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(回答先: コラム:黒田日銀は「必要なら躊躇なく」動けるか 低インフレとの闘い、日銀は戦略に野心を−コチャラコタ 投稿者 軽毛 日時 2016 年 5 月 07 日 16:22:59)
2016年5月7日 週刊ダイヤモンド編集部
移住希望地ランキングに異変、地方を目指す若者世代の実態
若者の地方移住志向が急激に高まっている。NPO法人ふるさと回帰支援センターに聞いた、都会を捨てて“移住したい”自治体の魅力とは。
ここ10年ほどの間に、地方移住希望者の層が変化しているという。かつては中高年のセカンドライフ移住がほとんどだったが、昨今、20代、30代の若者世代が急増しているのだ。
田舎暮らし希望者への移住相談を行っているNPO法人ふるさと回帰支援センターの調査を基に、その実態を探っていこう。
「リーマンショックで、東京に仕事がないから地方へという消極的な移住が増え、総務省の『地域おこし協力隊』、農林水産省の『田舎で働き隊』という制度がそれを助けた。そして東日本大震災が起き、小さな子どもがいる首都圏のファミリーが、疎開的に移住をしました」と、同センターの嵩(かさみ)和雄副事務局長は語る。
ふるさと回帰支援センターでは移住相談のほか、県や市町村主催の移住説明会も多数行われている Photo by R.M.
「そして今、自分の人生をよく考え、地方暮らしをポジティブに志向する若者が増えた。東京に出ていい大学に行き、一流企業に就職して一生裕福な生活を送るという成功モデルが崩れ、若い人の価値観が変わってきたのでしょう。首都圏の優秀な若い人ほど、地方の方が可能性があるし、より良い環境の中でより自己実現ができると気付いたのです」(嵩氏)
2015年は地方創生元年といわれる。きっかけは14年に日本創成会議の増田寛也座長が「40年までに896の自治体が消滅する」と予測した、いわゆる「増田レポート」だ。安倍政権は秋の臨時国会を「地方創生国会」と位置付け、地方創生政策に多額の予算が付いたため、地方自治体のUIターン誘致活動が一気に活性化した。
東京・有楽町にある同センターには、14年まで5県が移住相談窓口を設けていたが、15年は一気に29県に増加。相談者の数も前年の2倍近い2万人以上に増えた。
下の移住希望地域ランキングは、同センターに相談に来た人を対象にしたアンケート結果だ。嵩氏にそれぞれ解説してもらった。
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毎年1位、2位を競う長野と山梨、4位に浮上した静岡は中高年に人気。「首都圏から近く、何度も行ったことがある場所なので、田舎暮らしをイメージしやすい。山梨は八ヶ岳周辺、最近は特に北杜市が人気。長野は軽井沢、茅野、佐久、諏訪、南アルプスと、全域満遍なく人気が高いですね」。
注目すべきは圏外から14年に8位、15年に3位へと急上昇した島根。前述の3県とは対照的に、圧倒的に若者の移住希望が多く、20代、30代で50%以上を占める。
5位岡山の人気は、震災で高まった。「震度6以上の地震が起きたことがなく、台風の直撃もほとんどない。南海トラフ地震が起きても津波の心配がなく、原子力発電所もない。安全度が非常に高い県として、疎開的移住を望む家族に人気が出た」。
15年に6位に入った広島は、インターネットを活用したプロモーションが成功し、若者人気が急上昇。県内企業への転職支援サイト「Go!ひろしま」、広島移住者のインタビューや移住の勧め等を紹介するメディアサイト「HIROBIRO.」を見ると、確かに不安は取り除かれ、移住後の生活がイメージできる。
7位の高知は、地方移住誘致の先駆け県の一つ。「4年前に『高知家』というキャンペーンをスタート。まず高知を知ってもらい、移住先として認識してもらい、移住した人が定住できるようサポートする。高知家は一つの家族、一人一人が高知家のスターだというイメージ戦略です」。
