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2016年5月13日 ロイター
注目高まる為替「口先介入」、最終ワードは「無秩序」か
5月13日、外為市場では、当局の口先介入の表現と実弾介入の可能性を関連付けて注目する動きが、表面化している。写真は都内で2013年2月撮影(2016年 ロイター/Shohei Miyano)
[東京 13日 ロイター] - 外為市場では、当局の口先介入の表現と実弾介入の可能性を関連付けて注目する動きが、表面化している。「一方的な動き」といった言葉はすでに使われてきているが、定番の「断固たる措置」はまだ未使用。介入直前の最終ワードは「無秩序」になるとの見方が、このところ急浮上しており、7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議や伊勢志摩サミットを控え、当局と市場による「神経戦」は白熱化してきた。
「介入する用意」にざわめく市場
「介入する用意がある」──。麻生太郎財務相の言葉に、市場はざわめいた。
麻生財務相は9日の参院決算委員会で「為替の急激な変動は望ましくない。その場合は介入する用意がある」と発言した。東京時間での反応は限定的だったが、海外時間に入ると「ready to intervene」のインパクトが浸透。
ドル/円
「介入」という言葉が、要人の「口先介入」的な発言のなかに登場することは珍しいことではない。しかし、「用意がある」という、実弾投入寸前を思わせるような発言に、「短期筋などはドル売り・円買いポジションを巻き戻さざるを得なかったようだ」(邦銀アナリスト)という。
市場が読む言葉の順序
為替市場参加者は、為替介入に至るまでの要人発言において使われる言葉には、その切迫度において一定の順序があるとみている。
「為替の急激な変動は望ましくない」という一般論に始まり、「一方向に偏った動き」や「投機的な動き」など相場の動きをけん制する発言を経て、「断固たる措置」といった介入を示唆する言葉が出てくるという流れだ。
年初から急速に進んだ今回の円高局面で、安倍晋三首相と麻生財務相の発言を追っていくと、ドル/円が110円台への急落から114円台に戻した2月15日には「急激な変動は望ましくない」(安倍首相)という一般論的なトーンだった。
だが、108円に進んだ4月8日には「一方向に偏った動きがみられる」(麻生財務相)に変化。
107円台に突入した5月5日には「急激で投機的な動きがみられている」(安倍首相)と、トーンがより厳しくなった。そして9日の「介入する用意がある」(麻生財務相)の発言につながっていく。
「断固たる措置」は未使用
過去の為替介入のケースではどうか。2011年の東日本大震災後の介入を除くと、 一番最近のドル買い・円売り介入は、民主党政権時代の2010年9月だ。政権は異なるが、市場では「財務省の意見が取り入れられているはずであり、言葉の使い方に大きな違いはないのではないか」(国内証券ストラテジスト)との見方が多い。
当時は、円高が進行し、民主党が代表選を控えていたため、当局は動きにくいとの思惑が市場に出ていた。年初から円高基調が強まり、伊勢志摩サミットを控えて動きにくいとみられている今回と、状況が似ている。
為替介入まで半月前の8月後半、当時の野田佳彦財務相は「必要な時には断固たる措置をとる」(31日、閣議後会見)と指摘した。「断固たる措置」というキーワードが出れば、実弾投入までわずかというわけでもなかった。
介入1日前にあたる9月14日の野田財務相の発言は「必要な時には為替介入を含む断固たる措置をとる」。「為替介入」と「断固たる措置」の組み合わせが直前の発言となった。
今回の円高局面で麻生財務相は「(為替動向は)一方的に偏しており、さらにこの方向に進むのは断固として止めねばならない」(5月10日、参院財政金融委員会)と強調してはいるが「断固たる措置」という定番の用語は、まだ使われていない。
「介入する用意がある」との発言に市場の介入警戒感は一時大きく高まったが、過去の介入ケースにおける用語用法的には、まだ距離があるとの見方もできる。
最終ワードは「無秩序」か
さらに今回、介入に向けたキーワードになるとみられているのが「無秩序」だ。
