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ここ最近のクルマは、メカニズム的に問題点のあるクルマはまずないので、どうしても記事は褒める傾向にある、という
最近のクルマは絶賛されすぎ? 高価な買い物だからこそ「欠点」を指摘せよ 自動車評論家3人がモノ申す
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48488
2016年05月14日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
■まずは座談会で「モノ申す隊」がキッチリただしていきます!
座談会ではクルマの評価に対するそれぞれの考え方、視点などが語られていった。モノ申すのも大変なのだ……
BC「最近、読者からの声で、インプレッション記事で新車を褒めちぎる記事が多すぎるという意見が増えています。
特に新型プリウスやロードスター、S660などは欠点や弱点などをズバリと指摘する記事が各自動車雑誌などを見回しても見ることができないというのです。
もちろん、アラ探しのようなことをした、けなすための記事などはもってのほかですし、批判的なことをいうのが正しい……とも考えてはいませんが、あまりにも褒めまくりの記事ばかりだと、ちょっと心配になってきます」
小沢「昔と違って、今のクルマはハード的に明らかにダメだというものはまずないですからね~」
渡辺「メカニズム的にネガティブ要素のあるクルマはないですね」
小沢「いま、欠点をあげて批判するような記事が求められているのか!?という気はしているんですよ。実際、辛口批評のようなスタイルを読者が求めているのかな、と。徳大寺さんくらいでしょ、辛口スタイルで成功したのは」
BC「もちろん、否定意見から入るという意味ではありませんよ」
小沢「新車試乗会での記事というのは、いわば子供品評会みたいなものじゃないですか。メーカー側からすれば、自分たちが一生懸命に作った新型車をさあ乗ってくださいと試乗の機会をくれて。それに対して批判的なことを言うのは難しい、という側面もある」
渡辺「ボクはちょっと違う。読者がクルマを購入する際の参考に自動車雑誌の記事を読むのだとしたら、いいことはあえて書かなくてもいいとすら思っている。でも、逆に欠点や弱点などのネガティブな部分は的確に、しかも早い段階でしっかりと書いてあげないとダメだと思っている。
"いい部分"については買った後に自分で気がつけば嬉しいわけですよ。でも、例えばリアシートが狭いだとか、乗り心地がよくないといったことは買った後にわかるととても残念。6人乗るためにミニバンを買ったのに、3列目に両親を乗せたら狭くて長距離ドライブには使えない……、となるとこれは悲劇です」
小沢「渡辺さんはマジメですよ……」
批判的な記事を書くのであれば、キッチリとした取材に基づいていることが大前提。開発者に対して疑問点や問題点をぶつけて、彼らの意見も盛り込むことが大切だとの意見
渡辺「例えば新型プリウスなんかだと、着座位置が低くなったことはいいんですが、視界が悪くなった。また、プリウスに限ったことではないのですが、最近のクルマは全般的にウエストラインが高くなって、肘を窓枠にかけたドライビングスタイルがとりにくくなっている。
もちろん、このスタイルは推奨すべき乗り方ではありませんが、そんな乗り方をする人は現実的にはたくさんいる。これは購入者がディーラーで試乗したところでなかなか気がつけないポイント。そういう部分を的確に指摘することが大切ですよね」
石川「もちろんよくない点があればそれは指摘するんだけど、言い放しではダメだと思うんだよ。具体的な問題点を指摘した上で、解決策なりを示さなければダメ」
BC「具体的にはどのようなことがありますか!?」
石川「ロードスターはシートがよくない。その点は試乗会で開発陣に伝えたよ」
BC「批判をする以上はコミュニケーションは不可欠ということですね」
石川「例えばね、ウィークポイントを指摘したとするよね!?一番許せないのが、わかってはいるけれど、コストの関係でできませんでした、という開発者の回答」
渡辺「わかります!!予算管理はメーカー側の理屈で、お金を出して商品を買うユーザーにとっては関係ない話ですからね」
石川「そうなんだよ。レストランに行ってオーダーして、なんか味足りないよ!!と指摘したら、値段抑えるためにちょっと塩こしょうを減らしましたというようなこと」
渡辺「原価を予算内に抑えながらいいものを作り出すのが彼らの仕事ですからね」
石川「そこを工夫するのが開発陣の仕事だからね」
