車各社の見通しは厳しい。'16年3月期の世界販売台数が、過去最高の153万台となったマツダでさえ、今期純利益は前期比15%減。来期はいっそう円高が進むとみて、営業利益2割減を見込んでいる。

円高が、タカタのエアバッグリコール問題、三菱自動車の燃費不正に次ぐ、大打撃となることは確実だ。

また、造船業界・建設機械業界にも、円高進行が追い打ちをかける。

「川崎重工業や三井造船は、昨年から続く原油安で新規造船が減っていることに加えて、円高がダブルパンチとなって苦境に陥っています。コマツや日立建機は、かねてからの中国での不振が業績に響いている。こちらは中国・原油安・円高のトリプルパンチということになります」(ちばぎん証券顧問・安藤富士男氏)

■結局、デフレが続く

言うまでもなく、原油安や中国経済の不振が続けば、リスク回避のために市場のカネは円に流れ、いっそう円高が進む。円高が進めば、製造業・輸出企業への逆風は強まる。負の連鎖と言うほかない。

「これまで円安で何となく稼ぐことができたために、構造転換に本気で取り組まなかった企業が、円高局面では沈むことになる。例えば新日鐵住金、ジャパンディスプレイなどはその典型です。

どちらも需要が減る中で、うまく軸足を移せなかったり、落ちぶれた過去のドル箱部門を捨てきれなかった企業。特に新日鐵は円安下でさえ純利益が半減しています。歯止めをかけられるかどうか」(前出・安藤氏)

では逆に、この円高を耐えきることができる企業はどこだろうか。

「円高になるということは、デフレに戻るということです。つまり、これまでとは逆に、海外で作って日本で安く売るタイプの企業に追い風が吹く。

例えばニトリ。『少子高齢化・人口減少時代には、他社より安い品物が求められる』という方針をぶれずに続けている。『無印良品』ブランドが海外まですでに浸透している良品計画は、世界の若者の消費性向をよく見抜いています。ユニクロのファーストリテイリングも、今は円安で値上げを余儀なくされて苦境に陥っていますが、復活してくるでしょう」(大和証券シニアストラテジストの石黒英之氏)

'00年代に隆盛を極めた、いわゆる「デフレ産業」が再起を遂げるのだ。吉野家や松屋といった牛丼チェーン、世界的な低迷に悩むマクドナルドなどが、かつてのように覇権を握るかもしれない。

これまでにも、突如円が急騰したり、株価が急落することはあったが、持ち直してきた。この円高も一時的なものではないか——という向きもあろう。その見方は甘い。日本総研副理事長の湯元健治氏が警鐘を鳴らす。

「企業には、まだ為替の想定レートを1ドル=115円前後に設定しているところも少なくない。大半の企業で、多かれ少なかれ、為替差損が発生するのは避けられません。

1ドル=100円の水準が現実味を帯びてくると、日本の輸出関連企業は慌てふためいて、手持ちのドルを売るでしょう。そうすれば、ヘッジファンドの投機筋が進めるドル売り・円買いと相まって、やすやすと100円のラインを突破してくる」

ひとたび生まれた市場の奔流は、あっという間に人の力が及ばぬ濁流となり、すべてを呑みこんでゆく。気が付いたときには、皆溺れている。

「日銀は、手詰まりに陥った」と解説するのは、あるファンド幹部だ。

「『導入したばかりのマイナス金利の効果を見極める』というのが追加緩和見送りの理由といいますが、建て前でしょう。

マイナス金利にしても量的緩和にしても、こうした金融政策は、個人や企業が『経済学的に合理的に動く』のが前提です。金を借りられるときは借りるとか、持っていれば使う、というように。

しかし、日本人は欧米人と違って、金を借りることに心理的抵抗が強い。日本の経営者で、『マイナス金利で実質金利が下がったから、すぐ借金して設備投資しよう』なんて考える人はいません。

量的緩和も、結局は大して意味がないことが分かった。第一、日銀は『絶対にインフレにする』と言うけれど、誰もインフレなんて望んでいない。やはり、実態を無視して『金融政策だけで経済を動かす』という発想自体、無理があったのです」

■最後は黒田を切る

黒田総裁が追加緩和を見送った背景には、過熱する各国の通貨安競争を牽制しようという、アメリカの強い意向があったと見る向きもある。

アメリカ財務省は、4月29日に発表した報告書の中で、「日本・中国・韓国・台湾・ドイツを『為替監視』の対象にする」と発表した。通貨安へ誘導し、自国経済を有利にしようとする「不届き者」の筆頭に、日本を挙げたのである。日銀関係者がこう漏らす。

「正直、アメリカがこれほど露骨に円安誘導政策に釘を刺してくるとは思いませんでした。韓国や中国の名前を出してきたのは、『日本だけ名指しすると問題だから、他にも挙げておこう』というほどの意味でしょう。

大統領選を控えた今、アメリカはドル高で自国の経済を失速させるわけにはいきませんから、通貨安政策をとる他国を攻撃し始めたわけです」

これまで安倍総理がやったことといえば「アベノミクス」と連呼し、日銀に金融緩和という名の景気対策を丸投げしただけ。アメリカ政府から「そろそろタイムリミットだ。今までいったい何をしていたんだ?」と睨まれれば、なす術はない。

自民党幹部議員も言う。

「党内では『とうとうアベノミクスも終わりか』『マイナス金利も失敗だった』『このままでは、参院選で何が起こるか分からない』と、不安が渦巻いています。でも、誰も表立っては言えない。言ったら安倍総理を全否定することになりますから。

表向きは『日銀には独立性がある』ということになっていますが、当然、裏では連絡をとっている。どうしようもなくなったら、総理は黒田さんに責任を押し付けて、シラを切る腹でしょうが」

日本を乗せたジェットコースターは、再びデフレという暗いトンネルへ突入しようとしている。

「週刊現代」2016年5月21日号より

 

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