http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/412.html
Tweet |
中国でひそかに進行する「もうひとつのバブル危機」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48608
2016年05月09日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
最近、中国の不動産価格の上昇が目立つ。利下げや規制緩和を受けて住宅購入者向けの貸し出しが容易になり、多くの都市で住宅価格が上昇している。一部には、バブルの発生を懸念する見方もある。
そして、別の市場でも注意すべき動きが進んでいる。それは、中国で取引される鉄鉱石先物価格の上昇だ。すでに大連商品取引所(DCE)に上場されている鉄鉱石先物の価格は、年初来で60%程度上昇している。過剰な生産能力のリストラが急務である中国経済において、こうした“根拠なき熱狂”が広がっていることには注意が必要だ。
■投機熱に煽られる鉄鉱石価格
リーマンショック後の4兆元(当時の邦貨換算額で60兆円程度)の巨額の景気刺激策の結果、中国の粗鋼生産能力は世界最大にまで拡大した。潜在的な粗鋼生産能力は年間11億トンから12億トンと言われる。昨年の実績を見ると、そのうち4億トン程度が過剰になっているとみられる。
わが国の粗鋼生産能力は年間1億トン程度だ。それに比べると、中国の鉄鋼業界が抱える過剰生産能力はまさに巨大だ。景気減速が進む中で過剰供給を解消するには、リストラを行い需給の調整を図るしかない。そして、理論的にはリストラ圧力が高い場合、世界の粗鋼、鉄鉱石の価格には下押し圧力がかかるはずだ。
しかし、中国では全く逆の動きが進んでいる。年初来、大連で取引される鉄鉱石先物は60%程度上昇した。そして、上海で取引される鉄筋先物を始め鉄鋼関連製品の価格持ち直しも進んできた。アナリストらが今年の鉄鉱石価格の見通しを上方修正するなど、強気な見方も多い。なお、中国政府はリストラの進展が価格を支えているとの見解を示している。
過剰な供給圧力が強いにもかかわらず鉄鉱石などの価格が上昇する状況は、“根拠なき熱狂”と呼ぶにふさわしい。そして、鉄鉱石などの価格高騰は中国の住宅価格の上昇に支えられているようだ。
度重なる利下げ、景気刺激策としての不動産購入に関する規制緩和に支えられ、中国の住宅価格は上昇している。それが鉄筋への需要観測を高め、投機に火をつけている。当局は商品先物取引への規制強化に乗り出しているが、どれほどの効果があるか定かではない。
■中国政府「乗り継ぎ政策」の限界
注意が必要なのは、中国経済の減速懸念が高まる中、資産価格には下落圧力がかかりやすいことだ。住宅市場の過熱、それを受けた鉄鉱石価格の急上昇はいずれ逆方向に動くことも考えられる。それによって市場に大きなショックが走る可能性は軽視できない。
近年の中国の情勢を見ると、株式市場が下落すると、規制緩和などを通して投資資金を不動産市場に流入させる動きが繰り返されてきた。足許の住宅価格の過熱は、昨年半ば以降の株価下落への対策に支えられてきた。
徐々に、この景気対策は限界を迎えるだろう。経済成長率が低下する以上、不動産や株価などに対する下押し圧力は高まる。大規模な景気刺激策が過剰な生産能力を生み出したという教訓がある為、積極的な財政支出も期待しづらい。そのため、一旦、相場が下落し始めると、これまで以上のマグニチュードで市場、経済が混乱する恐れもある。
それでも中国政府が不動産と株式の相場高騰のスイッチングを繰り返し、景気を支えようとするなら、チャイナリスクはますます膨らむ。すでに、住宅関連の需要を見込んで中国の鉄鋼メーカーは増産に動いている。それは、構造改革を難航させる恐れもある。引き続き中国経済は前途多難だ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民108掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。