8位の秋田は、Uターン希望者が圧倒的に多いのが特徴。移住と起業を組み合わせた「土着ベンチャー(ドチャベン)」コンテストを行い、起業を支援する制度をスタートさせている。
このようなビジネスコンペ型の移住支援は全国各地で増えている。補助金と制度融資のあっせんを合わせ、「木材加工、農機具修理、ゲストハウス、カフェ、ベーカリーなど、さまざまなビジネスが立ち上がっている」(嵩氏)。
9位大分、10位宮崎は、温暖な気候と住みやすさで人気が高い。
中高年は支援体制を若者は夢の実現の可能性を気にする
あらためて3位に飛び込んだ島根を見てみよう。人口は全国46位、都会から遠く離れた山陰の県に、なぜ若者たちは移住するのか。
大手広告代理店に勤務する東京出身のデザイナー、南貴博さん(39歳)はこの春、会社を辞めて妻と2人で島根県隠岐郡海士町(おきぐんあまちょう)に移住する。島根本土から60キロメートル、日本海に浮かぶ隠岐諸島の島だ。
海士町の魅力を、「海がきれいで、食べ物もおいしい、人が素晴らしい」と南さん(左)。海士町の海岸にて
「会社を辞めて独立したいと漠然と思っていましたが、地方移住は全く考えていなかった。昨年夏、海士町に移住している友達のところに遊びに行き、一気に引かれましたね。島の人、移住した人、インターンシップに来た人、いろんな人を紹介され、みんながすごく楽しみながら素晴らしい仕事をしているのを見て、『何なんだ、この面白い島は!』って。そして『日本の地方ってこんなに豊かなのか』と知りました。この島の素晴らしさを、もっといろんな人に知ってもらうことが必要なんじゃないか。自分の広告デザインのスキルが役立つのではないかと考えた」と南さんは言う。
その後、妻の麻衣さんを連れて再訪。2人は島をすっかり気に入り、南さんは海士町でフリーデザイナーになることを決めた。海士町観光協会のPRを手伝い、島の商品開発やブランディングにも参加したいという。後述する「ふるさと島根定住財団」を通じて島根県から引っ越し費用の支援を受け、県のIT起業支援制度にも申請する予定だ。
よそ者が定住するには現地の受け入れ体制が大切だ。島根県はその体制が全国でも進んでいて、また県民が移住者と付き合うことに慣れているのだという。
「島根県は匹見町という山間地で40年以上前に『過疎』という言葉が初めて生まれた県ですから、人口減少に歯止めをかけなくてはという危機感が昔からありました。そこで20年前の1996年にふるさと島根定住財団ができ、19の市町村全てに定住支援員を置いて、移住のサポートをしてきた。移住者一人一人に寄り添い、オール島根で支援する取り組みが、実を結んでいます」。ふるさと島根定住財団東京事務所の水戸抄知氏はそう語る。
例えば島根県独自のUIターン支援制度である「産業体験事業」。新規に農業、漁業、林業などの1次産業に就きたい場合、国の助成金制度があるが、経営や人間関係がうまくいかず、継続できなかった場合には返還義務が生じることが多い。島根県のこの制度は、あくまでも体験。農業、林業、漁業、伝統工芸、介護の仕事を1年間体験することに対して1カ月に12万円の助成金が出る。
実際に1年間体験した後で、国の助成制度を使って本格的に就農してもよいし、別の道を選んでもいい。この制度によって定住率が上がったという。
もっとも、「中高年は『どんな支援があるのか』を気にしますが、若者は支援策などほとんど聞いてこない。どんな暮らしができ、どんなビジネスができるか。自分はこんなことがしたいが、実現できますかと聞いてきます」と、嵩氏。
過疎の村に、希望に満ちあふれた若者がやって来る。地方にとってもこんなにうれしいことはない。
*「週刊ダイヤモンド」2016年3月26日号特集「ニッポンご当地ランキング」より。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B01CR984M2/asyuracom-22
http://diamond.jp/articles/-/90191
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