「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済・金融の安定に悪影響を与え得る」──。G20声明でおなじみの一文だ。想定されるのは、この一文の中で用いられている「秩序」の文言をめぐる攻防だと、野村証券のチーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は指摘する。
米為替報告書では、ドル/円の動きについて「秩序立っている」と指摘、日本当局とは温度差があることをうかがわせた。
先行き、日本政府がドル/円相場を「無秩序」と断定することは、それを取り除く正当性があると言うに等しい。「過去の円売り介入実施前には『無秩序だ』『ファンダメンタルズを反映していない』といったキーワードを用いた警告が発せられており、重要な判定材料になる」(池田氏)という。
今回の局面でまだ言及がないのは、米国が納得できる環境が整わない中で「無秩序」という言葉の使用を控えているためとみられている。それゆえ「無秩序」という主観的判断を示す言葉が「断固たる措置」という方針と重ねて使われれば、為替介入に極めて近いとみていいと池田氏は指摘する。
再び円高進行が深まった場合、政府が為替介入に乗り出すのは105円割れか、100円割れか──。今後も口先介入のトーンの変化に、相場が大きく振れる局面がありそうだ。
2016年の主なけん制発言
月日 ドル/円終値 発言者(*3) 発言内容
2月12日 113.27円 麻生太郎財務相 緊張感をもって注視し、適切に対応していく。
2月15日 114.62円 安倍晋三首相 急激な変動は望ましくない。(財務相には)必要に応じ適切に対応してもらいたい。
4月6日 109.79円 安倍首相 通貨安競争は絶対避けなければならない。恣意(しい)的な為替市場への介入は慎まなければならない
4月8日 108.08円 麻生財務相 一方向に偏った動きが見られるのは確か。緊張感を持って見守り、場合によっては必要な措置を取る。
4月30日(*1) 106.45円(*2 ) 麻生財務相 (米為替報告書について)我々の為替への対応を制限されるものではない。明らかに一方的に偏った投機的な動きがみられ極めて憂慮。必要に応じ対応する。
5月4日 107円 麻生財務相 一方的で急激な動きは経済に悪影響を及ぼす可能性があり望ましくない。いかなる措置も20カ国・地域(G20)の合意に沿う。
5月5日 107.26円 安倍首相 (市場動向は)急激で投機的な動きが見られる。
5月9日 108.32円 麻生財務相 (相場急変動は)貿易政策上、経済政策上、財政政策上もいろいろな意味で影響が出るので望ましくない。われわれとしては当然、介入する用意がある
5・10日 109.27円 麻生財務相 (市場動向は)一方的に偏しており、さらにこの方向に進むのは断固として止めねばならない
2010年9月の為替介入前の主なけん制発言
月日 ドル/円終値 発言者 発言内容
8月10日 85.4円 野田佳彦財務相 為替の無秩序な動きや過度な変動は、経済や金融の安定に悪影響を及ぼす。細心の注意を払ってマーケットを見守りたい。
8月24日 84.06円 野田財務相 足元の為替の動きは明らかに一方向に偏っている。重大な関心持ち、極めて注意深く見守る。
8月27日 85.3円 菅直人首相 為替市場の過度な変動は経済・金融の安定に悪影響を及ぼし、私としては重大な認識を持っている。必要な時には断固たる措置をとる。野田財務相 (円高の影響は)深刻な状況だと思う。必要な時に適切な対応をとることが基本姿勢だ。
8月31日 84.11円 野田財務相 (為替相場は)一方向に偏っている。必要な時には断固たる措置をとる。
9月8日 83.97円 野田財務相 国際社会との緊密なコミュニケーションは大事。その努力はずっと継続。最終的には必要なときに断固たる措置をとる中では当然、介入も含んでいる。
9月10日 84.15円 菅首相 (円高について)激しい状況にあれば、断固たる措置をとる。
9月14日 83.09円 野田財務相 民主党代表選に関係なく、政治空白をつくることなく必要な時には為替介入を含む断固たる措置をとる。
9月15日 85.71 野田財務相 為替介入を表明。
*1:共同通信の報道、*2:前日終値、*3:肩書は当時のもの
(平田紀之 編集:田巻一彦)
http://diamond.jp/articles/-/91206
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