『批判的な記事を書くには、書き手の力量が問われることになる。しっかり取材しなければ、批判記事は書けないからね』
石川真禧照
渡辺「最近のニューモデルについてみていくと、いくつかの類型に分類できると思うんです」
BC「……といいますと!?」
渡辺「プリウスについては先代型のシャシー性能が低すぎた。これまでプリウスは燃費がいいという一面においてのみ高く評価されていて、シャシー性能などについてはずいぶんと甘く評価されていたと思うんです。ところが今回のプリウスはまともにシャシー性能まで作り込んできた。冷静に見れば、やっと普通のレベルに到達したに過ぎないのですが、比較するとものすごく進化しているので、今度のプリウスはハンドリングが凄くよくなった、と、ちょっと過剰なまでに評価されているように思います。
そしてロードスターやS660のようなスポーツカーは、一般的なクルマ評価軸で欠点をあげていくときりがないので、スポーツカーの魅力という部分で評価が定まっていく。S660を相手に荷物の収納場所がないと文句を言ってもしょうがないだろ、という気持ちになっていく」
石川「まあ、買う人もそんなことは気にしないんだろう、という前提だよね」
渡辺「ちょっとお祭り騒ぎになっちゃっている。そしてもっと実用車の場合なんですが、多くの書き手がドライバー目線でのみよしあしを語ってしまっているんです。例えばミニバンのインプレ記事を書くにあたり、2列目、3列目に座ってみましたか!?高級セダンのインプレの際に、誰かに運転してもらってリアシートの乗り心地を確認しましたか!?ということです」
小沢「批判的な記事って、書いた本人が思っているほど読者には届いていないという気がします。基本的には褒める記事のが圧倒的に書きやすいです。批判記事を書くのは、その書き方を含めて多くのパワーが必要。もっと書き手が工夫して伝わるような書き方をしなければならないとは思います。あとは編集者とのコミュニケーションですね」
BC「……というと!?」
小沢「結局、記事にGOを出すのは編集者ですから、書き手にもっと批判的なことも臆せずに書いてくれと指摘するということも必要」
石川「そうだね。ひどい雑誌だと、メーカーなどから批判記事に対してクレームがくると、これは石川さんの記名原稿ですからと逃げちゃう。しっかりとした記事を作るには編集者の覚悟も必要ということだよ」
小沢「ボクの話をすれば、ボク自身は新型車の記事を書く場合、基本的にはインプレッションというよりもバックグラウンドを含めたストーリーみたいなものを大切にしている。そうなるとちょっとした機能のよしあしなどディテールを書いていくスペースはなくなっちゃう」
石川「だいたい僕らがインプレ記事のためにクルマに乗る場合、一人で乗るばかりで、助手席に人を乗せることなど滅多にないし、ましてやミニバンにフル乗車で走ってみることなどなかなかない」
『基本的に新型車は褒めているのがラクなんですよ……。生まれたばかりの赤ん坊をけなすようなことはできればしたくない』
小沢コージ
小沢「でも、実際のユーザーは機会は少ないかもしれないけれどフル乗車で乗るわけですよね」
渡辺「一部の雑誌やWEB媒体などの編集者は、批判的なインプレ記事に対してちょっと過剰なまでに拒否反応を示すケースがあります。こんなことを書いたら自動車メーカーからクレームがくるのではないかと構えてしまい、批判的な内容を書くとダメ出しをされる……ということもあります」
小沢「あー、ありますね」
渡辺「自動車メーカーってとても心が広いので、クルマに対する正当な批判であればきちんと受け止めてくれます。わかりもしないことを適当に書いたりしてはダメですが、きちんとした書き手がきちんとした見識のもとに批判するのであれば、それを自動車メーカーは理解してくれます」
小沢「試乗インプレで感じることなど、メーカーの開発陣はわかっていることですよ」
渡辺「そんなに過剰に心配することはない」
石川「開発陣とのコミュニケーションが大切ということ。試乗会で感じたネガは現場で開発者に伝えて、向こうの言い分もしっかりと聞いておくことだよ」
渡辺「ボクはそこでのやりとりを記事に入れ込む。開発側の思いであるとか、考え方が読者に伝わる。開発時の裏話というか、苦労話みたいなものも見え隠れして、より記事に厚みが出ます」
小沢「今の時代、なんか批判的な表現に対する風当たりが強いというか……。ネットなんかだとすぐに炎上しちゃう。そうなると、わざわざ厳しい意見を書くのが面倒になっちゃうということもある。ちょっと批判的なことを書くと、そのクルマを買った人に悪いなどという意見を言う人もいるんですよ」
渡辺「批判的な意見を書くには書き手側にも覚悟が必要だし、パワーも必要ということはある」
小沢「そうそう」
