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燃費試験の不正行為について会見する三菱自動車工業・相川哲郎社長
「反社会的勢力」三菱自、隠蔽と犯罪を重ね死者続出…消費者の安全より組織的利益優先
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15039.html
2016.05.11 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal
燃費データ不正に揺れる三菱自動車工業の4月の軽自動車販売は、前年同月比44.9%減と大きく落ち込んだ(全国軽自動車協会連合会が5月2日に発表)。4月20日に不正を発表して以降、問題車種の販売を停止しており、5月はさらに落ち込む見通しだ。
同社は水島製作所(岡山県倉敷市)で軽の生産を止め、全工場従業員約3600人のうち約1300人が一時帰休させられている。影響は三菱自だけでなく取引先にも広がり、同社から供給を受けていた日産自動車の4月軽自動車販売が昨年対比51.2%のマイナスとなった。
■懲りない会社の自業自得
石井啓一国土交通大臣は4月22日の会見で、「日本ブランドに対する信頼・信用を失墜させ、ユーザーに対しても多大な迷惑を掛けていることについて猛省を促したい」と三菱自を厳しく批判した。25年にもわたって燃費データ不正を続けていた同社は、経営トップが関知していたかは別にして、「不正に対しての組織的確信犯」というしかない。
同社は過去にも23年以上にわたって不具合情報を多数も隠蔽し(2000年発覚)、関連して2件の死亡事故が起きている(02年)。法人としての同社と子会社の三菱ふそう、そして三菱自の副社長以下経営幹部複数名が刑事有罪となった。
安全にかかわる事項について意図的に隠蔽して死者を出した。司法的にも有罪が確定した。つまり、三菱自は犯罪を重ねてきた会社であり、それがまた性懲りもなく反社会的な行為をしでかしたというのが今回の構造である。こんな会社の存続を許してはならない。
■三菱自を延命させてきた三菱グループの総意
過去の2回にわたるリコール隠しで経営危機に陥った三菱自動車を救ってきたのは三菱グループだ。三菱グループ主要29社は「金曜会」という親睦会を形成している。グループの御三家と呼ばれるのが三菱商事、三菱重工業、そして三菱東京UFJ銀行である。この御三家が資金的にも人材的にも支えることで三菱自は過去の危機を乗り越えてこられた。
今回のいわば「三度目の大罪」に対しても、「三菱グループの天皇」と呼ばれる相川賢太郎氏(三菱重工相談役)は「絶対に潰しちゃイカンですよ。(略)皆で助け合ってやっていこうというのが、三菱グループ29社の精神ですから」(「週刊新潮」<新潮社/5月12日号>より)と語っている。
しかし、それに続いて「従業員は一生懸命やっていますから。会社のためと思ったのが裏目に出たわけですよ」(同)と見解を述べているのは看過しがたい。B to Cの製造業会社が、消費者の安全より会社のため、あるいは組織適応を優先して起こしてきたのが一連の三菱自の不正事件ではなかったか。「買うほうもね、あんなもの(公表燃費)を頼りに買ってるんじゃないわけ」(同)と相川氏は放言しているが、「だからいいんだ」という価値観の袋小路の行き先が、2度にわたる死亡事故だったのではないか。
■大企業を崖っぷちに追いやる、いびつなムラ社会論理
実は相川氏は、三菱自の相川哲郎現社長の実父である。つまり、2人は三菱グループというムラ社会どころか家族なので、応援発言に熱が入ってしまうのも理解できなくはない。しかし、グループの実力者のこの発言は「贔屓の引き倒し」のような向きを否めない。
昨年から今年にかけて、消費者や社会を裏切るような意図的なビジネス事件を思い浮かべてみる。
・独フォルクスワーゲンのディーゼル偽装
・東洋ゴムの免震装置ゴム不正問題
・東芝の利益操作
・三菱自の燃費データ偽装
いずれも大企業、つまり大組織である。それぞれの事象を引き起こした経営者あるいは担当者は、社外つまり社会や消費者の損益よりも、自分が属する組織内での損得や価値観、行動規範を優先させ、その結果として反社会的な企業内行動を取ってしまったという構造で理解できる。相川哲郎社長の謝罪会見を見ていて違和感を覚えたのは、軽の供給先の日産のことを「日産様」と「様」付けで何度も丁寧に格上呼称していたことだ。「この会社は対消費者目線がないんだな」と感じた。今回の問題で一番被害を受けているのはユーザーであり、社会である。それが直接の取引先のことしかとりあえず念頭にないのだ。社会的視点が欠落している大企業が反社会的なことをしでかしてしまっている。
反社会的な存在ということは、暴力団と同じだというとわかりやすい。そして、暴力団は駆逐されるべきだ。相川賢太郎氏は「会社(三菱自動車)が潰れたら3万人の従業員が路頭に迷うことになるんですから、そんなに簡単に潰せるもんじゃないんです」(同)ともコメントしているが、暴力団を廃業させる場合でも組員の就業対策が必要となる。同じことではないか。
「彼らを咎めちゃいけない。三菱自動車のことを一生懸命考えて、過ちを犯したんだから。(略)武士の情け、そういう気持ちも大事ですよ」(同)とも語っているが、そのために2度も死亡事故を起こし、今回も社会的影響は計り知れない。
相川賢太郎氏の見解は、外部に迷惑をかけても仕方がないということだ。三菱グループ以外の外部というのは、すなわち私たち市民社会である。それに迷惑をかけても渡世のためには仕方がないというのは、反社会勢力の考え方だ。三菱グループは三菱自動車の件に関して反社会勢力となることを同氏は自認したことになる。
■不買運動と株主訴訟で追い詰めるべき
重大なコンプライアンス違反を犯した会社は、相応のペナルティを受けてきた。雪印乳業やライブドア、船場吉兆は市場から退出したし、赤福や石屋製菓(「白い恋人」の販売元)はしばらくの間販売停止に追い込まれた。
死者まで出したリコール隠しをしていた三菱自には、今度こそ廃業してもらうべきだと私は思う。それにはどうしたらいいのか。
ひとつは、単純に同社製品への不買などを求める消費者運動の高まりに期待したい。しかし、「三菱重工は三菱自動車の株を持っていますからね。株主としては支援はしなきゃイカン。それは当然のことでしょう」(同)と、相川氏は三菱グループとして三菱自動車を擁護する姿勢を示した。このようなグループとしての反社会的な行為を阻止するためにはどうしたらよいか。
私が三菱重工の株主だったら、同社が三菱自の救済措置を取ったら取締役に対しての株主訴訟を考える。つまり、反社会的集団への支援ということで取締役の善管注意義務違反を問う。
また、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文前会長を辞任に追いやったアクティビスト株主の出現にも期待したい。三菱重工に書簡を送り、反社会的な投資や援助行動を取ることは公企業の行動倫理に反し、最終的に株主に対する企業価値を毀損することを指摘してけん制してもらいたい。あるいは、議決権行使助言会社が株主総会を前にして、会社を特定して、あるいは一般論として反社会的な企業行動を取らないよう見解を出すなどだ。
私たちは資本主義社会に生きている。それは優勝劣敗の社会だ。しかし、「儲かるのなら何をしてもよい」ということでは決してない。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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