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三菱自救済は商事主導で軽自動車撤退へ
http://diamond.jp/articles/-/90733
2016年5月9日 週刊ダイヤモンド編集部
燃費データの改ざんなどの不正が発覚し、3度目の経営危機に陥った三菱自動車。国内受注が半減するなど世間の風当たりが厳しさを増している。そんな中、鉄の結束を誇る三菱3社が水面下で救済に向けて動き始めた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)
Photo by Fusako Asashima
三菱トップ4社会──。三菱商事出身の益子修・三菱自動車会長兼CEO(最高経営責任者)が再建請負人として三菱自社長に就いた2005年から、10年以上にわたって続けられてきた会合がある。
この定例会では、三菱商事社長、三菱東京UFJ銀行頭取、三菱重工業社長の三菱グループ3社首脳に益子会長を加えた4人が、3カ月に1度のペースで顔をそろえる。益子会長(当初は社長)が三菱自の再建の進捗を報告する場として発足し、近年は三菱グループの情報交換の場も兼ねていた。
「この定例会が存在すること自体が、三菱グループにとって三菱自の問題が永遠のテーマであることの証左だ」。ある三菱重工幹部はそう表現する。
4月20日、三菱自による燃費データの不正問題が発覚した。三菱3社の首脳が一堂に会する機会は連休明けに持ち越されたが、水面下では、幹部クラスによる話し合いの場が持たれている。
三菱自の不正の全容解明はこれからだ。燃費審査に必要なデータを意図的に改ざんしたり、国が定める方法と異なる方法で燃費を測定したりしていた。
かねて、自動車業界では、カタログ燃費と実燃費との乖離が大き過ぎることが問題視されていた。燃料タンクを小さくしたり、安全装備品を外したりして軽量化するなど、自動車メーカーはあの手この手で苛烈な燃費競争を乗り切ろうとしてきた。今後、燃費の審査方法やその運用をめぐって、問題が他の自動車メーカーへ発展するリスクは否定できない。
とはいえ、三菱自による不正は、道路運送車両法を逸脱する違法行為に当たるとされている。三菱自は、2000年、04年と2度にわたってリコール(回収・無償修理)隠しを行った前科2犯である。
「3度目の不正を世間も政治も行政も許してくれるはずはなく、益子会長、相川哲郎社長兼COO(最高執行責任者)ら経営上層部の一掃は避けられない」(複数の三菱グループ幹部)情勢だ。
■益子会長の“懐刀”
商事出身白地常務が次期社長の最右翼
三菱自動車と日産自動車がタッグを組んで開発した軽自動車の「デイズ」と「eK」シリーズ。益子修・三菱自動車会長(左)と志賀俊之・日産自動車副会長が登壇し、華々しいデビューを飾ったはずだった
Photo by Fusako Asashima、(c)123RF.COM
もしも不祥事が発覚しなかったならば──。6月の株主総会後も、益子会長−相川社長体制が維持されるはずだった。
同時にポスト現体制への布石も打たれていた。4月1日付で三菱商事から白地浩三氏を常務執行役員として迎え入れたのだ。
白地常務は、一貫して自動車事業に携わり、機械グループCEOにまで上り詰めた人物。韓国やインドネシアの赴任など、益子会長を追うように職歴を重ねており、益子会長の“懐刀”として知られている。「益子会長がいずれ勇退しても、相川社長をしっかりサポートできる」(三菱商事関係者)として、総会後に海外営業担当副社長へ昇格するとみられていた。
だが、目算は狂った。益子会長、相川社長の引責辞任が避けられない中、白地常務が次期社長候補として有力視されている。事が事だけに、自浄作用が働かない生え抜きからの昇格は考えにくい。
過去2回の経営危機では、何としてもスリーダイヤを守るためと、鉄の結束で緊急支援に動いた三菱3社。だが、今回は彼らの支援姿勢に大きな温度差がある。
それを表面化させたのが、13年の優先株処理だった。積極的な姿勢を示したのが三菱商事である。東南アジアで自動車販売事業を手掛けており、ビジネスのうまみと支援を天秤にかけた結果の判断だ。
だが、残り2社の姿勢はどうも煮え切らない。三菱銀は「自分でリスクを取らない割には、処理後の議決権比率について、3社で34%付近を維持することにこだわった」(三菱商事関係者)。
一方の三菱重工が一番ドライだ。「三菱自との取引額はせいぜい数百億円。なぜ、ウチが三菱自を持分法連結会社にしなければならないのか」(三菱重工幹部)とつれない。できるだけ速やかに足抜けしたいのだ。3社から三菱自への転籍・出向者数から見ても、温度差は歴然としている。
そもそも、今回の危機は三菱自の自爆が原因。04年のように、ダイムラー・クライスラー(当時)に支援を打ち切られたからグループで支えるべき、といった大義名分がない。「向こう1年で三菱重工が足抜けする合意がなされつつあった」(三菱商事関係者)ことを踏まえれば、基本的には、三菱商事を筆頭に、三菱銀がサブで支えるという救済態勢になりそうだ。
幾度も社会的悪事を働いた企業を救済することに異論はあろう。三菱グループだからという理由以外に救済する根拠があるとすれば、それは財務の健全性である。
確かに、16年3月期のネットキャッシュ(現預金から有利子負債を差し引いた手元資金)は4200億円。自己資本比率は48%と高く、すぐにつぶれるわけではない。
それでも、恐ろしいほどのスピードでブランド毀損が進んでいる。相川社長によれば「1日当たりの国内受注は半減」しており、国内ユーザーの風当たりは強い。国内事業の機会損失、顧客や日産自動車への損害賠償費用など、業績への打撃は計り知れない。
皮肉にも、この不正発覚が国内事業の大リストラへ発展することが確実視されている。
■不正発覚により
水島製作所の閉鎖は
避けられない
年間販売台数が100万台そこそこの自動車メーカーが生き残るにはどうすべきなのか──。来年4月から始まる中期経営計画の策定に向けて、三菱自経営陣は、議論を重ねてきたところだった。小粒ながら個性を発揮しているスズキ、マツダ、富士重工業などのライバル会社を徹底的に研究した。
そこで導き出された結論は、強みに経営資源を集中すること。強みとは、市場で言えば、タイやインドネシアなどの東南アジアマーケット。車種で言えば、「アウトランダー」に代表されるSUVやプラグインハイブリッド車である。
三菱自は売上高の8割強を海外で稼いでおり、国内の営業赤字を海外で補填している状況だ。そして、赤字の元凶が、燃費偽装が発覚した軽自動車事業である。
そのため、不祥事が明るみに出る前から、「軽自動車事業からの撤退は既定路線となっていた」と複数の三菱自関係者が証言する。
27日の決算記者会見では、相川社長は「撤退は考えていない」と否定したものの、国内雇用やサプライヤーへの影響を考えてやりにくかった痛みを伴うリストラが、未曽有の経営危機に直面したことでむしろ進めやすくなった側面は否定できない。
また、中長期的な軽自動車規格の廃止をにらんで、自社生産の態度を決めかねていた日産だが、ここまで燃費偽装問題が大ごとになれば、三菱自との提携解消に踏み切らざるを得ない。日産が自社生産に踏み切るのは時間の問題だ。
となれば、最終的には、軽自動車の主力工場である水島製作所の閉鎖も視野に入ってくる。
現時点では、三菱自とくみしてくれる自動車メーカーのパートナーを探すのは難しく、三菱商事の自動車事業の「メーカー担当」となる道しか残されていない。
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