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勝手な期待、勝手に失望 円高・株安でゴールデンウィークに
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160508-00010002-wedge-bus_all
Wedge 5月8日(日)12時10分配信
日銀政策決定会合(4月28日)でマイナス金利付き量的・質的金融緩和が現状維持となり、円高・株安のゴールデンウィークとなった。円は発表直前の111.60円/$から106.13円/$(5月3日、18カ月ぶりの円高水準)まで急騰、日経225指数は1万7533円から9%近く下落して1万6000円を割れる局面にも。
WSJが黒田日銀総裁インタビュー記事を4月18日に報道し、4月22日には追加緩和や日本版TLTRO(貸出支援制度等の適用金利マイナス化)の可能性を示唆する観測報道が広まった。
熊本県での地震災害直後という事情や今後の消費税増税延期の可能性も含み、1月〜3月に日本株を約5兆6000億円(現物株と先物合計)売り越ししていた海外投資家(図表1参照)は、一転して4月中盤からは買戻し基調。
日経225は1万7572円まで戻し、RSI(14日)が70(過熱ライン)を超えており、短期には過熱気味となった。為替市場でも、円は年初の120円/$から108円/$(4月1日)まで買われた後、4月中旬には111.50円/$水準まで一旦円高基調が落ち着いていたのだ。
政策決定会合前、報道を除き、特に国内投資家勢からは追加緩和や日本版TLTROへの過度な期待は聞かれなかった。このタイミングで新たな施策が出てくる事への期待は50/50程度で、黒田日銀総裁のサプライズ趣向を考えると「ゼロ回答」に特に驚きはない。今回は、勝手に海外投資家が政策期待で盛り上がり、勝手に失望。それまでの過熱感が調整をさらに大きくした、という理解だ。
■コアコアCPIは懸念材料 視野は伊勢志摩G7及び6-7月の日銀会合に
日銀の展望リポート(注1)では実質GDPとコアCPI(注2)見通しを下方修正、2%の物価安定目標の更なる先送りしている。最も気にかかるのは、エネルギー想定に変わりがない中での下方修正・先送りだという点だ。コアコアCPI(注3)の下振れリスクが高まっており、マイナス金利付き量的・質的緩和の本質的な目的である「デフレからの完全なる脱却」や「2%の物価安定」実現に陰りが差してしまう。
次の大型イベントは5月26・27日のG7サミット(伊勢志摩)で、今後1-2週間の市場動向にも左右されるが、具体的なG7協調財政出動、又は景気対策・消費増税先送りの議論等にも注目だ。日銀による追加緩和の可能性については6-7月の会合への持ち越しと捉えている。
■マイナス金利の効果は実体経済のどこに?
黒田日銀総裁はこの日の会見で「政策効果の浸透度を見極めていくことが重要だと判断した」と説明している。
これまでの量的・質的金融緩和にマイナス金利を追加した1月29日(2月16日適用)から約3カ月経つが、短期金融市場(無担保コールO/N物レート)は加重平均金利がマイナス水準に、3カ月TIBOR(銀行間取引金利)は0.171%から0.057%へ下落。社債調達においては味の素20年債など、年限が長期化し、住宅ローン金利(大手3行・10年固定)は、1.05%から0.8%へ下落した。当然預貯金の金利条件は悪化しているが、金利下落幅は貸し出しや資金調達に軍配が上がる。
ただ、資金使途に繋がらなければ好循環は生まれない。個人消費も大事だが、特に企業の設備投資やM&A活動に注目が集まる。
■M&Aとそのメカニズムを投資テーマに
低金利で資金調達コストが下がる中、設備投資やM&Aへの企業の資金循環に注目が集まるが、ここで一つ重要な時代の変化を忘れてはいけない。時代の流れは巨額設備投資よりもM&Aに好意的だ。
IT・インターネット等の技術革新と国境を越えた経済活動の拡大により、エネルギー・素材等の装置産業を除けば、想定事業(収入)規模に対して必要な設備投資は低減した。インターネット、SNSマーケティング、クラウド、OEM、BPO、そしてシェアリング等、近年生まれた経営手段はどれも巨額設備投資を必要としない。
一方、日本の伝統的経営、株式の持ち合いや終身雇用等、M&Aにとって挑戦的な要素も近年減少傾向にある。(日本企業が関係する)国境を越えたM&Aは以前から中期的な増加傾向にあったが、足元の伸びが最も大きいのは国内企業間でのM&Aだ(参考:ファミリーマートとユニー、日本生命と三井生命、出光興産と昭和シェル、トヨタとダイハツ、SGグループと日立物流、常陽銀行と足利銀行等)。M&Aや業界再編は今後の投資の大きなテーマだ。
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注1: 展望レポートとは、年4回(1月・4月・7月・10月)の政策委員会・金融政策決定会合後に日本銀行が公表している金融政策運営の考え方。正式名称は「経済・物価情勢の展望」。
注2: コアCPIとは、消費者物価指数(CPI)から生鮮食品を除いた指標
注3: コアコアCPIとは、消費者物価指数(CPI)から食料とエネルギーを除いた指標
青懸巣 (金融アドバイザー)
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