石川「個人がブログで好き勝手書くのとはワケが違う。いったことには責任を持たなければならない」
小沢「悪口を書く上手な書き手がいないんですよ。ボクを筆頭にして……、という話なんですが。軽妙に、読者が思わず膝を打つような語り口でウィークポイントを伝えていく。これは力量が必要」
石川「例えばベンツCクラスのウィークポイントを指摘するなんていったら、書き手はよほどしっかりと勉強をしていないと書けない」
『ここ最近の新型車のレベルが低いのも原因。もっと高いレベルで競えば、おのずと厳しい評価も出てくるものです』
渡辺陽一郎
■なかなか本質を書けないもどかしさ
小沢「正直なところを言ってしまえば、試乗会など短時間の試乗ですべてを網羅するような取材はできないんですよ。そもそも試乗会にすべてのグレードが用意されているわけでもない」
渡辺「ある意味当然のことで、メーカーとしても最も訴求したいグレードだったり仕様だったりを重点的に用意する。実際の売れ筋は比較的廉価なグレードなのに、試乗会に用意されているのは上級グレードばかりということはしばしばある」
石川「ディーラーを回って売れ筋グレードの試乗車を探して乗るというのは、現実的ではないよ」
渡辺「ボクはノートが出た時にそれをやりました。日産が用意してくれた試乗車は全車スーパーチャージャー付きの仕様ばかりで、NAエンジンはなかったんです。でも、価格的にも売れ筋はNAとなるので、絶対にこれは乗っておきたかった」
小沢「そこまでやるというのは、やっぱり渡辺さんはマジメですよ!!」
渡辺「スーパーチャージャーとNAで価格差が20万円あって、ボクとしては絶対にNAがオススメだと思ったので、とにかく実際に乗って確認をしたかったんです」
小沢「ボクらのインプレッションというのは、結局のところ氷山の一角でしかないんですよ。海の下の見えていない部分のほうが圧倒的に大きいというね。当然、書き手によって、その見えている部分が違っているわけです」
石川「読む側にもそのあたりを理解してもらうといい。自分の感覚にあった記事を書く書き手を見つけるというね。逆に、この人の言うことはどうしても受け入れられない、というのがあってもいいわけだよ」
小沢「そうですね!!」
石川「それがクルマ雑誌を読む楽しみにもなるワケだよ。あるクルマに乗ってどう感じるかというのは、人それぞれ違っていて当然なんだから。メカニズム的なよしあしみたいな部分には正当な評価軸があるのは当然だけど、味付けの部分の好き嫌いなんかは人それぞれで違うでしょ!?」
渡辺「自動車というのはちょっと特殊。ひとつの商品が市場に出て、これほど多くの人が評論する商品なんて、クルマ以外にはちょっとほかにはありませんよ」
小沢「普通の人が何百万円も出して購入する商品なんてクルマくらいしかない。圧倒的に高い買い物。だから評論の入り込む余地が生まれる」
石川「メーカーも試乗車を貸してくれるんだよな!!何百万円もするんだよ!?レクサスなんて600万とか800万円。ベンツやポルシェだと1000万円を超えるクルマを、さあどうぞ乗って評価記事書いてくださいと貸してくれる。クルマ以外だったら、ちょっと考えられない」
自動車メーカーは正当な批判に対しては寛容な姿勢を見せるが、これは信頼関係あってのことだ
小沢「しかも、貸してもらったクルマに批判的なことまで書くことができる」
石川「ただ、批判的なことを書くのであれば、しっかりとした取材をした上で書かないとダメ。開発陣に徹底的に取材をして、その上で書くとなると、これが大変。足回りの話などではブッシュのサプライヤーの担当者なんて人まで出てきたりして」
小沢「試乗会に行って、開発陣に取材しないでクルマ乗るだけで帰っちゃう人も少なくない」
石川「それじゃダメ。気になった部分は開発者に直接ただして回答を聞き出さないと批判的なことは書けない。書き手も勉強して、しっかりと書くべきことは書かないとね」
渡辺「これだけは言っておきたいんですが、特に昨年から今年にかけて、これだ!!というクルマが出ていないんです。だから評論が甘くなる傾向にあると思うんです。ハイレベルのクルマが拮抗していると、おのずと評価はシビアなものとなる。そういうこともあると思います」
石川「あとはアレだな。生活に密着したコンパクトカーや5ナンバーサイズのミニバンなどが出そろうと、やっぱりシビアな評価が求められる。スポーツカーみたいなジャンルと違って評論が一番難しいカテゴリーだし、ユーザーのニーズも厳しいから、書き手の力量が試されることになる」
「ベストカー」2016年3月10日号より
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